石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2017年12月31日)


マイク・ペンスのバケーション先に「メイク・アメリカ・ゲイ・アゲイン」

ホモフォビアで悪名高い米副大統領マイク・ペンス(Mike Pence)がコロラド州アスペン地区に所有する家で妻とともに冬のバケーションを過ごしていたところ、隣家の人がドライブウェイの石柱にステキな飾り付けをしたというニュース。

写真はこちら。

この石柱に巻きつけられている、レインボーフラッグにトランプの大統領選スローガンをもじった「アメリカを再びゲイに(“Make America Gay Again”)」という文章をあしらった旗を作ったのは、この隣家に住む夫妻の娘さんたちと、彼女らの女友達(原文では”girlfriend”となっていたから、『彼女』かも)のひとりなんだそうです。やるなあ。

マイク・ペンスはこれまで同性婚に反対したり、米軍の"Don't ask, don't tell"撤廃に反対したり、HIVやAIDSの治療関連の資金を「同性愛治療」に回せと言ったり、性自認や性的指向にもとづく差別を合法化する「宗教の自由回復法("Religious Freedom Restoration Act")」を支持したりしてきた人。ワシントンDCやメリーランド州の家でも、過去に似たような形で抗議を受けてます。詳しくは以下を。

ライアン・マーフィ新作ドラマ『Pose(原題)』に史上最大数LGBTQキャスト

Ryan Murphy's 'Pose,' Featuring Largest LGBTQ Cast Ever, Gets Series Order from FX - Towleroad

米TV局FXが、ライアン・マーフィー(Ryan Murphy)の新作ドラマ『Pose(原題)』に、ファーストシーズンだけで50人以上のLGBTQキャラが登場すると発表したというニュース。実現すれば、この作品は米国ドラマ史上もっともたくさんのLGBTQキャラを登場させたドラマということになります。

『Pose』は1980年代を舞台とするダンス・ミュージカルで、2018年夏に放送開始予定とのこと。セクマイキャラの人数が多ければいいってものでもないと思うけど、『オーファン・ブラック』のタチアナ・マズラニーが出るそうなので、そこはとても楽しみです。


追記(2018年1月11日)

その後タチアナ・マズラニーの出演は流れ、彼女が演じる予定だった役はシャーレイン・ウッダード(Charlayne Woodard)が担当することになった模様。ショックだ。

米インディアナ州のオープンリー・ゲイ市長が婚約発表

‘He Said Yes!’: South Bend Mayor Pete Buttigieg Announces Engagement To Boyfriend

米国インディアナ州サウスベンドの市長、ピート・ブーティジェッジ(Pete Buttigieg)氏が、男性パートナーとの婚約を発表しました。

本人がFacebookでシェアした写真がこちら。レインボーな光が踊る壁をバックにピート市長がボーイフレンドのChasten Glezmanさんの頬にキスするところが映っており、キャプションには「彼は(プロポーズに)イエスと言いました!」とあります。

お二人の近影はこちら。右が市長、左がGlezmanさん。

The Gaily Grindによれば、ピート市長は昨年ニューヨーク・タイムズのコラムで米国初のゲイの大統領になるかしれない存在と評された人だとのこと。あれだけ女は大統領になれませんよー、ガラスの天井があるんですよおおおと国を挙げて見せつけられた後でゲイ男性が大統領になったところで、別に嬉しかないですけどね、あたしは。でもとにかくご婚約おめでとうございます、お幸せに!

ステファノ・ガッバーナが謎Tシャツ発表 ゲイは人間じゃないの?

This Dolce & Gabbana T-Shirt Reeks of Internalized Homophobia | PRIDE.com

イタリアのブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」のデザイナー、ステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)が、胸に「わたしはゲイではない、人間だ(“I’m not gay I’m a man”)」というよくわからないメッセージを大書したTシャツを発表したというニュース。「人間だ」の部分は「男性だ」とも訳せますね。写真は以下を。

写真を一瞥して「この言い回しだとまるでゲイであることと人間/男性であることが背反しているみたいで変じゃない? 」とモヤモヤしたんですが、PRIDE.com
の記者さんも、「彼(訳注:ガッバーナ氏のこと)が気づいていなかったのだとするといけないから言っとくけど、ゲイ男性もまた人間(男性)だ」「自分はゲイ男性だと認識してるんなら、その人はマジクソゲイ男性なんだ」「だからこのくっだらないたわごとは終わりにしていいんじゃね」とお怒りのようです。だよねえ。

今ちょっと調べてみて、たぶんガッバーナ氏がこのTシャツで表現したかったのはAFPBB Newsの最近の記事 「ステファノ・ガッバーナ『ゲイと呼ばないで』」で報じられているようなことなんだろうと思ったんですが、このTシャツだけを見てそこまで汲み取るのは難しいと思います。体外受精児を「合成人間」呼ばわりして炎上したときにも思ったけど、このブランドってゲイ・イシューに関する言葉のセンスがあんまり良くないよね。

オレゴン州のアンチゲイなパン屋、控訴審で敗訴

Appeals Court Rules Against Oregon Bakery That Turned Away Gay Couple | NewNowNext

オレゴン州のアンチゲイなパン屋、ついに13万5千ドルを支払う(でもまだ訴訟は続く) - 石壁に百合の花咲くの続報。レズビアンカップルへのウエディングケーキ販売を拒否し、損害賠償の支払いを命じられていたこのパン屋が、控訴審でも敗れました。

