石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

英ラジオ番組ホスト、ホモフォビックなリスナーをたったひとつの質問で圧倒

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ロンドンのラジオ局LBCの番組に、ホモフォビックなリスナーから電話が入りました。番組ホストのジェイムズ・オブライエン(James O’Brien)は、ある質問を27回繰り返すことで、そのリスナーをやりこめてしまいました。

詳細は以下。

Guy calls up radio station to complain about gay people, host demolishes him by asking the same question 27 times · PinkNews

オブライエンの番組に電話をかけてきたリスナーはダニエルと名乗り、ゲイセックスは罪だという自説について、以下のように説明しています。

「聖書には、同性愛や、何が罪で何が罪でないかについて、きわめて明快に書かれています。旧約聖書と新約聖書に載っています」

“The Bible is quite clear about homosexuality, and what is a sin and what isn’t. It’s in the Old and the New Testament.”

オブライエンの反応はこんな。

「新約聖書には聖パウロの引用句がいくつかあって、現代の解釈ではソドムとゴモラに関するものだとされていますけど、ちょっと思い出させてもらえますかね……イエスがそれ(同性愛)について言ったことを教えてください」

“The New Testament, you can find a couple of quotes from St Paul with reference to modern interpretations of what Sodom and Gamorrah represents, but just remind me – just tell me the things that Jesus said about it.”

聖書を読んだことのある人や、読んだことがなくてもキリスト教圏での同性愛に関する議論をある程度見聞きしてきた人なら、オブライエンがここでこう言った意味はすぐわかると思います。聖書の中には、イエスが同性愛について言及した部分はひとつもないんです。

ダニエルはそれでも「コリント人への第一の手紙に……」と言いかけるのですが、オブライエンはみなまで言わせず、こんな風に言い返しています。

「コリント人への第一の手紙は聖パウロが書いた手紙です。聖書の記録では、イエスは何て言ったんですか、同性愛について?

「シンプルな質問ですよ。彼は何て言ったんですか? 何も言わなくていいですよ、イエスは何も言わなかったというのが正解なんですから。こけおどしを続けてくれてもかまいませんけど」

“1 Corinthians is a letter that St Paul wrote. What did Jesus say, on the record, in the Bible about homosexuality?

“It’s a simple question. What did he say? You can say nothing, because that’s the true answer, or you can carry on blustering.”

ここでダニエルは「パウロを通してイエスがしゃべった」説を披露しようとしますが、オブライエンは納得せず、このコーナーの時間を全部あなたにあげるから、イエスが言ったことばをそのまま復唱するか、イエスは何も言わなかったと言うかしてくださいと発言。興奮した口調で話題をそらそうとするダニエルに対し、「イエスは何か言ったんですか、言ったのならどんなことばを?」「イエスは何と言った? イエスは何と言った? イエスはゲイの人々について何と言った?」と畳みかけるように質問し続け、ついには黙らせてしまいます。PinkNewsによると、オブライエンはこの約5分間のコーナーの中で、「イエスは(同性愛について)何と言ったか」という質問を27回口にしているそうです。

ただ、このセグメントでより注目すべきは、この「イエスは何と言ったか」という質問に答えようとしないダニエルにオブライエンが投げかけた、「2つ目の質問」の方でしょうね。

「どうしてあなたは、宗教はそんなに同性愛のことを気にしているのだと思うのですか?」

Why do YOU think religion cares so much about homosexuality?

ダニエルはこれにもまともに答えられず、怒ったような声でどもりながら「聖書には明快に書かれている」と先ほど言ったことを繰り返そうとするだけ。オブライエンは次のようにまとめます。

「あなたはイエスについての質問に答えられず、わたしが今聞いている別の質問にも答えようとしません。そこがちょっとしたポイントです。

「これで結論が得られました。ダニエル、あなたが本当に恐れているのは、あなた自身の中で起こっている何かです」

“You can’t answer the question about Jesus and you won’t answer the other question that I’m asking, which is kind of the point.

“It leads me to conclude that what you’re really terrified of, Daniel, is something that is going on inside yourself.”

ダニエルはこう言われてから目に見えて早口になり、「おまえの気に入らない答えを言ってやる」などと口走ったりし始めます。しかし、やはり「イエスは何と言ったか」という問いには答えられずじまい。オブライエンはしまいに笑いながら節をつけて"What did Jesus say?"と歌ったりしています。そのうちに時間がきて、このコーナーはおしまいに。

思うんだけど、一人称単数で「わたしは」こう思うと表明できず、「聖書は」「生物学は」「伝統は」「人類は」のように自分以外のものを主語にしてホモフォビアを正当化しようとする人に反撃するには、上記の二つ目の質問のように、どうして「あなたは」そう思うのかと二人称単数で尋ねるのが有効なのかもしれませんね。内省を避けて一般論に飛びついている時点で、こういう人って何か自分の中の見たくないもの(それはよく言われるように抑圧された同性愛的欲望の場合もあるかもしれませんが、全然違うものの場合もわりと多そうな気がします)を同性愛者に投影して叩いているだけという可能性が高いし、ならばそこを突くのはなかなかいい手なんじゃないかと。あれだけ興奮した口調のリスナーを相手に、とっさのやりとりでそこまで話を持って行ったオブライエン氏、すごいわ。見習いたい。