石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

高校生向け映画祭がゲイ・キスを含む応募作をリジェクト

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米国中西部の高校生を対象とした短編映画フェスティバルが、少年同士のキスがある作品のエントリーを規定のレイティング外だとして断ってしまいました。自分の経験からこの作品を撮った17歳の少年は、「妥協はしない」と言っています。

詳細は以下。

Short film festival rejects student sign language film over a gay kiss

メリーランド州ベセスダの10代ゲイ男性、ソール・シングルトン(Saul Singleton)さんは、自分の経験をもとに作った成長物語の短編映画を、ゴールデン・ライオン・ハイスクール映画祭に提出していました。ところが同映画祭からは、こんなメールが届いたのだそうです。

「当映画祭は厳密なPG相当のレイティング制を固守しているため、LGBTQ+のテーマがはっきり描かれている映画は、いかなるものでも受け入れられません」

‘Since our festival adheres to a strict PG-comparable rating system, we are unable to accept any films with clearly illustrated LGBQT+ themes,’

PGというのは「親が子供に見せたくないと思う内容を含む可能性がある(ので、保護者から子供への助言が推奨される)」ぐらいのレイティングのこと。つまりこの映画祭では、LGBTQ+テーマのある作品は、自動的にそれより過激なコンテンツだと見なされてしまうというわけ。

ショックを受けたシングルトンさんは、以下のように語っているとのこと。

「差別に立ち向かうのはぞっとすることですが、ぼくの映画をこうやって却下しても、もっとたくさんの映画が撮りたくなるだけです」

「自分自身のためにもっとがんばって戦いたくなりました」

「他の人のために妥協することはしません、こういう映画にリプリゼンテーションや包摂を求めている観客は、いつだっているんですから」

‘Discrimination is a horrible thing to face, and this dismissal of my film only makes me want to create more films.

‘It made me want to fight harder for myself.

‘I’m not going to compromise my work for others, because there will always be an audience out there looking for representation and inclusion of these sort of films.’

現時点ではもうこの映画祭に応募する気はなくなっていると彼は表明しているそうです。

家族にろう者がいるシングルトンさんは話すより先にアメリカ手話を覚えた人で、彼の応募作品"Since the First Day We Met"にはその経験が生かされています。この映画はYouTubeで公開されており、以下で見ることができます。

確かにキスシーンは出てくるけど、作品としてはごくかわいらしいボーイ・ミーツ・ボーイものですよね。これを過激な作品扱いするというのは、フィリップ・マンジョが『〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典』(明石書店)で指摘していた、同性愛者にだけ異性愛者には決して要求しない「慎み」を要求するというかたちのホモフォビアだと思います。以下、同書p. 200より引用。

暗黙のうちに前提とされているのは、同性愛者に要求される慎みを次のように決めつけていることだ。すなわち、異性のパートナーがいない異性愛者と全く変わらぬ規範に合致していることが必要だという決めつけである。ここまでの慎みというのは、単なる不可視性以外の何物でもなく、異性愛者に求められたことなど決してない慎みである。別の言葉で言えば、常軌を逸した同性愛などがまんがならない、では「普通の」同性愛ならどうかと言えば、それでもまだ失礼過ぎる、とされるのだ。

異性同士ならまったく「普通」とされるようなキスやデートをしただけで、いきなり淫蕩だとか挑発的だとかみなされちゃうんですよ同性愛者は。つまり、せっかく恋人がいても、同性愛者はクロゼットの外では恋人がいない異性愛者と同程度の行動しかしてはならんというわけ。うんざりするほど見てきたわ、こういうダブルスタンダード。

そうそう、この映画祭、公式Twitterで『ムーンライト』について触れていて、ロマンス作家のハンナ・デア(Hanna Dare)さんからさっそく突っ込まれてました。

訳:

ゴールデン・ライオン賞「ムーンライトは25日で撮影されて、役者の中には登場シーンをわずか3日で全部撮った人もいたって知ってましたか? ゴールデン・ライオン映画祭の締め切りまでのあと9日で何ができるか考えてみてください!」

ハンナ・デア「ムーンライトの話はするのに、LGBTQテーマがあるって理由で作品を受付拒否してるってこと?」

ホモフォビックな権威主義者が運営してる賞なのかもね。才能ある若者たちは、もうちょっとましな映画祭を狙った方がいいと思うわ。

〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典

〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典