石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

白パン問題に新たな進展?―ドラマ『スーパーガール』3x07感想(ネタバレ)

ポスター/スチール写真 A4 パターン26 スーパーガール 光沢プリント

モン=エルのラベルが変わってる

しばらく姿を消していたモン=エル(クリス・ウッド)が地球に戻ってくる回。公式がこの男を無理やり「理想の恋人」枠で売り込もうとするのをやめ、「クソ男はやっぱりクソ男」路線を採用しているっぽいところに好感が持てます。

公式がついに正気に

S2冒頭から話に加わったモン=エルは、クリプトン星と敵対するダクサム星の元王子。身勝手で嘘つきで女性を軽視していて、嫌なことから逃げ出す癖のある彼は、設定上はシーズン2の途中で成長をとげてカーラ/スーパーガール(メリッサ・ブノワ)と相思相愛になったということになっています。「設定上は」というのは、彼の変化や成長を示すエピソードはほとんどなく、主に本人が自己申告でボクチン頑張って変わるの(大意)と力説しているだけだったから。強いヒーローのはずのスーパーガールがそんな男にのぼせ上がって振り回され続けるというストーリーラインは議論を呼び、TCA(Television Critics Association/テレビ批評家協会)プレスツアーの質疑応答では、S3での彼の帰還を「誰も望んでいない」という意見まで出ていました。

そのモン=エルの扱いが、このS3E7でちょっと変わってきていると思います。彼にけっこうひどい行動をとらせることで、あの説得力のない「特に根拠も過程も示せないけど彼はなぜか理想の恋人になったんです」路線をやめて、「やっぱりこいつはむかつく野郎でした」路線に切り替えているように、自分には見えました。彼がこの行動をとる場所が、カーラとの思い出深いはずのあのバルコニーであるところは、偶然ではないんじゃないかな。

前回のエピソード(S3E6)でハイスクール時代のカーラの男の趣味の悪さをちらりと描いていたのは、ひょっとしたらこの展開のための伏線だったのかも。ほら、いい人ではあるけど、ちょっと不気味なところもあるでしょケニーって。これで成長後のカーラがモン=エルのようなタイプに執着することの説明がつくし、今回のモン=エルが相変わらず弱くて不誠実でうさんくさい男であることとも整合性がとれるようになっていると思います。

地球にいない間にモン=エルがやらかしたことが、なんだかんだ言って現実でもよくあること(フィクションでも、大和和紀の漫画やマストロヤンニの映画に出てきますよね)なのもいい手だと思いました。これなら100パーセント彼だけが悪いとも言い切れないから、#karamelシッパー(カーラとモン=エルの恋愛関係を応援しているファン)の希望もまだ延命されそう。とりあえず、今後お話が大和和紀方面に向かおうとマストロヤンニ方面に向かおうと、クズ男の美化さえしないでおいてくれればあたしはそれでいいわ。

その他

あまりの展開に傷ついたカーラにアレックス(カイラー・リー)がさりげなく寄り添い、頭をこつんとぶつけるところがスーパーキュートでした。やっぱりこのふたりの姉妹愛は最強。

まとめ

前シーズンで「モン=エルの白パン問題」(ポッと出の問題あるキャラでも"white bread"、つまり白人男性なら都合よくなんでも手に入れられてしまうというプロットへの批判が込められた呼び方)と評されていたモン=エルの描き方がいささか変わってきているところが興味深い回でした。ここからスタートして、今度こそ多少なりともモン=エルの人間的成長を描いてくれるといいんだけど。まさか全部を「ちょっとした恋の障害でした」ふうに片づけて、またこの不味い白パンとカーラを芸もなくイチャイチャさせる展開に持って行ったりしないでしょうね……?