石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

シリア難民のゲイカップルが別離後ノルウェーで再会

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イスタンブールで出会ったのち何か月も離れ離れになっていたシリア難民のゲイカップルが、ノルウェーで再会を果たしました。写真を! 見て!

詳細は以下。

This Syrian Couple's Reunion Will Make You Believe In True Love

このカップル、ネイダー(Nader)さんとオマール(Omar)さんはどちらもシリアからの難民で、トルコのイスタンブールで出会い、同居していました。しかし、ネイダーさんに国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からノルウェーへの再定住受け入れ通知が届いたため、ふたりは離れ離れに。

ふたりは婚約していましたが、トルコでは同性間のパートナーシップは法的に認められていないため、カップルとしてUNHCRに再定住申し込みをすることはできなかったのだそうです。「もしも異性愛者のカップルだったら、状況はずっと楽だったろう」と、上の記事では説明されています。

ふたりは指輪を交わし、荷造りをし、最後のキスをして離れ離れに。ネイダーさんがノルウェーのベルゲンに到着してからは、いつ会えるのかもわからないまま連絡を取り続けたとのこと。

待つこと6か月、ついにオマールさんのノルウェーへの亡命が認められました。空港で再会したふたりの写真をどうぞ。

この写真だけでも十分感動的なのですが、できたらぜひBuzzFeedに掲載されている一連の写真を一通りご覧になっていただきたいと思います。英文のキャプションは読まなくても大丈夫、写真だけで全部意味がわかるはず。

ところでこのニュース、「あらあら大変ねえ、同性婚できていたらよかったのにねえ」とかなんとか言うだけで終わらせられる話ではないと思います。というのは、ネイダーさんとオマールさんは同性愛者の難民としては相当ラッキーな部類で、中には以下の報道のような目に遭っている人もいるからです。

これは、難民としてトルコに身を寄せていたシリア人のゲイ男性が、2016年6月25日、頭部を切断されたバラバラ死体で発見されたというニュース。トルコのLGBT団体によれば被害者男性はこの5ヶ月前に誘拐されて暴力をふるわれ、レイプされていたのに、警察は何もしていなかったとのこと。トルコは登録されている人数だけでも約270万人ものシリア難民が住む国ですが、政府や警察はLGBTの人々に対しては敵対的で、LGBT難民はトルコ人のLGBT市民よりさらに法的に不安定な地位に置かれているのだそうです。結局のところ、問題は「結婚やパートナーシップ制度が認められているかどうか」ではなく、そもそもLGBTピープルが安全に生きるためには障壁が多すぎるということであり、難民という弱い立場に置かれるとその障壁が一層目に見えやすくなるということなのだと思います。「あらあら大変ねえ、同性婚できていたら(略)」だけで済むような単純な話じゃないのよ、本当に。