石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ホルツが好きなら絶対見とけ!―映画『ゴーストバスターズ(2016年)』特典映像感想(ネタバレあり)

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※映画本編(劇場公開版&エクステンデッド版)の感想はこちら。

ファンガール必見。日本語版にも入るんでしょうね、この特典!?

北米DL版*1の特典映像を鑑賞し終わりました。感想は「ホルツのファンなら絶対見とけ」です。未収録シーンのホルツ&恩師のいちゃいちゃやエリン相手の悪ふざけが、ファンガールなら見ずには死ねないレベルだからです。日本語版にも入るんでしょうね、これ!?

1. ホルツとゴーリン博士のやりとりあれこれ

上で書いた「ホルツと恩師のいちゃいちゃ」の代表的なものをいくつか抜き出してみました。以下、丸かっこ内は北米DL版の特典映像内での収録場所を指します。

1-a. 恩師の胸骨(Features > Extended & Alternate Scenes > Rebecca Gorin)

特典映像の中でもレズビアン的な意味で一二を争うぐらい濃かったのがこの場面。これはエンディングでホルツマンが恩師レベッカ・ゴーリン博士をアビーたちに紹介する場面の別テイクで、シーンの序盤にはホルツがアビーに「先生は握手はしない」と説明するくだりがあります。そういえばハイファイブも嫌がっていたし、ゴーリン博士は人との接触全般が嫌いなのか……と思いきや、その後の展開は意外にもこんな風になるんでした。(以下、訳文はすべて拙訳)

ゴーリン(計器から目を離し)「無謀だね、ジリアン。(引用者中略)だれかが激しくくしゃみをしただけで、この建物の中にいる人は全員ばらばらに分解されるよ」

ホルツ(叱られたいたずらっ子のように目をそらして)「はい」

ゴーリン「これがどれだけのパワーを持ってるかわかってる?」

ホルツ(目を伏せて)「失敗しちゃった」

ゴーリン(深く息を吸い込み、眼鏡を外して)「これほどあなたを誇りに思ったことはないわ」

ホルツ「本当に?」

ゴーリンは無言で両手を広げ、ふたりはがっしと抱き合う。

ホルツ(恩師の肩に顔を埋め、背中をぱんぱん叩きながら涙声で)「あの、すっごく愛してます、先生はわかってるよね?」

ゴーリン「わたしの胸骨が」

アビー(ホルツに)「あー、恩師の骨をへし折らないように」

ホルツは聞いてない。

ゴーリン(本気で苦しい)「ジリアン。胸骨が」

涙目で力一杯抱きついていたホルツ、ようやく恩師を離す。

ゴーリン「さあ、これをもっとパワフルにしましょう」

ホルツ(浮かれて)「めっちゃ強化しましょう」

ゴーリン「よろしい……(機械に向き直り)この緊急灯って必要なの?」

ホルツ(後ろから)「先生は怖いけど、そこが大好きです」

言っとくけど、ファンフィクションじゃないのよ、これ。本編未収録とは言え、公式の映像なのよ。本当にホルツが泣きそうになりながら"I freakin' love you, and you know that, right?"なんて殺し文句を直球で言い放ってるのよ。このふたりが最終的に本編に採用されたあの短いやりとりだけでびっくりするほど強い絆を感じさせるのは、ひょっとしたら背後にこうしたダイアローグの積み重ねがあったからなのかもしれません。

1-b. 23発(Features > Jokes A Plenty > Free For All)

これもハグの場面で、上記のシーンとはまた別のテイク。こちらではホルツとゴーリン博士は抱き合ったまま愛情を込めて互いの背中を叩き合っており、ホルツときたら一心不乱に23発もぱんぱん叩き続けています。「どれだけ恩師様のことが好きなんだよホルツ……」とつぶやきながら見ていたあたしに向かって、うちの彼女が言い放ちました。

「当たり前です! シガニー・ウィーバーが好きじゃないレズビアンなんていません*2!!」

うむ。確かに。つまり、キャスティングの時点で既にこのケミストリーは約束されていたも同然だったわけですね!

1-c. 「その眼鏡なら」(Features > Jokes A Plenty > Free For All)

至近距離で見つめ合っての会話シーン。

ゴーリン(ホルツの眼鏡をじっと見て)「その眼鏡なら、わたしも1本欲しいわ」

ホルツ(ささやき声で)「2本作ったんです。(うれしさを抑えきれない声になり)クリスマスまで黙ってるつもりでした」

ゴーリン「感動しすぎて言葉が出てこない」(涙を拭うため、眼鏡を外しながら)

おそろいの"Screw U"アクセサリーも、ひょっとしたらこんな風にしてホルツマンが2個作ったのでしょうか。こうなったらもう、いっそこのふたりを主人公にしたスピンオフ前日譚とか作ってくれればいいのに……!

