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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ゲイカップルに熱湯をかけた米男性に懲役40年の判決

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「アトランタのゲイカップルが熱湯をかけられやけど 犯人は母親の彼氏 - 石壁に百合の花咲く」の続報。2016年8月24日、この事件の犯人に懲役40年の刑が言い渡されました。

詳細は以下。

Man who threw boiling water on gay couple will spend 40 years in prison - The Washington Post

事件のあらましを、前回のエントリから引用しておきます。

被害に遭ったマルケス・トルバート(Marquez Tolbert, 21)さんと恋人のアンソニー・グッデン(Anthony Gooden)さんは2016年2月、グッデンさんの住むアパートメントで眠っていました。そこにグッデンさんの母親の彼氏であるマーティン・ブラックウェル(Martin Blackwell, 48)が入ってきて、「そのゲイと一緒におれの家から出て行け」と叫びながら、やけどするほど熱い湯を彼らの全身にぶちまけたのだそうです。ふたりは首、背中、腕などに2~3度の熱傷を負いました。

2~3度の熱傷がどれぐらいの症状なのか、gooヘルスケアから以下に引用してみます。

2度熱傷
表皮の下の真皮に達する熱傷です。強い痛みがあり、熱傷受傷後24時間以内に水疱ができます。浅い2度熱傷は2〜3週間程度で治り、跡形を残しませんが、深い2度熱傷は治るまでに3週間以上かかり、痕形を残します。

3度熱傷
皮膚は壊死(えし)を起こして神経も変性するため、むしろ痛みを感じません。皮膚表面は白くなり、あるいは黒く硬い焼痂(しょうか)(焼けこげて黒くなった状態)でおおわれていることもあります。壊死を起こした皮膚はやがて脱落しますが、その後は深い潰瘍となります。熱傷を起こした部分に感染を起こすと、傷は深くなり、治りにくくなるとともに痕形も残りやすくなります。

トルバートさんは今でも1日のうち23時間は装具による圧迫療法が必要で、日光を浴びると創部が悪化するため外出困難だとのこと。トルバートさんよりさらにひどいやけどを負ったグッデンさんは、これまでに顔、首、背中、腕、胸、頭に皮膚移植手術を受けたそうです。

ワシントンポストによると、ブラックウェルは加重暴行など8つの罪状で有罪となり、懲役40年を宣告されたとのことです。ただし、ジョージア州の州法にはヘイトクライムの規定がないため、ブラックウェルは現在のところヘイトクライムでは起訴されていないのだそうです。

元記事にもあるんですが、ブラックウェルは熱湯をかけたのはこのカップルがセックスをしていたからであり、温度も「ちょっとした熱いシャワーのようなものだった」と主張していました。しかし実際にはこのカップルは疲れて眠っていただけだと言っていますし、ブラックウェルはわざわざ鍋を火にかけて煮えくり返らせた熱湯をふたりにかけたのであり、特にからだの60%をやけどさせられたグッデンさんは事件後数週間昏睡状態に陥ったほどひどいダメージを負わされています。これがヘイトクライムじゃなかったら、いったい何なの。

ところで、ゲイが熱湯をかけられてけがをした事件は、これまでうちのサイトで紹介した分だけでも他に2件あります。

米国、フィリピン、ドイツと起こった場所は違えど、どれも父親、おじ、母親の彼氏など、年上の男性からのパターナリスティックな暴力だという点がよく似ています。案外この加害者たち、「自分はただ命令に従っただけ」と主張したアイヒマンみたいに、「ただ男らしさの規範に従っただけ」なのかもね。同性愛は人を殺さないけど、「男らしさ」規範が生み出す暴力は簡単に人を殺すので、世界規模で早いとこなんとかした方がいいのでは。