石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

Apple、日本向けCMからレズビアンカップルを削除(追記あり)

Apple
Apple / Contando Estrelas

Appleが、今年の母の日用のCMで、いくつかの国での放映分ではレズビアンカップルが登場する場面を削除していると指摘されています。日本向けのバージョンでも、レズビアンカップルは消されてしまっています。

詳細は以下。

Apple ‘edited out’ lesbian mums from international TV ads · PinkNews

このCM、"Shot in iPhone"(『iPhoneで撮影』)は、2016年の母の日のキャンペーン用に製作されたもの。米国、英国、カナダ、オーストラリアで放映されたオリジナル版はこちらです。

0:12のところで、ふたりの赤ちゃんを間に挟んでベッドで寝ている女性ふたりが映るでしょう? ほら、この場面。

この女性たちは実在のカップルで、メラニーとヴァネッサ・ロイ(Melanie and Vanessa Roy)さんといい、この子たちのお母さんです。

それが日本向けバージョンでは、こう。2016年6月3日追記:この動画はその後YouTubeから消され、オリジナル版と同じ(レズビアンカップルが削除されていない)映像を使った日本語CMが新たにアップロードされたようです。

メラニーさんとヴァネッサさんの場面が別の写真に取り替えられ、レズビアン・ファミリーの存在そのものが「なかったこと」にされてしまっていることがわかります。日本の他にはトルコ、ドイツ、フランスなどでもこちらのバージョンが放映されたそうです。

Apple的には「日本はホモフォビックな国だから、同性カップルは出さない方がカネになる」と判断したんでしょうかねえ。銭勘定で言えば正しいのかもしれませんが、日本に住むいちレズビアンのiPhone/iPadユーザとしては釈然としないものがあります。CEOや社員がパレードでレインボーの小旗振っとくだけでいつまでも「ゲイの権利支持」をアピールできると思ったら大間違いやぞコラ。Appleがこの件について今後何らかの声明なり弁解なりを発表するのか、それとも完全に頬被りを決め込むのか、注意して見ておく必要があるでしょうね。

追記(2016年6月3日)

上の方にも追記しましたが、レズビアンカップルが消された日本語CMは現時点ではYouTubeから消えています。その代わりに、オリジナル版と同じ映像を使った日本語CMが新たにアップロードされており、公開日は「2016/06/02」となっています。ということは、昨日差し替えられたのかも? 

調べたところ、トルコ語、ドイツ語、フランス語のバージョンも、レズビアンカップルが削除されていない方の映像を使ったものが新たにアップロードされ直している模様。どれも公開日は(日本時間で)2016年6月3日です。あたしゃてっきりAppleは「日本/トルコ/ドイツ/フランスで売っているiPhoneには、レズビアンカップルがセルフィーを撮ると自動的にひとり消されるフィルターがついています。これでレズビアンなど目に見えない世界が作れます。そう、iPhoneならね」ぐらいのつもりでいるのかと思ったんだけど、違ったのかしら。いずれにせよ、母の日用CMの脇の甘さをメディアに批判されて、6月になってから慌てて差し替えるだなんて、ダサさの極みですけど。