このベイカリー「スイート・ケイクス・バイ・メリッサ(Sweet Cakes by Melissa)」のオーナー、アーロン・クライン氏と妻のメリッサ・クライン氏(Aaron and Melissa Klein)は、2013年1月27日、レズビアンカップルの客を「主の憎まれるもの」と呼び、彼女らのウエディングケーキの注文を断っていました。その後、この販売拒否が差別を禁じた州法に抵触するとして損害賠償13万5千ドルの支払いを命じられています。夫妻はこれに対し、自分たちの「芸術家としての表現の自由、信仰の自由、法的手続きの権利」を侵害されたとして裁判で争っていました。

控訴裁判所は、判決文で以下のように述べたそうです。

「クライン夫妻が一つ一つのウエディングケーキに彼ら自身の美的なチョイスを込めたことは認めるが、彼らは、他の人々がクライン氏らの作るケーキを主に食べ物としてよりむしろ『表現』として経験するということを示していない」

“Although we accept that the Kleins imbue each wedding cake with their own aesthetic choices, they have made no showing that other people will necessarily experience any wedding cake that the Kleins create predominantly as ’expression’ rather than as food.”

「表現の自由」を根拠に同性カップルにはケーキを売らなくていいことにしたら、そのうち水飲み場やトイレやバスの席も異性愛者専用の「表現」だってことにされてしまうでしょうよ。控訴裁判所、グッジョブ。

カナダの学校、保護者の苦情で反ホモフォビア・ワークショップを中止

School cancels anti-homophobia workshops due to homophobic parent

カナダケベック州の小学校が、6年生に反ホモフォビアを教えるためのワークショップを、ある生徒の父親からの苦情が原因で取りやめにしたというニュース。このワークショップはPrima Danseというダンスグループが提供する全4回のもので、うち2回まで終わったところで、この父親から「うちの子が恥ずかしがっている」という苦情が入ったんだそうです。Prima Denseのディレクター、Katrina Journeau氏は、これまで50回以上このワークショップをやってきて、苦情を言われたのは初めてだと言っているとのこと。

ただねえ、その子が「恥ずかしい」と思ったのは、この写真を見てのことだったんだそうで。

これは確かに恥ずかしがる子もいるかも。ただ、男性同士の性に対するゆえなき抵抗感や嫌悪感を軽減するのもこういうワークショップの仕事なのでしょうから、一概に裸をカットすればいいというわけでもないだろうとも思います。そもそも裸イコール猥褻っていうわけでもないし、そのへんをうまく子供に伝えられる教え方っていうのはないのかなあ。

エルサレム過激派、レズビアンカップル経営のレストランを破壊

Extremists Threaten, Vandalize, Restaurant In Jerusalem Owned By Lesbian Couple | NewNowNext

エルサレムのユダヤ教正統派教徒が、非コーシャーのレストラン「R & R」経営者のレズビアンカップルReut CohenさんとRomina Gonzalezさんを何度も脅したあげく、ガラスや換気扇などを壊したというニュース。Cohenさんはガラスを割られる前に警察を呼んだのにまったくあてにならなかったそうで、彼女は以下のように話しているとのこと。

「もし2人の女ではなく男がこの店を所有しているのであれば、きっとこんなことは起こらないでしょう……または、もしユダヤ教正統派に反対するアラブ人が店を破壊したのなら、犯人は殴られ、破壊行為の現行犯で逮捕され、すぐに設備を元に戻すことになっていたでしょう」

“It’s clear to me that this wouldn’t happen if two men owned the place and not two women… [or] if Arabs were doing the vandalizing, as opposed to Haredim. They would have been beaten, they would be caught red-handed committing the vandalism and they would have immediately returned the equipment.”

どこに行っても女は舐められっぱなしでつらい。あ、ちなみにイスラエルは2017年のジェンダーギャップ指数世界44位だったようです。44位でもこれか。

米新聞、記事の執筆者名を同性愛者への侮蔑語に改竄

Latino reporter discovers his byline was edited to include a gay slur on Christmas / LGBTQ Nation

2017年 12月25日、米国の「サンタバーバラ・ニュース・プレス」紙のクリスマスの買い物に関する記事で、執筆者名などがアンチゲイな言葉に改竄されていたそうです。画像は以下。

ここ記事を書いたのはポール・ゴンザレス(Paul Gonzales)さんという人なのに、姓が「ゲイザレズ」(Gayzalez)に書き換えられ、その下には「ニュース・プレスのオカマ山羊」(News Press Faggoat)という文字が踊っています。同紙は翌々日、編集後記で謝罪し、これをやった従業員はもはや社屋の中にはいないと説明したとのこと。

日本のテレビ局がやらかした「怪しいお米 セシウムさん」みたいな悪ふざけだったんでしょうかねえ。こういうことに関してチェック機能が働いてないメディアって、怖いと思うんだけど。

NYのレズビアンカップルと2人の子供が他殺死体で発見される クリスマスの翌日

2017年のクリスマスの翌日、米国ニューヨーク州トロイのシャンタ・マイヤーズ(Shanta Myers)さん(36)のアパートメントの地下室で、マイヤーズさん本人、11歳の息子ジェレマイア(Jeremiah)ちゃん、5歳の娘シャニース(Shanise)ちゃん、そしてマイヤーズさんのパートナーのブランディ・メルス(Brandi Mells)さん(22)が他殺死体で発見されたそうです。

4人の写真はこちら。

一家にはもうひとり息子さんがいて、その子だけ事件当時家にいなかったため助かったそうです。トロイ警察のDaniel DeWolf警部によれば、警察はこの事件は行きずりの犯行ではなく、何者かが一家を狙ってやったことだと考えているとのこと。

一刻も早く犯人が捕まりますように。