石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

自称サイキックの家主、同性カップルの入居を断り訴えられる

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米国コロラド州で同性カップルに物件を貸すことを拒否した家主が、反差別法違反で訴えられました。家主は自称霊媒で、このカップルの入居を断るよう心霊から助言されたと主張しているのですが、その霊は差別は違法だということまでは教えてくれなかった模様。

詳細は以下。

Psychic refuses to rent home to gay couple, didn't see lawsuit coming - Gay Star News

この家主、ディーピカ・アヴァンティ(Deepika Avanti)氏は、YouTubeチャンネルで活動している自称サイキックのヒーラー。彼女は貸しに出していた家にトニヤ&レイチェル・スミス氏が入居の申し込みをしたときには乗り気だったのに、このカップルとふたりの子供たちと直接面会した後、スミス家の「ユニークさ」はご近所のゴシップの種になるとして断りのメールを入れたのだそうです。

トニヤさんとレイチェルさんは同性カップルで、レイチェルさんはトランスジェンダーでもあります。アヴァンティ氏の意見では、この入居拒否は偏見にもとづくものではないとのこと。理由は、「自分にはトランスヴェスタイト(異性装者)の友人がいる」から。

  1. 同性カップルの一家をゴシップの種と決めつけ、
  2. トランスジェンダーとトランスヴェスタイトの違いもわからず、
  3. それでいて「私には黒人の友人がいる」論法で偏見はないと言い張る

……と三拍子そろった時点で、何をか言わんや。

なお、スミス家の代理をつとめる法律団体ラムダ・リーガル(Lambda Legal)から公正住宅法およびコロラド州の反差別法違反で訴えられたアヴァンティ氏は、上記の説明に加え、「心霊の友達」からスミス家の入居を断るよう助言されたとも主張しているのだそうです。えーと、その心霊、「差別したら訴えられる」ってことは教えてくれなかったの?

今ちょっと調べてみたところ、コロラド州政府のWebサイトでは、性的指向やトランスジェンダーの状態などを理由として賃貸を断ったり、不平等な条件で貸したり、物件の販売を拒否したりすることは公正住宅法(Fair Housing Laws)違反であり、このような差別を受けた人は訴訟を起こすことができると説明されていました。仮に百万歩ぐらい譲ってアヴァンティ氏の言う「心霊」が存在したとして、それってこの法律ができるよりずっと前に亡くなった人の霊なのでは。

トニヤさんとレイチェルさんはアヴァンティ氏に対し、差別的な貸し方をやめること、公正な住宅取引のための研修を受けること、慰謝料および懲罰的賠償と、裁判費用を支払うことを求めています。以下、ラムダ・リーガルのOmar Gonzalez-Pagan弁護士の意見です。

「近所の人が何を言うだろうかという心配は、差別の言い訳にはなりません」

‘Worrying about what the neighbors will say is no excuse for discrimination,’

まったくその通りだと思います。

余談だけどこういう入居差別、日本でも別に珍しくないんですよ。以下、『同性パートナーシップ証明、はじまりました。 渋谷区・世田谷区の成立物語と手続きの方法』(エスムラルダ&KIRA著、ポット出版)より、同性パートナーシップ登録に関して世田谷区長宛てに提出された要望書に記載された、当事者からの声を拾ってみます。

二人で最初にアパートを借りようとした時に不動産屋から男同士には貸さないけど、そんなに言うなら管理費を倍支払えば大家に掛け合ってやると言われ、仕方なく6年間、毎月、倍(3000円×2)支払ったこと。おかしいことをおかしいと言えず、悔しい思いをしたことがあります。

部屋探しの際同性同士だと、将来片方が異性と結婚して出て行ってしまい、そうしたら住み続けられないのではないかと、快く思われず、断られることがあります。

部屋を借りる時に同性同士だとなかなか、借りられなくて困ったこともあります。女性同士のパートナーだと明言するとどんな反応が来るかわからないので、ルームシェアと伝えて探すのですが、そもそれは真実ではないという違和感がある上に、女性同士だとどちらか片方が結婚したらどうするのかなど質問されて粘られることはままあります。

過去の亡霊が何を言おうと、不平等は不平等。現在生きている人間が、是正していかなければならないと思います。