石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

シンディ・ローパーと『キンキー・ブーツ』のキャストら、ミュージックビデオで「トイレ法案」に反対

Kinky Boots: The New Musical Based on a True Story, Original Broadway Cast Recording

シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)とハーヴェイ・ファイアスタイン(Harvey Fierstein)、そしてミュージカル『キンキー・ブーツ』のキャストたちが、アンチトランスジェンダーな「トイレ法案」に反対するメッセージビデオを作りました。

詳細は以下。

Cyndi Lauper Pens New 'Kinky Boots' Lyrics: 'Just Pee' | Rolling Stone

動画はこちら。

歌詞はシンディとハーヴェイがこの動画のために新たに書いたもの。ちゃんと“I’m me! I don’t need ID to tell who am I and where I oughta pee!"と韻を踏んでるところが心憎いわね。

このビデオで問題視されている 「トイレ法案」("bathroom bill")というのは、トランスジェンダーの人々が自認するジェンダー通りのトイレやロッカールームを使うことを違法とする法案のこと。近年米国のいくつかの州で議会に提出されたり可決されたりしており、議論の的になっています。

法案賛成派の典型的な言い分は、「このような法律がなければ男性の性犯罪者が女装して女子トイレに入り込み、女子供を襲う」というものです。しかし、ニューヨーク・シティーやカリフォルニアなど、トランスジェンダーの人々が性自認に合致するトイレを使う権利を法的に認めた場所で、そのような事件が増えたためしはありません。女性への暴力根絶に取り組む諸団体も、上記のような説は「でっち上げ」(myth)であり、「トランスジェンダーの人々を差別することは、性的暴行のリスクを減らすのに何の役にもたたない」とする声明を発表しています。より詳しくは、以下をどうぞ。

シンディ・ローパーは、2016年3月にノースカロライナ州がこのような差別的な法案「HB2」(参考:ノースカロライナ州の「反LGBT法」の中身って何?企業の反応は?この後どうなるの? - #あたシモ)を成立させたことを受け、同州でのコンサートでの自分の利益を全額LGBT団体「イクオリティ・ノースカロライナ」に寄付すると発表しています。さらにその上、ハーヴェイ・ファイアスタインと組んで、この動画も作ったわけ。ハーヴェイがまた、いいこと言ってるんだわ。

「そうか、君らはトランスジェンダーの人たちが嫌いなんだな? 正直にそう言う度胸を持てよ。現代のトイレに関する議論を煽っているのは、40年前にゲイやレズビアンが教職につくことを禁止しようとしたのと同じ偏見持ちたちだ。これだけ年月がたっても、彼らはいまだに『ただ子供を守りたいだけだ』という主張の陰に隠れてるんだ。

"So, you don't like transgender people? Have the balls to honestly say it. Today's bathroom controversy is fueled by the same bigots that sought to ban gay and lesbian teachers forty years ago. All these years later they're still hiding behind the claim that they're only protecting their children.

しかし、ソーシャルメディアで大人の男性には男性用トイレを、大人の女性には女性用のトイレを、小さな女の子には小さな女の子用トイレを、小さな男の子には小さな男の子用トイレを、小さな女の子を連れた両親や小さな男の子を連れた両親には……とかなんとか主張する議論を見ているとねえ。そろそろ一歩退いて、わたしたちのばかばかしさを笑うときだよ。この動画は、人間はただ単におしっこするためにトイレに行く時もあるんだということを思い出してもらうためのものなんだ」

"But when I see discussions on social media proposing a men's room for adult males, a ladies' room for adult females, a little girls' room for little girls, a little boy's room for little boys and then another pair of bathrooms for little boys with a parent and little girls with a parent… Well, it's time to take a step back and laugh at our own absurdity.This video is a reminder that sometimes we go to the bathroom just to pee."

言われてみれば確かに、トイレ法(案)を支持する人の言うことって、ハーヴェイ・ミルクが戦った1978年の「提案6号」("Proposition 6"、カリフォルニア州の公立学校では同性愛者やゲイ・ライツの支持者を解雇できるとする提議。アニタ・ブライアントなどが『子供を守るため』と称して積極的に支持した)支持派の発言とそっくりよね。ほんと、もうこのばかばかしさを笑いながら、ミュージックビデオと一緒に歌いまくるしかないわ。

ちなみにこの動画、歌詞ですごくいいことを言っているので、興味がおありの方はぜひ動画右下の字幕アイコンをクリックして確認してみてください。ただ歌って踊って終わりじゃないのよ、笑いの中に終始ちゃんとメッセージがあるのよ。