石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

イリノイ州知事候補のトランスフォビックなCMが炎上

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米イリノイ州知事選に立候補している共和党政治家、ジーン・アイヴズ(Jeanne Ives)氏が2018年2月第一週の週末、州全域でテレビCMを放送。このCMがトランス女性やフェミニスト、移民などをあざける内容のものだとして批判を浴びています。

詳細は以下。

People are furious about this Republican's transphobic ad

CMはこちら。

このCMの内容は、移民、トランス女性、フェミニスト、黒人教師などを演じる役者に、共和党の現知事であるブルース・ラーナー(Bruce Rauner)氏への「ありがとう」を言わせることで、ラーナー氏の政策がいかに共和党の方針と食い違っているかを揶揄するというもの。「ありがとう」の内容は以下の通りです。

  • バンダナで覆面をした男性「法執行機関に反対し、イリノイ州を違法な犯罪者の移民のサンクチュアリにしてくれてありがとう」
  • ドレス姿のトランス女性を演じる役者「わたしに女性用トイレを使わせる法案に署名してくれてありがとう」
  • ウイメンズマーチの猫耳帽をかぶった女性「イリノイ州のすべての家族にわたしの中絶費用を払わせてくれてありがとう」
  • シカゴ教師組合のTシャツを着た黒人女性「シカゴの教師の年金の救済措置をとって、(シカゴ市長の)ラーム(エマニュエル)が欲しがるものすべてを与えてくれてありがとう」
  • トランス女性(再登場)「イリノイ州の共和党員たちを裏切ってくれてありがとう」
  • 猫耳帽女性(再登場)「ありがとう」

このCMにはいくつかウソがあります。まずラーナー知事が署名した移民に関する法案は、書類がない移民を在留資格の有無のみを理由とした逮捕から守るためのもので、書類がない移民は犯罪者と同義ではありません。また「トランス女性」のところで揶揄されている法案1785は、実際には出生証明書の性別変更には医師の許可がいらないということを定めたものであり、トイレの使用云々とは無関係です。ウイメンズマーチの女性たちは自分自身の中絶費用を求めて行進したわけではないし、ここで出てくる法案40は、メディケイド(低所得者医療扶助制度)の対象となっている女性の人工妊娠中絶に州の資金を投入するというもの。そして、なぜ公的資金を使って貧困層の女性の中絶医療へのアクセスを保証することが重要なのかについては、下記リンク先をごらんください。

で、このCM、同州の民主党はもちろん、共和党の政治家からもいちはやく批判が寄せられているみたいです。

まずイリノイ州共和党の元チェアマン、パット・ブレイディ(Pat Brady)氏は2月3日、「共和党には彼女のようなレイシストで狭量でホモフォビックな候補の居場所はない」とTwitterで批判(今回のCMにはホモフォビアは見られませんが、アイヴズ氏は過去に同性愛の関係は『病気』("disordered")だと発言したことがある人です)。

現チェアマンのティム・シュナイダー(Tim Schneider)氏からも、アイヴズ氏は「広告を引き下げ、政治的分断をあおるための卑劣な試みでネガティブに描写されたイリノイ州人たちに対し、ただちに謝罪するべき」とする声明が発表されました。

そして州司法長官のエリカ・ハロルド(Erika Harold)氏も、「この広告はイリノイ州人のグループをばかにして疎外するもの」だとして、放映中止を求めています。

こういう批判ができるのなら、あの大統領をトップに据える前にすることがあっただろ共和党。……とは思うけど、そのへんは大人の事情ってやつなんでしょうかねえ。なお同州の知事選は2018年11月6日だとのことで、いったいどんな結果が出るのか気になっています。