米国テキサス州の男性が、トランスジェンダーの人々が性自認通りのトイレを使うことを禁じる法律(通称『トイレ法』)の問題点を、娘を持つ父親の立場からわかりやすく批判しています。
詳細は以下。
Dad’s Facebook Message About Daughter Perfectly Destroys Case For “Bathroom Policing” / Queerty
この男性、スティーヴ・ラドナー(Steve Rudner)さんは、Facebookでまずこんな風に話を切り出しています。
わたしは21歳の娘を持つ父親です。心配なことがたくさんあります。娘がレイプされることが心配です、レイプ事件はたくさん起こっていますから。
I'm the father of a 21 year old daughter. There are lots of things I worry about. I worry about her being sexually assaulted, because that happens a lot.
この後ラドナー氏は、娘さんが酔っ払ったドライバーにはねられることや、銃犯罪の被害者になることも心配だと述べ、その理由はそうした事件が「たくさん起こっているから」だと説明しています。
白眉はここから。
わたしが心配していないことは、これです。娘がトイレでトランスジェンダーの女性に襲われることは心配していません、なぜなら(a)そのような事件は一度も起こったことがなく、(b)トランス女性というのは、わたしが会ったことのある人々の中でもっとも不当な扱いを受けていて、もっともトイレでわいせつ事件を起こす可能性が低い人たちだから。彼女たちは、ただトイレで小用を足したいだけなのに暴力をふるわれるということを恐れているのです。
Here's what I do not worry about: I don't worry about her being attacked in a restroom by a trans woman because (a) it has never happened; and (b) trans women are the most victimized group of people I've ever met, and the least likely to commit a crime of indecency in a restroom, because they are afraid of getting beat up when all they want to do is pee.
これは統計的事実を踏まえた発言です。米国の複数の専門家たちによれば、トイレでトランスジェンダーの人がシスジェンダーの人に対して性的なハラスメントや暴行事件を起こした例はなく、差別禁止法(トランスジェンダーの人々が性自認通りのトイレを使うことを認める法律)を作れば性犯罪者が女性用トイレに入り込むという説は「見かけ倒しと呼ぶよりさらにひどい」("beyond specious")のだそうですから。
逆にトランスジェンダー女性がトイレで暴力をふるわれた例なら、山のようにあるんですよこれがまた。ちょっと検索するだけでこれだけ出てきました。
- ニューヨークの歴史的ゲイバー、「ストーンウォール・イン」のトイレでトランス女性が男性にレイプされる(Trans Woman Raped Inside Bathroom At Historic Gay Bar - CrimeFeed)
- ネブラスカ州のクラブで男性がトランスジェンダー女性を追い掛けて女性用トイレに乱入し、暴力をふるう(Omaha party DJ arrested for barging into club restroom to attack trans woman)
- ボルティモア州のマクドナルドでトイレを使おうとしたトランスジェンダー女性が他の客から暴力をふるわれ、トイレから引きずり出される(従業員は傍観)(Transgender Woman Severely Beaten at Baltimore McDonalds While Employees Watch | The Bilerico Project)
- デラウェア州の高校のトイレで16歳のトランスジェンダー少女が暴力をふるわれ死亡(Delaware Teen Dies Following Brutal Attack in High School Bathroom That Involved ‘Multiple Girls on One’ | TheBlaze.com)
こういう現実に起こっている暴力を食い止めるために差別禁止法が必要なのに、そこには目をふさいで、ありもしない架空の「被害」を盾に差別を続けようとするってどういうことよ。
ちなみに先述のラドナー氏のFacebookポストの締めの部分を訳すと、こんなです。
そして、わたしが心配していないことは他にもあります。わたしは自分の娘がトランスジェンダーの男性や、女性や、子供たちに大して残酷で非人道的なことをする心配はしていません。妻とわたしは娘を社会的な価値基準を持つよう育ててきましたし、娘は親切な人間ですから。世の中には、心配すべきことがあります。そして、差別と憎悪のアジェンダを隠すために、誰かがあなたに心配させようとすることもあります。目を覚ましてください。
And here is something else I don't worry about: I don't worry about my daughter being cruel and inhumane to trans men, women or kids, because my wife and I have raised her to have values and because she is a kind person. There are things to worry about. and then there are things people want you to worry about to conceal their agenda of discrimination and hate. Wake up.
おっしゃる通り。シスジェンダーには「差別を禁止したら自分たちが被害に遭うのだ、自分たちこそ被害者だ」という差別者御用達のロジックをさっさと捨てて、トイレ問題で困っている人の意見を真摯に聞き、自分たちからの加害を最小にするための策を講じる責任があると思います。