石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

米国の日本料理店シェフ、バレンタインデートのレズビアンカップルに「男が必要」「家に行ってやる」とセクハラ

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米国インディアナ州のレズビアンカップルが、バレンタインデーのデートで訪れた和風ステーキハウスでシェフから失礼な対応をされたとFacebookで告発しています。

詳細は以下。

This Lesbian Couple Was Insulted by Their Hibachi Chef, So They Left Him a Special Tip

同州ラファイエットのエリー・パーカー(Ellie Parker)さんとルーシー・ステンガー(Lucy Stenger)さんは、2016年2月14日、和風ステーキハウス「アサヒ」にバレンタインデーのディナーを食べに行きました。しかしながら、店のシェフの言動のため、せっかくの夜はだいなしに。以下、パーカーさんのFacebookより引用します。

シェフがわたしたちの料理をグリルしに来て、一緒にいる人は彼氏や夫なのかとみんなに尋ね始めました。彼はわたしと彼女のところに来て、わたしたちのバレンタインのデート相手はどこなのかと聞きました。わたしたちは、お互いがバレンタインのデート相手なのだと言いました。ちなみにわたしたち、手をつないでいたんですよ。どう見てもカップルだったんです。すると彼は、「ああ、それは違法じゃないが、男がいないだなんてもったいない」と言いました。

Our chef came to grill our food for us and was asking everyone if the person with them was their boyfriend or husband. He got to my girlfriend and I and asked where our valentines were. We told him we were each other's valentines. We were holding hands mind you. Clearly a couple. He proceeds to say "well it is legal, but it's such a waste to not have a man."

「もったいない」っていうのはレズビアンがぶしつけな異性愛者からしょっちゅう言われることですが、ちょっと想像してみてください。ある日あなたの前に手が4本ある宇宙人が現れ、「2本しか手を持たずに生きるだなんてもったいない。あと2本手を生やしてやろう」と言われたら、はいそうですかという気になる? いらないもんはいらないんだよ!

なお、シェフはこの後もさらにパーカーさんたちの関係を侮辱し続け、「アツくしてやる」("heat things up")ために自分がパーカーさんたちの家を訪問してやってもいいなどとも述べたのだそうです。何サマだよまったく。ポルノの見過ぎだろ。

このような失礼な接遇への返事として、パーカーさんはレシートのチップ欄に以下のように書き込んで(つまり、チップを払うことを拒否して)会計を済ませたとのこと。

バレンタインデーに男が必要だとレズビアンに言わないでください

Don't tell lesbians they need a man on Valentine's Day

当然の対処だと思います。

このレシートの写真は、Facebookで見ることができます。なお、「アサヒ」の代表はMicの取材に対し、この申し立てに心当たりがないとし、パーカーさんの投稿が何を言っているのか「まったくわからない」と述べているそうです。

Yelpでこの店の評判を調べてみたところ、「異性同士の夫婦で来店したところ、子供がいない/作る予定がないことをからかわれ、『彼女を酔っ払わせて子種を仕込め』と言われた」なんていうレビューが見つかりました。また、今回のレズビアンカップルの件に触れ、「店のオーナーはネットに、あれは面白いつもりで言ったことで、ショウの一部だったとする投稿を上げた。あれは面白くなんかない。セクハラだ」と指摘している人も。これらの声が本当だったとしたら、ひょっとしてこの店、典型的な日本式のセクハラ発言を何か面白いことだと思い込んで、米国でも平気で垂れ流してるってことなんじゃ……? もしそうなら、さっさと訴訟のひとつも起こされて、ケツのケバまでむしられてしまえっ。

その昔日本企業が相次いで米国に進出したとき、日本型のセクハラを野放しにしていて軒並み訴訟を起こされたでしょう。それで負けに負けて高額の慰謝料を払わされたため、今では少なくとも大企業ならそんな失態は演じなくなってきているはずなのですが、個人経営の店だといまだにこうしたハラスメントに鈍感なままなんでしょうか。米国なら企業向けに感受性訓練(sensitivity training)やセクハラ予防セミナーを提供するビジネスはいくらでもあるだろうし、そういうところに頼めばいいのに……とは思ったものの、経営陣が日本的な感性しか持ち合わせていない場合、そもそもなぜそういった教育・訓練が必要なのかということからして理解できていない可能性もあるかも。やっぱり早いとこ訴訟のひとつも起こされてケツのケバまで(以下略)