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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャー。

ルッキズムに反対する豪シリアルCMにレズビアン・キスが登場

LGBTニュース 百合/レズビアン

Kellogg's Special K Original (400g) ケロッグスペシャルkの元の( 400グラム)

ケロッグのシリアル「スペシャルK」のオーストリア版CMに、女性同士のキスが登場しました。ルッキズムに反対し、「不完全な自分を愛そう」とすべての女性を力づける内容なのですが、一部の人はやはりこのキスがお気に召さなかった模様。

CMはこちら。

このCMはまず、10人中7人の女性が週に1度は「自分の身体が嫌いだ」と感じているというデータを紹介した上で、すべての女性が外見よりももっと大事なことを変えられる、視点を変えて完璧な不完全さを誇ろう、「あなたはそのままで十分」("You are good enough")という心の声に耳を傾け、誇りを持って自分をまるごと「これが自分だ」と思おうと呼びかけています。

で、生き生きと活動する女性たちを描いた後半部分で、0:49のところに女性同士のキスが出てくるんですよ。その直前には男女のキスシーンも描かれており、まったくフェアな表現だと思うんですが、7歳児を持つある視聴者は、オーストラリア広告基準局(Advertising Standards Board)にこんな苦情を提出したとのこと。

「あのこーこく[原文ママ]はふたりの女性がキスするところを見せたところで台無しになっています」

“The add [sic] was ruined where it showed two women kissing.

「あの肉体的行為は、わたしたちの社会の誰もが選んで買って食べる可能性がある朝食用シリアル製品とは何の関係もありません。にもかかわらずあのようにしたのは、特別のアジェンダ(公衆の感覚を鈍らせるとか)が原因なのではないかと考えるよりほかありません」

“Why it did one can only wonder perhaps it was trying to support a particular agenda (eg desensitising the public) however regardless, that physical act doesn’t have anything to do with a breakfast cereal product that anyone in our society might choose to purchase and enjoy.

「わたしはあのキスに反対します。レズビアンのメッセージを始終顔に押し付けられる必要があるのでしょうか。うちの7歳の息子が自分の部屋であんなことを見る必要はありません」

“I object to the kiss. Must we have the lesbian message shoved in our faces all the time. My 7 year old boy doesn’t need that happening in his lounge room.

それを言うなら男女のキスだって朝食用シリアルとは直接関係がないし、バイオリンの演奏も、プールで泳ぐことも、ボクシングもダンスもウエディングドレスもやはり関係がないはずなのですが、そこにはなぜか言及しないんですね。男女のキスシーンを「異性愛のアジェンダを始終非異性愛者の顔に押し付ける」ことだとはとらえない一方で、女性同士のキスが画面に映ったとたんに突然被害者ぶり出すという非対称性も滑稽のひとこと。いくら自分が「わたしたちの社会」の中には女性を愛する女性がいるという現実を「うちの7歳の息子」に隠しておきたいからって、自分以外も率先してそのウソに協力するのが当然だなんて思わないでよねまったく。

第一、このCMは「すべての女性」に向けたもののはずなのに(何度も"100 % of women"とか"all women"とか言ってますよね)、そこで異性愛者以外を出すなというのはおかしいでしょ。「そのままで十分なのは異性愛者だけです」なんてメッセージをかもし出したらCMの趣旨が根底から崩れてしまうし、心ある異性愛者までもがケロッグ製品を買わなくなってしまうのでは。

なお、この苦情に対するケロッグの発表(抜粋)はこんな。

「謹んで申し上げます。立腹される方もいらっしゃいますが、この広告は、宗教もしくは性的な好みという点も含めて、あの場面をなんらかの個人または社会集団を中傷するようなやり方で描いてはおりません」

「女性の多様なリアリティーを祝福する広告の文脈で、ふたりの女性のキスを短時間描いた場面が、宗教または他の信念をお持ちのお客様を、オーストラリア広告主協会の規定に反するようなかたちで差別または中傷することはあり得ません」

“We respectfully submit that whilst some individuals may be offended, the advertisement does not depict the scene in a way that vilifies a person or section of the community, including on account of religion or sexual preference.

“A scene briefly portraying two women kissing, in the context of an advertisement that celebrates the reality of female diversity, cannot be regarded as discriminating against or vilifying consumers with religious or other beliefs in a manner contrary to the AANA Code.”

オーストラリア広告基準局は、該当の場面は非常に短く、前後の文脈から言って不適切ではないとして、この苦情を却下したとのことです。