石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ハーレムのヘイト教会がLGBTユースのシェルターに変わるかも

The Blood of Jesus Atlah World Missionary Church is apparently run by Nutjobs
The Blood of Jesus Atlah World Missionary Church is apparently run by Nutjobs / pasa47

米国ニューヨークのホモフォビックな教会が、借金と税金の不払いのため競売にかけられることになりました。LGBT支援団体がこの建物を買い取ってLGBTユースのシェルターにする計画を立て、クラウドファンディングで資金を募っています。

詳細は以下。

LGBT Youth Shelter Aiming To Take Over Harlem Hate Church | NewNowNext

この教会は、ハーレムにあるアトラー世界宣教教会(Atlah Worldwide Missionary Church)。看板に「イエスならホモに石を投げるだろう」だの「ハーレムに移り住むホモの多くは黒人の肉体を狙っている」だのという文章を表示したり、牧師が「(ゲイフレンドリー企業の)スターバックスのラテは男色者の精液で味付けされている」と発言するなどして熱心にホモフォビアを扇動し続けてきたことで有名です。地域住民からこのようなヘイト発言を問題視され、抗議行動を起こされたりもしています。

そのアトラー教会が、税金と借金の滞納のため差し押さえを受け、2016年2月に建物を競売にかけられる予定となっているのだそうです。そこでホームレスのLGBTユース支援などに取り組んでいるニューヨークの団体、アリ・フォーニー・センター(Ali Forney Center, AFC)が、この建物を購入してシェルターとして使うため、クラウドファンディングを立ち上げました。

以下、クラウドファンディングのページより引用。

「若者たちが家から追い出されてしまう最大の理由は、両親のホモフォビックでトランスフォビックな宗教的信念です」と、AFCの創始者で事務局長のカール・シシリアーノは言った。「ですから、若者たちがマニング(訳注:アトラー教会のデイヴィッド・マニング牧師のこと)によるLGBTコミュニティへの憎悪や暴力を扇動するメッセージにさらされるのは、わたしたちにとって恐ろしいことでした。ハーレムに住むとてもたくさんの人びとが若者の支援のために立ち上がってくれたことや、この多くの憎悪が発信された場所で緊急に必要とされるケアを提供するように促してくれているということは、わたしたちにとってこの上なく大事です。もしもわたしたちがこの場所を手に入れることができれば、愛が憎悪に対して真の勝利をおさめたということになるでしょう」

"The biggest reason our youths are driven from their homes is because of homophobic and transphobic religious beliefs of their parents", said Carl Siciliano, founder and executive director of AFC. "Because of this, it has been horrifying for us to have our youths exposed to Manning's messages inciting hatred and violence against our community. It has meant the world to us that so many Harlem residents have stood up to support our young people, and are now urging us to provide urgently needed care at the site of so much hatred. If we are able to obtain the space it would truly be a triumph of love over hatred."

クラウドファンディングの当初の目標額は20万ドル(約2400万円)で、AFCはこれを元に自治体に協力を呼びかけたり、さらに大口の寄付や基金などを募ったりしていく予定とのこと。日本時間で2016年2月1日現在、既に8万4千ドル(約1000万円)以上の資金が寄せられています。

この計画が実現したら本当にすばらしいと思うのですが、気になるのは宗教右派などがアトラー教会に寄付をして、負債を肩代わりしてしまわないかということ。アンチゲイなインディアナのピザ屋に寄付金が降り注いだのと同じことが、ここでも再現されなきゃいいんだけど。もっとも、悪名高い反同性婚団体NOMが2014年の時点で財政破綻の瀬戸際にあると言われ、2015年になっても資金が集まらずに必死で寄付を呼びかけていたことから考えると、いくら宗教右派でも寄付する先は選ぶのかもしれないとも思います。「白人のホモが黒人の男を狙っている」など、人種偏見の面でも問題がありすぎる主張を掲げている教会が、この先多数の支持を集めるとも思えませんしね。宗教団体が街角で憎悪を扇動したところで誰の命も救われませんが、シェルターができれば確実にたくさんの人が助かるので、本当に「愛が憎悪に勝利をおさめ」てくれるよう願っています。

アリ・フォーニー・センターのクラウドファンディングについて、詳しくは以下のページをどうぞ。