ナタなどの凶器を使ってイングランド北西部カンブリアのプライド・イベントを襲撃しようとした疑いで逮捕された英国人ネオナチ男性の公判が開かれました。警察は被告の家からナタや爆発物などを発見していますが、本人は無罪を主張しているとのこと。
詳細は以下。
Ethan Stables Trial: White Supremacist Planned Machete Attack On U.K. Pride Event | NewNowNext
ことの起こりはこのイーサン・ステイブル(Ethan Stables)被告が2017年6月23日、カンブリアのニュー・エンパイア(New Empire)というパブがLGBTイベントを開催する予定だと知ったことにありました。ステイブル被告はそのパブに出かけて行って写真を撮るなどの「偵察」を始め、さらにFacebookの白人優越主義者グループに以下のような書き込みをして、夜この店を襲撃するという計画をひけらかしたのだそうです。
「今夜は戦争だ……ナタを手に入っていって全員殺してやる」
“I’m going to war tonight… I’m going to walk in with a fucking machete and slaughter every single one.”
「もうたくさんだ。ゲイな世界には住みたくない」と彼はつけ加えた。「今夜はいい夜になるぜ、終わりの始まりだ」
“I’ve had enough. I don’t want to live in a gay world,” he added. “Tonight is going to be a good night and the beginning of the end.”
これらの書き込みを見た人が警察に通報したため、ステイブル被告は同夜10時頃、襲撃前の「最後の偵察」をしていたところを逮捕されました。警察はその後、彼のアパートメントからナタや、爆弾の原料や、ナチスのシンボルなどを発見したとのこと。
VIThe Mailのジャーナリスト、エイミー・フェントン(Amy Fenton)氏が、警察が被告の部屋やスマートフォンの画像フォルダの中から発見したものをTwitterで報じています。
ICYMI: Police bodycam footage shows the first time officers walk inside the bedroom of Barrow terror suspect Ethan Stables' flat https://t.co/kQk9D0ANAU pic.twitter.com/kgby5zyQMw
— Amy Fenton (@amyfentonNWEM) 2018年1月26日
Inside Barrow terrorist suspect's bedroom: Swastika flags, weapons including a machete and rifle, ingredients to make a pipe bomb and a mattress attached to a knife-damaged door https://t.co/LjiUbNFArc pic.twitter.com/XsTDLo7Ll6
— Amy Fenton (@amyfentonNWEM) 2018年1月24日
Pictures from inside Ethan Stables’ flat and off his phone https://t.co/LjiUbNFArc pic.twitter.com/IcxUlxM5ww
— Amy Fenton (@amyfentonNWEM) 2018年1月24日
Ingredients used to make a pipe bomb allegedly found in the bedroom of Barrow terror suspect Ethan Stables can be shown to the public for the first time. The map shows how close he got to his target before he was arrested by armed police https://t.co/80vMhk2RcV pic.twitter.com/50Tfw5bYSy
— Amy Fenton (@amyfentonNWEM) 2018年1月25日
EXCLUSIVE: Watch police bodycam footage of the moment officers first walked inside the bedroom of Barrow terror suspect Ethan Stables who allegedly planned to "massacre" people at a LGBT event https://t.co/ew2YR4Ql8B pic.twitter.com/Co1JtKpG8G
— Amy Fenton (@amyfentonNWEM) 2018年1月25日
公判では、ジョナサン・サンディフォード(Jonathan Sandiford)検事が、被告は白人優越主義者のナチで、特に同性愛者を憎んでおり、爆発物の作り方を調べていたと主張。一方ステイブル被告はテロ準備および殺害脅迫の容疑を否認しており、パトリック・アップワード(Patrick Upward)弁護士は、被告は白人優越主義者("white supremacist")ではなく白人の夢想家("white fantasist")であると述べていうのだそうです。同弁護士はまた、被告には「お気に入りの」ゲイのおじさんと黒人の親友がいるとも言ったとのこと。
脳内で偏見を抱くにとどまらず、ソーシャルメディアで殺害予告をしたり、現場に何度も「偵察」に赴いたりという行動まで起こして現実世界のLGBTコミュニティを脅かした以上、彼のやったことを「夢想」と呼ぶのは無理でしょう。昔からゲイバーやLGBTイベントをターゲットにした暴力事件は世界中で起きており、たくさんの死傷者が出ています。英国でも1999年にロンドンのゲイパブに釘爆弾が仕掛けられて2人が死亡、81人がけがをしたという事件があり、米フロリダ州オーランドーでの銃乱射事件の後、模倣犯が現れるのではないかと危惧されていました。この状況下でステイブル被告がしたことは社会に対するリアルな脅迫であって、「ファンタジー」ではありえません。
それから、被告のゲイのおじさんだの黒人の友達だのを持ち出すことが弁護になるかどうかについて、この弁護士はEveryday FeminismのWhy ‘I Have Black Friends’ Is a Terrible Excuse for Your Racism(なぜ『わたしには黒人の友達がいる』というのはレイシズムのひどい言い訳なのか)という文章を読んだ方がいいんじゃないかと思います。だいたいこんなことが書いてあるんですけど。
- ドナルド・トランプにさえ黒人の友達はいる
- レイシストにならないためには、黒人と友達づきあいをする以上の努力が必要
- 黒人の友達を小道具として使うことが、あなたを「自分の非を認めないレイシスト」にする
「黒人」を「ゲイ」、「レイシスト」を「ホモフォーブ」に入れ替えてもまったく同じことが言えると思います。
なおBBC Newsによると、この裁判は向こう2週間続く見通しだとのことです。判決を見逃さないようにしなくては。