石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ショーン・ヘイズ、カミングアウトが遅かったことへの後悔を語る(シェール歌いながら)

If I Could Turn Back Time

同性愛者の米俳優ショーン・ヘイズが2016年10月23日、LAで「アウトフェスト・レガシー賞」のトレイルブレイザー賞を受賞し、自身のカミングアウトが遅かったことへの後悔をスピーチで表明しました。

詳細は以下。

Sean Hayes Says He's 'Ashamed And Embarrassed' For Staying Closeted | Huffington Post

スピーチの動画はこちら。ポイントは3:05あたりに出てくるシェールの歌ね。

ショーン・ヘイズは1998年に始まったシットコム『ウィル&グレイス』のゲイキャラ、ジャック役で名をなした人。この役でエミー賞も獲ってます。しかし本人がゲイであることを公言したのは意外に遅く、2010年になってからでした。その時点ではメディアから性的指向についてあれこれ言われることへの怒りを表明し、「自分の本当の姿を口にすることに苦労したことは一度もない」「クロゼットに入っていたことなんかない」などと発言していたショーンでしたが、今回のスピーチでは、それとはだいぶ違ったトーンの話をしています。以下、拙訳。

『ウィル&グレイス』は1998年に放映されました。今夜のイベントの発表によれば、ぼくは紋切り型の女々しいゲイの役を、愛すべき、欠点のある、リアルな人間にしたとのことです。これは真実かもしれませんが、思うに、見出しのトップに持ってくるのは「欠点のある」にすべきだったかもしれません。なぜなら当時のぼくは、初めてのささやかな成功を味わっていた若いクロゼットな役者で、残念なことに、このチャンスのためにどうしても「前進するためにはクロゼットにいなければ」と考えねばならないと思っていたからです。あのとき沈黙を選んだことを振り返ると、恥ずかしくてばつの悪い思いになります。いったいぼくは何を考えていたんだろう? つまりさ、異性愛者の役者なら、こんなことをするかい? 

Will & Grace was on the air 1998, and in the release for this event tonight it said I took the stereotypical gay sissy and made him human, lovable, flawed and real. While this may be true, I think you should have led with flawed because at the time I was a young closeted actor having his first taste of a little success and unfortunately, in my mind, my lucky break was inextricably tied to me thinking that I had to stay in the closet in order to keep moving forward. Looking back at my choice to stay silence, I am ashamed and embarrassed. What was I thinking? I mean, could a straight actor ever do this?

ここで上記のシェールの歌、"If I Could Turn Back Time." を歌うわけですよ、ショーンは。タイトルの意味(『もし時間が戻せたら』)にひっかけたジョークなわけです。その後、さらにはっきりとこんなことも言っています。

もっと早くカミングアウトするべきだったとわかっているし、そのことをすまなく思っています。(カミングアウトによって)他の誰かの人生によい変化をもたらすことができたかもしれなかったと思うときは、特にそう思います。

I know I should've come out sooner and I'm sorry for that. Especially when I think about the possibility that I might have made a difference in someone's life.

ここでさらにこう付け加えるところが、ますますいい感じ。

でも、こういうのが人生ってやつですよね。人間は、用意ができたときにしか学べないものなんです。

But such is life. We learn our lessons only when we are ready."

これは本当にそうですよね。第一、1990年代と現代とではあまりにも状況が違いすぎますし。ネイサン・レインだってカミングアウトしてなかったあの頃、まだ駆け出しだったショーン・ヘイズがクロゼットにとどまろうと考えたのは、無理からぬことだと思います。それに、ショーンがAdvocateで一応カミングアウトを果たした2010年にしたって、まだ"Don't ask, don't tell"やら結婚防衛法やらがあった時代なわけですから、いろんな意味で今とは大違い。2016年の今が、ショーンにとってちょうど「用意ができた」タイミングだったのだろうなあとこの動画を見て思いました。もう今後、著名人のカミングアウトについて「もっと早く言うべきだった」と注文をつけたがる人たち(ジョディー・フォスターの時とか、いっぱいいたよね)に対しては、全部一律で"If I Could Turn Back Time"を歌って返せばいいんじゃないかと思います。