石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2017年9月10日)

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台北當代藝術館でLGBTQアート展始まる

Groundbreaking LGBTQ Art Show Opens in Taiwan - Towleroad

台湾の台北當代藝術館(MOCA Taipei)で2017年9月9日から、LGBTQテーマの現代アート展が始まったというニュース。アジアの公立ミュージアムでLGBTQイシューについてのアートが展示されるのは、これが初なのだそうです。公式サイトによれば、この展示のタイトルは「光‧合作用-亞洲當代藝術同志議題展」("Spectrosynthesis - Asian LGBTQ Issues and Art Now")。台湾、中国、香港、シンガポール、米国、カナダなどから計22人のアーティストが参加しており、その大半が同性愛者で、ひとりがトランスジェンダーだとのこと。

YouTubeで作品の様子が見られます。


『サウスパーク』のビデオゲームはトランスジェンダーキャラでプレイ可能

South Park The Fractured But Whole (輸入版:北米) - PS4

You Can Play As A Transgender Character In New "South Park" Video Game | NewNowNext

米アニメ『サウスパーク』を基にしたゲーム"South Park: The Fractured But Whole"で、シスジェンダーだけでなくトランスジェンダーのキャラを選べるというニュース。ちなみに男性キャラしか使えなかった前作"South Park"(RPGゲーム)とは違い、女性キャラも選べるんだそうです。ただし、シスジェンダーの白人男性以外のキャラでプレイすると、入手できるお金の額や、「人々からの話しかけられ方」にネガティブな影響が出るようになっているとのこと。この皮肉さはさすがサウスパーク。

シカゴの図書館、ゲイな児童書撤去の要請に応じず

West Chicago Public Library denies request to remove gay pride book - Chicago Tribune

シカゴの公立図書館が、児童書のコーナーからゲイ・プライドに関する本を撤去してほしいという要請を断ったというニュース。

ことの起こりは、ミカエラ・ジャロス(Michaela Jaros)という女性が、3歳の娘から、同図書館の児童書コーナーにあった"This Day in June"という本について質問されて仰天したことにありました。こんな本です。

This Day in June

This Day in June

同書には同性カップルが抱擁したり手をつないだりしている絵が掲載されており、福音派キリスト教徒のミカエラさんと夫のカート(Kurt)さんの意見では「少なくとも(児童向けコーナーではなく)親のコーナーに移すべき」なのだそうです。

同図書館がこの件についてボード・ミーティングを開いたところ、そこに集まった150人以上のうち過半数が、この本をそのまま置いておくことに賛成しました。そして、ミーティング後に実施された理事の投票で、6対1でこの本は取り除かないと決まったのだそうです。図書館長のベンジャミン・ウェスロー氏は、「この本はいかなる意味でもセクシュアルなものではありません」と述べているとのこと。

カナダがチェチェンのゲイ・バイセクシュアル男性31人の亡命を認める

31 Chechen Gay and Bisexual Men Get Asylum in Canada - Towleroad

100人以上の男性同性愛者が拘束され、少なくとも3人が死亡していると報じられているロシア南部チェチェンから、カナダが31人の同性愛者・両性愛者男性の亡命者を受け入れたというニュース。トロントのNGO、レインボー・レイルロード(Rainbow Railroad)とカナダ政府が共に取り組んでこの亡命を実現させたとのこと。

今や白人クリスチャンは米国の少数派

White Christians are now a minority in America / LGBTQ Nation

非営利団体Public Religion Research Instituteが2016年に実施した調査で、「白人で、かつクリスチャン」という自己認識を持っている米国人は全体の43%に過ぎないという結果が得られたというニュース。ちなみに「白人で、かつプロテスタント」という自己認識を持つ人ともなると、30%しかいなかったとのこと。ただし、共和党員ではいまだに白人の福音主義プロテスタントが過半数を占めているのだそうです。

