石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

米テキサス州でトランス女性殺さる

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2016年1月22日、米国テキサス州でトランスジェンダー女性のモニカ・ロエラ(Monica Loera)さんが殺害されました。2015年に22人ものトランスジェンダー女性が殺されたと言われる米国で、早くも2016年の被害者が出たわけです。

詳細は以下。

Texas Trans Woman Becomes Grim Statistic | Advocate.com

ロエラさんは当日午前3時、同州オースティンの自宅玄関前の階段で銃で撃たれ、ユニバーシティ・メディカル・センター・ブラッケンリッジに運ばれて死亡宣告されました。トラヴィス郡の検察医が殺人事件と判断し、警察は29歳の容疑者ジョンケイシー・ローウェル(JonCasey Rowell)を逮捕。Autostraddleによればロエラさんはセックスワーカーで、ローウェルは客だったらしく、近隣の住人は銃声がする前にふたりの争う声が聞こえたと言っているそうです。

さらにひどいのは、地元の警察とメディアがロエラさんのジェンダーを「男性」とし、男性名と性別移行前の写真を使って事件を伝えたため、これが2016年初のトランスジェンダー殺人事件だということさえすぐには広まらなかったということ。このことについて、同州ダラスの非営利団体「トランス・プライド・イニシアティヴ」(Trans Pride Initiative)のニール・ゲイサー(Nell Gaither)代表は以下のように述べています

またもやトランスジェンダーの人が殺されたことで、2016年初頭の静けさは、わずか3週間で叩き壊されてしまいました。

"It took only three weeks for the initial quiet of 2016 to be shattered by the murder of another trans person,"

モニカ・ロエラのご家族とご友人に心からのお悔やみを申し上げます。わたしたちの怒りは、わたしたちのアイデンティティーを抹消し、わたしたちのコミュニティーや家族をさらに犠牲にし続けている、抑圧的で意固地なほどに敬意を欠いた警察と報道機関にまさに集中しています。2016年には、当局によるこのようなさらなる暴力に、弁解の余地はまったくありません。

"Our thoughts and sympathies are with the family and friends of Monica Loera, and our outrage is centered squarely on the oppressive and willfully disrespectful police and media systems that continue to erase our identities and further victimize our communities and our families. In 2016, there is no excuse for such additional violence from the authorities.

ここ数ヵ月の間に、日本人のシスジェンダー男性で、トランス女性について「男性の責任の重さを逃れ、女性という『楽な』道に『逃げている』」という謎すぎる認識(人によって言い回しは多少違いますが)を持っている人というのを複数人見かけたんですけど、そういう人たちはおそらくトランスジェンダーをとりまく現実については露ほどもご存知ないのでしょうね。「楽だ」とか「逃げている」とかいう発想の根底にあるのはおそらく「女は男より楽なはず」という素朴きわまりないセクシズムなのでしょうが、まずそこからして間違っている上に、トランスジェンダー女性はシスジェンダー女性よりさらに不利な立場に置かれやすいという事実をまったく理解していないという点で二重にダメなのでは。……などと思っていた矢先のこの事件だったので、「これのどこが『楽』だよっ!? ふっざけんな!!」と余計に憤ってしまったわたくしでした。亡くなられたモニカ・ロエラさんが安らかに憩われるよう、心から祈ります。