石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

おおむね堅調、サンバースも好調―ドラマ『スーパーガール』3x01感想

ポスター/スチール写真 A4 パターン16 スーパーガール 光沢プリント

まずまず快調な滑り出し

スーパーマンのいとこ、スーパーガール/カーラが主人公のアクションドラマ、第3シーズン*1。S2最終話での喪失から立ち直れないカーラの傷心を軸に、新たなヴィランの紹介などが進められています。いくつか不安要素はあるものの、おおむね堅調な回でした。

よかったところ

今回特によかったのは、以下のおなじみのキャラたちの活躍でした。

  1. DEO捜査官アレックス(カイラー・リー)と刑事マギー(フロリアナ・リマ)のレズビアンカップル、通称「サンバース」
  2. メディア女王キャット・グラント(キャリスタ・フロックハート)
  3. LコープのCEOレナ・ルーサー(ケイティ・マクグラス)

まずサンバースは、まるでサンディエゴ・コミック・コンで一部のキャストがLGBTファンから不評を買ったあの一件を埋め合わせるかのごとく登場場面が多く、アクションも盛りだくさんで、ふたりの間の愛と信頼も手堅く描かれていたと思います。アレックスがマギーをあたりまえのように「わたしのフィアンセ」と呼んだり、「ナショナルシティ史上最大の、最高にゲイなウエディング」("the biggest, gayest wedding that National City has ever seen")をすると言ったりしているというような、細かな描写の積み重ねもよかった。

次に、キャットについて。撮影地(バンクーバー)がキャリスタ・フロックハートの活動範囲から遠すぎるという事情は変わらないため今シーズンも不在かと思いきや、意外な方法で画面に登場しており、面白かったです。時事ネタを駆使した彼女の毒舌には、ちょっとSNLの「Weekend Update」みたいな趣があったと思います。毎週やればいいのに、あれ。

最後にレナ・ルーサーについては、シーズン2で雲散霧消しつつあったこの番組のフェミニズム・テーマを取り戻してくれそうな流れが大変楽しかったです。今後の活躍にも期待がかかるところ。

気になった箇所2点

S3E1の不安要素はまず、脚本の詰めの甘さです。「人命のかかった緊急事態の中、なぜかキャラが任務そっちのけでプライベートな会話を始める」という、シーズン2でも見られた謎現象がまた発生しており、大事なシーズンプレミアでこの雑さはちょっとないだろうと思いました。そんなんだからシーズン2フィナーレより視聴率が落ちているのでは?

それから、予測済みではあったものの、前シーズンで一旦退場したカーラの恋人、モン=エル(クリス・ウッド)が早くもうろちょろし始めているところも気になります。モン=エルは一部のファンから「ピザの上のパイナップル」と呼ばれるぐらいコントロバーシャルなキャラで、S2で彼の自己中心的なふるまいにカーラが振り回されるくだりなど、あたしの目には「『男の人ってこういうものだから仕方ないの……』という呪文を唱えつつせっせとセルフ纏足に励むという、悪しきヘテロ女性カルチャーの具現」にしか見えませんでした。なので、できればもう少しモン=エルのお休み期間を作って欲しかったのですが……パイナップルピザ好きの視聴者がそこまでたくさんいると製作陣が見込んでいるのなら、もう仕方あるめえ。女性キャラの聡明さや強さやかっこよさは主人公以外のキャラに期待することにして、カーラのことはしばし薄目で見守りたいと思います。実を言うと、「もう今シーズンはレナの頭脳がスーパーヴィランを倒して、カーラは荒事専門のサイドキックってことでいいんじゃないの」とまで思ってます。

新キャラについて

最後に新キャラについて。セクシストな悪役のモーガン・エッジ(エイドリアン・パスダー)は今のところAutostraddleで「マックスウェル・ロード2.0」と評されている通りの雰囲気で、もう少し新味があってもよかったのではないかと思いました。彼が熱弁をふるう、黒人と女性がそれぞれ1人しかいない会議のグロテスクさなんかは今風でよかったのですけどね。逆に初手から存在感が凄かったのが、オデット・アナブル演じるところのサム。彼女の正体は既にコミックコンのパネルで公表されているのですけれど、それを最初から全部見せずに小出しにしていく演出もナイス。今後アストラおばさん(S1)やレア女王(S2)に負けない大物となるのかも?

まとめ

一行でまとめると「パイナップルをどければ十分おいしくいただけるピザ」かなあ。パイナップル以外においしい具材がしこたま乗っているので、全体的には10段階評価で8点ぐらいはつけたいです。

*1:2017年10月現在、シーズン3は米国での放送が始まったばかりで、日本では未放送です。この感想は、DL購入した北米版を視聴して書いたもの。