ということは、共和党員に「白人は黒人より差別されている」、「キリスト教徒は同性愛者より差別されている」などと事実に反することを信じ込んでいる人が多いのは、ひょっとしたら国内の白人キリスト教徒の絶対数が減ってきていることに対する不安から来てるの? 差別するかされるかの関係って、頭数だけで決まるものじゃないんだけど。

アンチLGBTな法案に賛成していた共和党の元上院議員が児童(男児)買春、児童ポルノ、性的人身売買などで起訴される

Former GOP state senator busted with teen boy now faces child porn charges too / LGBTQ Nation

元オクラホマ州上院議員ラルフ・ショーティー(Ralph Shortey)が17歳の少年とモーテルにいるところを少年の父親から通報され、この少年のタブレットなどに残っていた証拠から買春などの容疑で逮捕され、さらに児童ポルノや性的人身売買など4つの連邦法違反で起訴されたというニュース。

なお、ショーティーは議員だった7年間の間、事業主に同性愛者を差別することを認める法案などのアンチLGBT法案に常に賛成票を投じていたとのこと。こういうパターンが多すぎるんじゃないの、共和党(例1例2例3)。

LGBTの人々の5人にひとりはヘイトクライムの被害経験あり(英調査)

One in Five LGBT People Have Experienced a Hate Crime, New Study Reports | PRIDE.com

英国のLGBT権利団体ストーンウォール(Stonewall)と調査会社ユーガブ(YouGov)が英国在住のLGBTの人々を対象に2017年におこなった調査で、回答者の21%が過去12か月にヘイトクライムまたは性的指向や性自認を原因とする事件の被害に遭ったと報告したというニュース。トランスジェンダーの人々では、この数字は41%にまではねあがります。他にもいろいろシビアな数字が並んでいますから、ご興味がおありの方はぜひ報告書を読んでみてください。

チリの男性がホモフォビックな攻撃を受け15針のけが

Man gets 15 stitches in his face after homophobic assault in Chile

チリのプエルト・ナタレスにあるパブで2017年9月3日、パトリシオ・ディアス・ブラボ(Patricio Díaz Bravo)さんという男性が顔面にグラスを投げつけられ、15針縫うけがを負ったというニュース。加害者女性イェルカ・トレス・オヘダ(Yerka Torres Ojeda)は2年前から繰り返しホモフォビックな言葉でブラボさんののしりつづけていた人で、この日は暴言にとどまらず、平手打ちをしたのちグラスまで投げたのだそうです。オヘダは告訴され、プンタ・アレナスのPDI(policía de investigación)で取り調べ中とのこと。

ちなみにチリは南米の中でもかなり保守的な国で、同性愛が違法でなくなったのは1999年のことです。その後2015年から同性同士のシビルユニオンが可能になり、最近では同性婚を認める法案を大統領が議会に提出したりもしてるんですけど、まだまだ先は長いのかも。

トランプ支持者がノンバイナリーの反差別集会参加者を催涙スプレーで攻撃

Man charged with pepper-spraying transgender person

2017年9月3日、米国ニュージャージー州のアズベリー・パークで、「ヘイトに立ち向かおう」集会(Stand Against Hate rally)のためのポスターを作っていたノンバイナリー(性自認が性別二元論に当てはまらない人のこと)のAllie Kolarikさんにトランプ支持者の男性が近づき、催涙スプレーで攻撃したというニュース。加害者のモリス・メイ(Morris May)は、加重暴行および違法な目的での武器所持容疑で逮捕されました。以下、Kolarikさんのことば。

「彼は『リベラルは大嫌いだ、おまえらが大嫌いだ』と言っていました」とKolarikは言った。『おまえらは俺たちの権利を奪い取ろうとしている』。わたしは彼に『どんな権利?』と聞きましたが、彼は答えませんでした」。

"He was saying, 'I hate liberals, I hate you people,' " Kolarik said. " 'You're trying to take away our rights.' When I asked him, 'What rights?' he had no answer."