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石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャー。

ニューヨーク新地下鉄駅に既婚ゲイカップルの壁画登場

LGBTニュース ゲイ

72nd street station sign
72nd street station sign / stevendamron

2017年1月1日(日本時間で2日)に米ニューヨーク市で新たに開通した地下鉄路線「セカンドアベニュー線」の駅のひとつに、手をつなぐ男性同士のカップルを描いたモザイク壁画が設置されました。モデルをつとめたのは、実在の既婚ゲイカップルです。

詳細は以下。

New subway station has public art rarely seen: A gay couple - seattlepi.com

まずは壁画の映像をどうぞ。

セカンドアベニュー線の今回開通した区間の長さは約2マイル(約3km)で、全部で4つの駅があり、そのそれぞれに別々の作家による現代アートのインスタレーションが施されています。上記のゲイカップルの壁画は72丁目(72nd Street)駅のアートの一部で、ブラジル人のVik Munizさんというアーティストが手掛けたものです。

Muniz氏が壁画の人物像の中にこのカップルを含めたのは、通勤で毎日地下鉄に乗る人々に、さまざまな(different)人を目にしてほしかったからだとのこと。この男性ふたりは、「単にみんなが見かけそうな人たち(just people you would expect to see)」なのだとMuniz氏は話しています。

クィア・アート史の専門家、Jonathan David Katz氏は、この作品を「ゲイネスをこの街の基本構造の中にある自然なものとして描き、それによってより力強いメッセージとなっている」ものだとして評価。また、このモザイク画のモデルとなった既婚ゲイカップルのPatrick Kellogg氏とThor Stockman氏は、以下のように話しているそうです。

「わたしたちの友人たちは、これがニューヨーク市の壁のゲイ描写だということを喜んでくれました。でも彼らがもっと喜んだのは、これが信じられないほど美しくて痩せていたりはしないゲイの描写であるということです」と、Kelloggは語った。Stockmanがこう付け加えた。「つまり、(壁画に描かれているのが)わたしたちのような、ただの十人並みの外見の男性たちだということですよ」

このKelloggさんとStockmanさんの発言、とてもよくわかる気がします。同性愛者というのは「ゲイは美的感覚にすぐれていて、ファッションや体型維持にも気を使っていて……」みたいなステレオタイプを押し付けられがちですし、時には「ゲイ/レズビアンでも美しければ認めてやってもいい」などのように、美醜によって存在の是非までジャッジされてしまうことだってあります。でも現実の同性愛者は、ヘテロと同じくいろんな人があたりまえにいて、「ただの十人並みの外見の」人だってものすごくたくさんいるんですからね。そして、別にカルバンクラインのモデルみたいな容姿をしていなくたって、ヘテロと同じく生まれた瞬間からこの社会のメンバーなんですからね。この壁画のような、いかにもそのへんにいそうな見た目のゲイ像をたくさんの人が日常的に目にすることで、いらん誤解やステレオタイプが少しでも減っていくといいなと思います。

ニューヨーク・タイムズによれば、72丁目駅に設置されたVik Muniz氏の一連のアートのタイトルは"Perfect Strangers"といい、駅の入り口からコンコースにかけて、全部で36人の等身大の人物像が描かれているとのこと。 Instagramで既にそのほぼ全貌を見ることができますが、上記のゲイカップルの他には、並んで地下鉄を待つ子供たちや、アイスキャンディーを持った警官、かばんから書類をまき散らしてしまって大慌てのビジネスマン、風船を持つ少女、買い物帰りの中年男性などが、どこかノーマン・ロックウェルを思わせる優しいタッチで表現されている模様。いつか実物をこの目で見てみたいものです。