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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャー。

BBCの新作ドラマ版『夏の夜の夢』にはレズビアン・キスが登場

LGBTニュース 百合/レズビアン ドラマ

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シェイクスピア没後400周年の今年、BBCで放映予定の90分ドラマ版『夏の夜の夢』に、ティターニアとヒポリタのキスシーンが登場するそうです。翻案を担当したのは、ゲイドラマ『クィア・アズ・フォーク』の脚本家、ラッセル・T・デイヴィス。

詳細は以下。

BBC adds lesbian kiss to Midsummer Night's Dream

原作未読の方のために一応言っておきますが、ティターニアは妖精の女王、ヒポリタはアマゾン国の女王で、つまりこのドラマには女性同士のキスが出てくるというわけ。本作品のエグゼグティブ・プロデューサー、ラッセル・T・デイヴィスは、シェイクスピアの書いたティターニア像が夫オーベロンに対して服従的("submissive")なのが嫌で、このような変更を加えたとのこと。「今は2016年で、これが現在の世界なんだ」、「文句を言うのは愚か者だけだ」というのが彼の意見です。

この改変についてシェイクスピアリアンの学者たちがどのように感じると思うかと問われて、デイヴィスはこんな風に答えています。

「すばらしく幸せだと思うだろうね。シェイクスピア純粋主義者であるということは、想像力や、ドラマや、真実、楽しさ、正直さに恋をしているということだ。ほんとうに、これが問題だと思うのは愚か者だけだよ。演劇というのはそういうもので、常にすべての世代のためにまったく新しい姿にモデルチェンジしていくんだ。

“Perfectly happy. To be a Shakespeare purist means you're in love with imagination and drama and truth and fun and honesty. Really only idiots might have a problem with that. That’s what plays do; they reinvent themselves constantly, for every generation.

ちなみにシェイクスピアの脚本ではこの物語は2組の男女の結婚式で幕を閉じるのですが、デイヴィスはこの「ヘテロセクシュアルな結末」も変えたいと言っているとのこと。つまり、クィアな要素はレズビアン・キスだけじゃないんです。このドラマは2016年5月末、プライムタイム(和製英語で言うと『ゴールデンアワー』? 大人も子供もTVを見ている、もっとも視聴率の高い時間帯のこと)に放映される予定なのだそうで、子供の視聴者層についてデイヴィスはこんな風に言及しています。

子供たちにはこれを見て、このファンタジーの真ん中にあるリアルな世界を目にしてほしいと思う」

I want children to come and watch this and see the real world in the middle of this fantasy.”

なお配役は、ティターニアがMaxine Peake、ヒポリタが Eleanor Matsuura、テセウスがJohn Hannah、ボトムがMatt Lucas。見たいなー、これ。シェイクスピア作品というと日本ではわりと「古典」とか「教養」とか「権威」だと思ってる(しかも戯曲を読まず、舞台も見ないうちから)人が多そうな気がするけど、実際にはもっと猥雑だったり破天荒だったりはちゃめちゃだったりご都合主義(誉め言葉)だったりする、要するに何でもありのスーパー娯楽だとあたしは思ってるので、こういう改変も当然ありだと思います。NHK BSあたりが日本語字幕で放映してくれないかなー。