余談ですが、監督のオーディオ・コメンタリーによれば、ホルツマンのキャラ作りのためケイト・マッキノンと即興(improv)のインタビューやリハーサルを繰り返した段階で、「ホルツマンは12歳で家出して、アンデス山脈で詐欺師をしていた」というむちゃくちゃな過去設定まで生まれているんだそうです。なら、そこからホルツがどうやってゴーリン博士と知り合い、なぜあんなにひたむきに心を寄せるまでに至ったのかを語る物語があってもいいんじゃない? もしもリブート版のPart 2が作られて、その中でフラッシュバックででも描いてもらえたら最高なんだけどなあ。無理かなあ。

2. ホルツからエリンへのちょっかいあれこれ

holtzbertシッパー(ホルツマンとエリンのカップリング支持派)を悩殺しようとしているとしか思えない映像も、数多く収録されていました。代表的なものはこのあたり。

  • ゴーリン博士からエリンは同僚なのかと聞かれたホルツ、「そうです、そうです。あと、あたしたち付き合ってます」と言い放つ。直後にエリンから「違います」ときっぱり否定されるけど。(Features > Extended & Alternate Scenes > Rebecca Gorin)
  • パティが霊柩車をみんなに見せるところで、ホルツマンがふざけて変な声でしゃべりながらエリンの腹をくすぐる。(Features >Extended & Alternate Scenes > Patty's Car)
  • 霊柩車の場面で、エリンの腹をくすぐるにとどまらず、しまいに抱きついてしまう。(Features > Jokes A Plenty > Holtzmann Gone Wild)
  • 初対面のエリンの手を取り、なぜか手の甲のにおいをかぎ、「ココナツの香りがする」と言い出す。終始エリンの目をじっと見つめながら。(Features > Jokes A Plenty > Holtzmann Gone Wild)
  • リアクターで大渦巻きのパワーを増大させる作戦を、なぜかエリンの鼻を人差し指でつつきながら説明する。(Features > Gag Reels > Gag Reel Round 2)

ゴーリン博士に対するホルツの態度が子犬だとしたら、エリンに対するそれは、気になる相手にちょっかいを出さずにはいられない子猫だと言えるでしょう。どちらも本編よりさらにアンストッパブルな感じで、見ていて大変楽しゅうございました。

3. その他

実は、アビーとエリンが冗談でキスしそうになる場面なんてのも全部で4種類も収録されています(場所はすべて、Features > Gag Reels > Gag Reel Round 1)。ただ、そのどれに対してもあたしのゲイダーはまったく反応せずじまいでした。そもそもどれもレズビアン的なケミストリーを狙って撮ったカットではないと思いますし。

このふたりに関しては、上記のキス未遂(というよりキス未満)の場面より、本編よりもさらに濃厚な友情描写の未収録シーンの方がパンチ力があったように思います。たとえばコロンビア大学前での喧嘩別れの場面や、アビーが自ら大渦巻きに飛び込む展開でのふたりの会話、アビーとホルツマンの仲良しぶりを見たエリンが嫉妬と孤独感で胸を痛めるくだりなどがそれで、既にあたしの頭の中ではこれらのシーンを使った別エクステンデッド版が形成され始めているほど。そんなわけで、友情萌えの方々にも、本編だけでなく特典映像も見てみることを強くおすすめしておきます。上記のシークエンスでのメリッサ・マッカーシーとクリステン・ウィグの演技、どれもすごくいいから。

まとめ

公式がファンの妄想を先取りして具現化したかのような映像が目白押しで、全部見終わって2日経った今でも正直まだ脳の処理が追いつかないほどです。日本語版ブルーレイも発売され次第もちろん購入する予定ですが、万が一にも特典映像が本国より減らされていたりしたら、あたしの怒りのパワーが日本のレイラインに流れ込んで第5のカタクリスムが勃発する可能性すら出てくるかも。どうか米国版とまったく同じ内容で、日本語字幕だけつけて発売してくれますように。

追記(2016年10月21日)

後日北米仕様のブルーレイを購入し、特典の内容を米iTunesのデジタルDL版と比較してみたところ、DL版より大幅に少ないコンテンツしか収録されていませんでした。何がどう違うかについてはこちらを。北米版のブルーレイには特典ディスクというものがなく、本編ディスクの中に特典映像も収録されているため、ひょっとしたらこれは容量の問題なのかもしれません。

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映画『ゴーストバスターズ(2016年)』関連記事一覧

*1:米国のiTunes Storeにて購入。

*2:もちろんこれは半ば冗談。でも、映画『エイリアン』シリーズでシガニーが演じた役(エレン・リプリー)が、それぐらい大きな衝撃と影響をレズビアン・コミュニティにもたらし、今も深く愛され続けているというのは事実です。