石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ライアン・マーフィー、シスジェンダーの役者にトランス役をやらせる選択肢はないと発言

Ryan Murphy
Ryan Murphy / iDominick

米ドラマ史上最大数のトランスジェンダーキャラが登場するドラマ『Pose(原題)』のクリエイター、ライアン・マーフィー(Ryan Murphy)が、シスジェンダーの役者にトランス役をやらせることを考えたかと問われて「ノー」と即答したそうです。

詳細は以下。

Ryan Murphy on why it’s “not an option” to cast cis actors in trans roles - Vox

ライアン・マーフィーは『Glee』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』、『Feud』などで知られる人気クリエイター。彼の2018年放送開始予定の新作『Pose』は、1980年代のニューヨーク・シティーを舞台とするミュージカルドラマで、ファーストシーズンだけで50人以上のLGBTQキャラが登場すると発表されています。番組内でトランスジェンダーの役を演じるトランスジェンダーの俳優も、過去最大数。キャスティングに『Glee』のファーストシーズン同様何か月もかけたというライアンは、シスジェンダーの役者にトランス役をやらせることを考えたかという質問に対し、以下のように答えたとのことです。

「この作品は本当の自分を探求することについての話なんですよ……それはまた、機会を創り出すことについての話でもあります」

“The show is about the search for being authentic ... about creating opportunities, too,”

「異性愛者の(シスジェンダーの)男性がこれらの役をやるというのは、わたしが思うに、もうそこを越えて先に進むべき時ですよね」

“Straight [cis] men playing these roles, I think that it’s time to move beyond that,”

「考え方を変え、仕事をしたいと思っているすばらしい人々にさらなるチャンスを提供すべき時なんです」

“It’s time to think differently and offer other opportunities to people who are fantastic, and want to work.”

こうしたことをふまえ、シスの役者にトランス役をやらせることは「絶対にない(“never an option.”)」とライアン・マーフィーは説明したのだそうです。『Pose』では、これが初出演作になるというキャストもたくさんいて、ライアンは「新しいスターを創り出し、チャンスを与える」ということにわくわくしているとのこと。

そういえばラヴァーン・コックス(Laverne Cox)演じるトランス女性のキャラがトランス友達と過ごす当たり前の日常風景を描いたことで話題になった法廷ドラマ『Doubt』のプロデューサー、ジョアン・ラター(Joan Rater)は、才能あるトランス女優はたくさんいるため、出演者候補を絞り込むのが大変だったと言ってましたっけ。この状況で、いつまでもシスの役者がトランス役を持っていくっていうのはちょっとおかしいよね。もちろん、「千も万もの仮面をつけ 千も万もの人生を生きる」(月影先生談)のが役者の仕事である以上、役のイメージに合う人ならばシスであっても問題ないという考え方もあることはあるでしょう。しかしながら、その「役のイメージ」がそもそもマジョリティにとって都合がよいものに偏りがち(ハリウッドには『シスヘテロの役者がLGBTキャラを演じて、しかもそのキャラが結末で死ぬと賞を取りやすい』という傾向があると以前から指摘されています)だという現状を見ると、性的マイノリティの役者を、脚本家を、プロデューサーをもっともっと採用して、新しい才能で新しい作品を創っていく動きはやっぱり大事だと思うのよ。『Pose』はRedefining Realness: My Path to , Identity, Love & So Much Moreを書いたジャネット・モック(Janet Mock)が脚本とプロデュースを担当しているので、その意味でも期待できそう。放送開始が楽しみです。