石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ル・ポール、トランスのドラァグクイーンに関する発言を謝罪

Drag Race

『ル・ポールのドラァグ・レース』司会のル・ポール(RuPaul)が、最近のインタビューで、性別移行したトランスのドラァグはおそらく番組に出さないと発言。批判を受け、Twitterで謝罪コメントを発表しました。

詳細は以下。

RuPaul apologises after trans drag queens comments - BBC News

この謝罪のニュースの見出しをあちこちで見たとき、「え? あの番組、トランスジェンダーのコンテスタントもたくさんいたじゃない? ほらジンクス・モンスーンとかペパーミントとか」と思ったんですよ。でもよく読んでみたらこれはそういう話ではなく、論点は「性別移行後の」トランス女性の参加を認めるかどうかというというところにあったようです。逆に言うと、同番組出身のトランスジェンダーのドラァグは、みんな出演時点では性別移行していなかったということ。

ル・ポールの問題の発言は、2018年3月3日英ガーディアンのインタビューでなされたもの。シスジェンダー女性やトランス女性のドラァグクイーンが番組に出場することはできるのかという話題で、まずシスジェンダー女性のドラァグ、いわゆる「バイオ・クイーン」について彼は以下のように話しています。

「男性がやるのでなければ、ドラァグの危険な感覚や皮肉な感覚が失われてしまいます。というのは、ドラァグの核をなすのは、男性優位の文化に対する社会的声明と、大きな『くそくらえ』だからです。ドラァグとは男らしさに対する本質的拒絶であって、だから男性がそれをやるのが本当にパンクなんです」

“Drag loses its sense of danger and its sense of irony once it’s not men doing it, because at its core it’s a social statement and a big f-you to male-dominated culture. So for men to do it, it’s really punk rock, because it’s a real rejection of masculinity.”

そして、トランス女性のクイーンの出演を認めるかどうかについては、こう。

「おそらく認めないでしょうね。性自認が女性で、性別移行するつもりだと言うのはいいんですが、体を変え始めたら話は変わります。それだと別の意味合いが出てきて、わたしたちがやっていること全体のコンセプトが変わってしまいます。これまで顔や、たぶん胸にも少しばかり注射・注入をしている子は何人かいましたが、その子たちは性別移行はしていませんでした」

“Probably not. You can identify as a woman and say you’re transitioning, but it changes once you start changing your body. It takes on a different thing; it changes the whole concept of what we’re doing. We’ve had some girls who’ve had some injections in the face and maybe a little bit in the butt here and there, but they haven’t transitioned.”

これらの発言にはソーシャルメディアなどで多くの批判が寄せられました。たとえばシーズン9優勝者のサシャ・ベロア(Sasha Velour)は、以下のようにコメントしています。

訳:

「わたしのドラァグ(のキャラ)は、ドラァグをするトランス女性、トランス男性、ジェンダー・ノンコンフォーミングの人たちでいっぱいのコミュニティの中で誕生しました。好むと好まざるにかかわらず、それがドラァグの実世界というものです。それってファビュラスだとわたしは思っているし、このコミュニティを守り、向上させるために一生戦うつもりです」

My drag was born in a community full of trans women, trans men, and gender non-conforming folks doing drag. That’s the real world of drag, like it or not. I thinks it’s fabulous and I will fight my entire life to protect and uplift it.

— Sasha Velour (@sasha_velour)

またIntoは、第5シーズンのコンテスタントで、『ドラァグ・レース』史上初めて出演期間中にトランスジェンダーとしてカミングアウトしたモニカ・ビヴァリー・ヒルズ(Monica Beverly Hillz)の意見を以下のように報じました。

「夜の世界やドラァグの世界では、体がより『リアルに』見えれば見えるほど、そして女性に見えれば見えるほどたくさんのお金が入ってくるということが往々にしてあります。そしてわたしたちトランス女性の多くは、まさしく医学的な性別移行を始められるようになるために、ある種のサバイバルとしてドラァグをやるんです」。ヒルズは、既に非常に多くのトランス女性がドラァグのコミュニティの一部を占めているのだから、この番組では「あらゆる人が競技に参加する機会を与えられるべきだ」と付け加えた。同番組は、クィアな人々のTV界での最大の舞台のひとつである。

“The more ‘real’ our bodies look and appear to be women, the more money we'll often make in the nightlife and drag worlds. And for many of us as trans women, we do drag as a form of survival to support our very ability to start medical transition.” Hillz added that “everybody should be given the opportunity to compete” on the show, which is one of the biggest platforms for queer people on TV, especially because so many trans women are already a part of the drag community.

3月6日、ル・ポールはこんなコメントを発表。


訳:

毎朝、自分がわかっていると思い込んでいることすべてをうち捨てられますように、心を開いて新しい経験が持てますようにと祈っています。自分が引き起こした痛みを理解し、後悔しています。トランスのコミュニティは、わたしたちが共有しているLGBTQムーブメントのヒーローです。あなたがたは、わたしの先生です。

Each morning I pray to set aside everything I THINK I know, so I may have an open mind and a new experience. I understand and regret the hurt I have caused. The trans community are heroes of our shared LGBTQ movement. You are my teachers.

ル・ポールって、以前からことトランスジェンダーの話題となると妙にコントロヴァーシャルな発言が多い人だと思います。女装した男性を嗤うシットコムがトランス差別だとして批判されたのをエゴや不快感の問題にしたこともありましたし、「トラニー(Tranny)」や「シーメイル(she-male) 」のような、トランスジェンダーの人々への侮辱語とされる語を使っては批判されたりもしてますよね。でも批判を受けた後、彼がこうやって文章のかたちで謝罪(的なもの)を出すところは初めて見たような気がします。ようやく方向性を変えたのかしら、ル・ポール。だとしたらうれしいんだけど。