石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ダンバース姉妹ストーリーの最高峰―ドラマ『スーパーガール』3x06感想

ポスター/スチール写真 A4 パターン14 スーパーガール 光沢プリント

この姉妹愛があれば生きていける

カーラ/スーパーガール(メリッサ・ブノワ)が傷心の義姉アレックス(カイラー・リー)を実家で休ませるところから始まる、姉妹の高校時代の回想エピソード。本編から離れた箸休め的な回かと思いきや、フルスイングの力作でした。本作品は徹底して女性と女性の連帯を描こうとしているのだと改めて実感。

キャスティング、演技、シナリオの三位一体

今回のエピソードでまず驚愕したのが、ハイスクール時代のダンバース姉妹役の女優ふたりがあまりに現在のカーラとアレックスにそっくりなこと。小学生時代の役の子たちはここまで似てなかったよね? しばらく見ているうちに、これはキャストの顔かたちだけでなく、メイク・演技・シナリオの整合性との合わせ技なのだと気づきましたが、それにしてもすごい。特にアレックス役の子なんて、途中で何度も「これ本当はカイラー・リーが演じてるんじゃないの?」と疑ってしまうほどの完璧なアレックスぶりでした。

シナリオで特によかったのは、まず昔のカーラとアレックスの反目と和解を、単品でもティーン姉妹の成長物語として成り立つぐらい身近で力強いものに仕上げてあること。朝のトイレの奪い合いで喧嘩になるとか、そこで大人だったら踏みとどまりそうなひどい言葉を全力でぶつけ合ってしまうとか、どこのきょうだいにもありそうなシチュエーションが面白かったし、それらの根底にある血のつながらない家族としての葛藤はさらによく描けていたと思います。ちょっとしたサスペンス・ミステリー仕立てのストーリーの中、まだ未熟なふたりがいがみ合いながら心を通わせていくさまも、それだけで一本青春映画が作れそうな勢いでした。

それからもうひとつ、十代のふたりの悩みや愛情が、ちゃんと現在の彼女たちのそれとの連続体になっているところがよかった。高校時代の荒れ荒れアレックスの姿は、彼女がこれまでに垣間見せてきた大学時代の姿や、父親を取り戻したい一心で判断力を失う場面を想起させるものですし、若きカーラのアイデンティティー・クライシスもまた、今のカーラの悩みと同根。そして、回想シーン終盤で示される姉妹の連帯とほのかな希望は、現在の彼女たちを救うものであるはず。うまくできてるなあ。

視聴前にiTunes Storeのあらすじ説明だけを見て、「サンバース(アレックスとマギーのレズビアンカップル)の破局の余波を収束させるための箸休め的な回なんだろうか」とばかり思っていたあたしが馬鹿でした。箸休めどころか、これは『スーパーガール』のメインディッシュ、すなわち女性同士の連帯というお皿の上に載せられた渾身の料理のひとつ。この姉妹の仲良しエピソードはこれまでにもさんざん描かれて(『姉妹ナイト』でアイスクリームを食べているところとか、一緒に歩きながらの子犬のようなじゃれ合いとか、いかなる危機に陥ろうとも『絶対にカーラ/アレックスが助けに来る』と信じて疑わない展開とか)きているのですが、目下のところ、今回が最高傑作だと思います。たとえレズビアン・ロマンスがお話のメインステージから去っても(いやまたそのうちなんか出てきそうですが)、この姉妹愛があれば生きていけると確信いたしました。

まとめ

「サンバースが別れたら一体何を楽しみにこの番組を見ればいいのか」とお悩みの方にこそおすすめしたい傑作。『スーパーガール』のコアをなしているのは女性のエンパワメントであり、それを書く手段はラブストーリーだけではないのだと思い出させてくれる回だと思います。ちなみに車や音楽の使い方も相変わらずナイスだったし、ゲスト出演的にとある人が出てくるところも楽しく、いろんな面で満足度の高いエピソードでしたよー。