石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

オックスフォード英語辞典が「ジェンダー・フルイド」を新語として追加

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オックスフォード英語辞典(OED)の最新のアップデートで、「ジェンダー・フルイド("gender-fluid"、直訳すると『ジェンダーが流動的な』)」という語が新たに追加されたそうです。

詳細は以下。

'Gender-Fluid' Among Recent Additions to Oxford English Dictionary - NBC News

「ジェンダー・フルイドとはいったい何ぞ」とお思いの方のため、上記リンク先で紹介されているOEDでの定義も紹介しておきます。

オックスフォード英語辞典は、「ジェンダー・フルイド」を、「明確にまたは全面的に男性でも女性でもない;男女両性の」、または「単一の固定的な性自認を持たない人を指し示す語;流動性のある、もしくは固定されていない性自認を持っているか、そのように表現している人の/と関連のある」と定義している。

" The Oxford English Dictionary has defined "gender-fluid" as "not clearly or wholly male or female; androgynous," or "designating a person who does not identify with a single fixed gender; of or relating to a person having or expressing a fluid or unfixed gender identity."

ジェンダー・フルイドの自認を持つ人の例として、元記事ではドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のステラ役で人気のルビー・ローズ(Ruby Rose)が挙げられています。2014年に発表されたショートフィルムの中で、本人がそう名乗っているのだそうです。

そう言えば、奇しくもその『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のシーズン4(2016年)の中でも、「性的流動性」("sexual fluidity")という表現をビッグ・ブーが使ってましたよね。セクシュアリティー用語の中では、フルイド("fluid"、流動的な)あるいはフルイディティー(fluidity"、流動性)という言い回しは比較的新しいものだと思いますが、それがドラマの中でまでカジュアルに使われる段階を経て、今ようやく辞典にまで載るところまで来たというところなのだと思います。

なお、OEDのこのような動きについて、ジェンダークィア*1のLGBTQ活動家のジェイコブ・トビア(Jacob Tobia)は以下のようにコメントしているとのこと。

「わたしたちのアイデンティティーや考えやコミュニティーを辞書に付け加えることは、クィアな若者たちが自分たちには価値があり、愛されていて、自分を取り巻く世界から認められているのだと知るための強力な助けになります。これは歴史的な動きですよ!」

"Adding words about our identities, ideas, and community to the dictionary is a powerful gesture that helps young queer people know that they are valued, loved, and affirmed by the world around them. This is a historic move!"

性的マイノリティのひとり(レズビアン)として思うのですが、自分や自分と同じような人々を表す語や概念がなかったり、あるいはないと思わされてしまうのは、つらいことです。社会から押し付けられるステレオタイプと戦うには武器が必要で、ことばはその武器の中でももっとも強力なもののひとつだと思います。「ジェンダー・フルイド」のような新たな「武器」が人口に膾炙することで、より多くの人がより自由になれることを願っています。

*1:メリアム=ウェブスターによる定義をざっくり訳すと、ジェンダークィア("genderqueer")とは「性自認をもっぱら男性または女性のどちらかだけにカテゴライズすることができない人であるさま」の意。ジェンダー・フルイドとの違いは、こちらには性自認が固定的であるかどうかについての言及がないことですね。cf. Genderqueer | Definition of Genderqueer by Merriam-Webster