石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

レズビアン母に「夫の権利」認める 米テネシー州で画期的判決

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米テネシー州の裁判所が、女性パートナーと離婚したレズビアンに対し、結婚中に妻とふたりで育ててきた子供に関する「配偶者の権利」を認めました。

詳細は以下。

Lesbian granted rights of 'husband' in same-sex divorce

この女性エリカ・ウィット(Erica Witt)さんは元妻のサブリナ・ウィット(Sabrina Witt)さんは同州ノックスヴィルの人。ふたりは2014年4月にワシントンDCで法的に結婚したのち、家を購入し、匿名のドナーから精子提供を受けて子供を持とうと決めました。そして2015年1月、サブリナさんが女の子を出産。当時のテネシー州では同性婚が認められていなかったため、お子さんの出生証明書にはエリカさんは親として記載されていません。

2016年2月、ふたりは離婚。同年6月、連邦第4巡回区控訴裁のグレッグ・マクミラン(Greg McMillan)判事は、エリカさんにはこの子供との「生物的なつながり」も「契約関係」もないとし、彼女の親権を否定する判決を下していました。同州の法律では、人工授精で生まれた子についての「父親」の権利は規定されているのですが、「その用語には互換性がない(『母親』の権利として読み替えることはできない)」と判事は述べたとのこと。

エリカさんの弁護士、ヴァージニア・シュワン(Virginia Schwamm)氏は、その法律は同性婚が法制化されるより何十年も前に成立したものであり、現在では合憲性に欠けるとして異議を申し立てていました。結局マクミラン判事は2017年5月、上記の判断を覆してエリカさんにサブリナさんとの共同親権を認めるに至ったのだそうです。

ABC Newsが指摘していますが、「父親("father")」、「母親("mother")」などジェンダー縛りのある用語で規定されている法的権利を、「配偶者("spouse")」の権利と解釈できるかどうかは、子供の生活にも大きな影響を及ぼします。これひとつで、たとえば子供の病気が親の健康保険でカバーできるかどうかが変わってしまうこともあるわけですから。そういった意味で、保守的と言われるテネシー州でこの判決が出たことは画期的だと思います。「同性カップルは子供を持たない(※と一部の異性愛者が思い込んでいるだけで、実際には違います)(※そもそも男女なら子供を持たなくても結婚できるので、子供の有無を争点にすること自体が変)のだから権利など認めるな」みたいな珍説がいまだに幅を利かせている日本は、保守的を通り越して二周ぐらい周回遅れなんだろうなあ既に。