石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

トランプ政権、2020年の米国勢調査(センサス)からLGBTQ関連の項目を削除

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米国勢調査局が2017年3月28日に発表した、2020年度の国勢調査(センサス)の計画で、当初予定されていた「性的指向と性自認」の項目が削除されていると判明。LGBTQの人々の存在を消そうとする動きだとして批判されています。

詳細は以下。

BREAKING: Trump Administration Omits LGBTQ People from 2020 Census | Out Magazine

米国の国勢調査は1790年に始まり、以後10年ごとに実施されています*1Out Magazineのことばを借りれば「話す言語から家の配管設備まで」事細かなデータを集めてきたこの調査ですが、性的マイノリティに関しては同性カップル世帯についてしか調査されていません。それすら必ずしも正確な統計とはなっていないようで、たとえばNational LGBTQ Task Forceによれば、これまでの米国勢調査で既婚の同性カップルとして回答した人々は、以下のような扱いを受けてきたとのこと。

  • 1990年:片方の性別を「異性」に変えて、「異性同士の既婚カップル」としてカウントされた
  • 2000年:「婚姻関係にない同性カップル」とされた
  • 2010年:国勢調査では「婚姻関係にない同性カップル」とされ、別表で既婚同性カップルについての推測値にまとめられた(注:そもそもセンサス2010では同性カップルの7組に1組が同性カップルとしてカウントされていなかったとする研究結果も発表されています)

これではとても、性的マイノリティの人々の生活をよりよくするためのデータが十分把握できているとは言えません。

Out Magazineによれば、2016年の段階で複数の連邦機関が国勢調査局に対し、性的指向と性自認をデータに含めるよう要求していたとのこと。で、2020年の国勢調査では、当初の予定ではその2項目が初めて入ることになっていたのに、3月28日に発表された計画では結局両方とも消されてしまっていたのだそうです。

これについて、National LGBT Task ForceのMeghan Maury氏は以下のような声明を発表しているとのこと。

今日、トランプ政権は国勢調査とアメリカ地域社会調査からわたしたちを除外することで、LGBTQの人々が望んでいる自由、正義、公正を拒絶するための一歩をまたしても踏み出しました。LGBTQの人々は国勢調査でカウントされず、性的指向や性自認に関するデータも収集されません。これらの調査から得られる情報は、政府が「女性に対する暴力法(Violence Against Women Act)」や「公正住宅法(Fair Housing Act)」 のような法律を施行したり、住宅供給やフードスタンプのようなリソースの配分を決定したりするのに役立つものです。地域社会の中にLGBTQの人々がどれぐらいいるのかを政府が把握していなければ、政府はどうやって、わたしたちが必要としている権利や保護やサービスへの公平で適切なアクセスを保証するという責務を果たすことができるのでしょうか?

Today, the Trump Administration has taken yet another step to deny LGBTQ people freedom, justice, and equity, by choosing to exclude us from the 2020 Census and American Community Survey. LGBTQ people are not counted on the Census—no data is collected on sexual orientation or gender identity. Information from these surveys helps the government to enforce federal laws like the Violence Against Women Act and the Fair Housing Act and to determine how to allocate resources like housing supports and food stamps. If the government doesn’t know how many LGBTQ people live in a community, how can it do its job to ensure we’re getting fair and adequate access to the rights, protections and services we need?

2016年の米大統領選でトランプが勝ったとき、あたしが何に衝撃を受けたって、「米国がまるで日本みたいになってしまった」ということでした。あれだけおおっぴらに人種・民族差別発言や性差別発言を繰り返してきた人間が支持され、権力の座についてしまうだなんて、まるでジャパンみたいじゃないですか。なので今回のこのニュースを見たとき最初に思ったのも「米国の日本化がまたここにも……」でした。日本の国勢調査では、性的マイノリティの存在を可視化するどころか、同性カップルですら「誤記」扱いですからね。詳しくは以下を。

ちなみにトランプ政権は最近、高齢者の国民健康調査から性的指向に関する項目を削除する動きを発表したばかり。どこまで行くんでしょうね、この性的マイノリティの不可視化。デブラ・メッシングとラヴァーン・コックスによる以下の会話に、心から共感しました。

訳:「ちょっと、どういうこと? 彼ら(訳注:LGBTQの人々のこと)の存在を認めないつもり? 彼らのアメリカ市民としての貢献を? 彼らが払った税金返してくれるの?」。

訳:「わたしは長年ずっと、データを集めることやLGBTQの人々の重要性について話してきました。わたしたちはただ、数に入れてほしいだけなんです」。

*1:現在では10年に1度のセンサスに加え、1年ごとの「アメリカ地域社会調査(American Community Survey)」という標本調査も実施されています。