石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

米国人の過半数がトランス差別的な「トイレ法」に反対

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米国で2017年2月に成人約2000人を対象に実施された電話調査で、回答者の半数以上が、トランスジェンダーの人々の権利を制限する「トイレ法」に反対していると答えたそうです。

詳細は以下。

Americans Oppose Bathroom Laws Limiting Transgender Rights: Poll - NBC News

「トイレ法」とは、トランスジェンダーの人々に、自認するジェンダーではなく「生物学的性」または出生時に割り振られた性別通りのトイレやロッカールームを使うよう強制する法律のこと。代表的なのはノースカロライナ州の「HB2」です。詳しくは以下をどうぞ。

オバマ政権では、連邦政府から補助金を受けているすべての学校に、トランスジェンダーの児童・生徒が認識している通りのジェンダーに合ったトイレを使えるようにしなければならないとする通達が出されていました。しかし、トランプ政権はこれを撤回すると発表しています。全米州議会議員連盟(National Conference of State Legislatures)によれば、この発表をきっかけに、新たに12もの州が「トイレ法」の導入を検討し始めているとのことです。

そんな中、Public Religion Research Instituteが実施したこの調査では、計2031人の回答者のうち53%がこのようなトイレ法には反対だと述べたとのこと。賛成は39%、「意見なし」は8%だったそうです。より詳しい結果については、以下のリンク先をご覧ください。

上記リンク先の「トイレ法」についての項目で興味深いのは、支持政党ごとの差異。民主党員ではこの法律に反対する人が65%、賛成する人が30%。支持政党なしの人では反対が57%、賛成が39%で、民主党員とそう大きくは変わらない比率でした。ところが共和党員ではこの割合が逆転し、反対36%に対し賛成が59%を占めるんです。

党ごとの違いで他に目立っていたのが、「以下の集団に対して、たくさんの差別があると思いますか」という問いに対する回答差。民主党員では「黒人」「同性愛者」「トランスジェンダーの人々」「移民」「イスラム教徒」などの項目で、多くの差別があると答えた人がそれぞれ約8割いたのに対し、共和党だとどれもほぼ約3~5割程度に過ぎないんです。なんと共和党員の間では、黒人は多くの差別を受けていると答えた人(27%)よりも、白人やクリスチャンが多く差別されていると答えた人の割合の方が多かった(前者は43%、後者は48%)んでした。うへー。まるで、ジェンダーギャップ指数が世界111/144位で、世界一男が家事をせずフルタイム労働者の男女賃金格差が約30%もあり、労働市場での男女平等度を示す「ガラスの天井指数」でも先進国29か国中28位男女の大学進学率に1.4倍の差があり全国会議員に占める女性議員の割合は世界193か国中163位、そして3日に1人妻が夫に殺されているこの日本で「日本では女性が優遇され、男性が差別されている」と信じて疑わない一部の日本人男性みたいね……。

前から思ってたんだけど、トランプ当選とともに「これまで抑圧されていた、隠れた『多数派』」によるバックラッシュが始まったという見方はあんまり正確じゃないんじゃないでしょうか。白人クリスチャンこそが差別されているのだと信じている共和党支持者が、(popular voteでは勝てなかったものの)トランプを大統領にできたことで大いに調子づいているってことも、かなりあるのでは。ほら、いくら「トイレ法」の提出が相次いでいるとはいっても、少なくともこの調査では反対派の方が賛成派より多かったわけですし。それにこの調査結果によれば、最近「トイレ法」と同じぐらい議論の対象となっている「宗教の自由法」(小規模企業のオーナーは宗教的信条を根拠に同性愛者に対するサービスの提供を拒否していいとする法律)に反対だと答えた人もやはり過半数(64%)を占めていたそうです。そして、LGBTの人々を保護するための反差別法に賛成した人も、全体の70%もいたとのこと。ホワイトハウスや州議会で差別的な政策やら法案やらが発表されるのを見るたび凹んでしまうことは否めませんが、米国全体に失望するのはまだ早いんじゃないかと、改めてちょっと思ったりしました。