石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

レスラー2人がレインボー衣装で『レッスルマニア34』参戦 Tシャツ売り上げでLGBTQ支援

Wrestlemania 34

2018年4月8日(現地時間)、米プロレス団体WWEの大会『レッスルマニア34』に、2人のレスラーがレインボーカラーの衣装で参加しました。このうちのひとり、ソーニャ・デヴィル(Sonya Deville)は、レインボーの衣装で同大会に参戦した初のレズビアンとなります。

詳細は以下。

Two pro wrestlers just made LGBT history at Wrestlemania 34 / LGBTQ Nation

レインボーカラーをあしらったコスチュームでレッスルマニア34に登場したのは、オープンリー・レズビアンのデヴィル選手と、アイルランド出身のフィン・ベロアー(Finn Bálor)選手。まずはソーニャの衣装と、本人による短いスピーチをどうぞ。

#WRESTLEMANIA 🏳️‍🌈 #LGBT #PRIDE #love #EQUALITYFORALL

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文字起こしと和訳:

「みんな元気? わたしはレインボーのギアと、レインボーのガウンを身につけて、髪にはレインボーのリボンをつけてるよ。LGBTQコミュニティのみんな、今夜わたしはあなたたち全員を表してるんだよ」

"What's going on, guys? I'm wearing rainbow gears, a rainbow robe, rainbow braids my hair. Tonight, LGBTQ community, I'm representing y'all."

衣装の全身像はこんな感じです。

ソーニャ・デヴィルは元MMA選手で、本名はDaria Berenato。WWEのリアリティTV番組『タフ・イナフ』(Tough Enough)の2015年のシーズンでセクシュアリティを公表した人です。本人によればこのとき特にカミングアウトしようと思っていたわけではなかったのだそうですが、番組のジャッジから交際中の相手はいるのかと訊かれて、「まだ妻はいないが、彼女がいる」と答えたんです。この発言は大きな反響を呼び、ソーニャは、カミングアウトを怖がっている人が、わたしのしたことを見て勇気づけられればうれしいと話していました。

一方フィン・ベロアーは4月上旬に、レインボーカラーのマークに「すべての人のために」(“For Everyone”)というキャッチコピーを添えたTシャツをリリース。WWEは、4月2日から6月30日の間、売り上げ1枚ごとに販売価格(売上税適用前の)の20%をGLAADに寄付すると発表しました。

『レッスルマニア34』では、フィンはこのTシャツと同じ虹色のマークをあしらったコスチュームで登場しています。

#wrestlemania

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いいねえ。

シスヘテロ中心主義が浸透しきったこの世界で暮らしていると、LGBTQピープルって息をするように「いないこと」にされるじゃない? 「いいやそんなことはない」とお思いの方、あなたが通っていた学校では、先生が公民の時間に均分相続の説明をするとき、「みなさんが将来結婚して、子供が〇人生まれると……」みたいな物言いをしたことがありませんでしたか。ここでは、(少なくとも日本人同士で)結婚するという選択肢がありえない同性愛者は、クラスの中には存在しないことにされています。そして、いじめによるいわゆる「シカト」は害悪視する人でも、こういう「シカト」にはまるで気づかない(か、気がついても全力で正当化にかかる)ことがほとんど。

家庭科の時間の、「何歳で(異性と)結婚・出産するか計画を立てて表にせよ」なんて指示も、シカトの一例です。保健体育の時間の、「『人は誰でも』思春期になると自然に異性に惹かれます」みたいな説明も、そう。言ってる側は何ひとつ悪気はないつもりなんだろうけど、結果的にあたしら非ヘテロはヒトじゃないって言われてる。百歩譲って、「おまえらなんか、このクラスには存在しないんだ」って言われてる。

だからこそ、こういう大きなイベントで、LGBTQコミュニティを目に見えるかたちでレプリゼントしたり、支援したりしてくれているのを見ると、あの頃怒ったり腐ったりしていた小さな自分が心のどこかでほっとして喜んでいるのを感じます。フィン・ベロアーのInstagramを見てたら、やっぱり「こういうことに賛成する人ばかりではないのだから、レスリングにこんなことを持ち込むな」みたいなコメントをつけてる人もいたんだけど、これって話が逆よね。外からわざわざ「持ち込む」までもなく、LGBTQの人々は、最初からどこにでもいた/いるのよ。ソーニャやフィンは、シスヘテいじめっ子集団の「LGBTQの連中なんて、みんなでシカトしようぜ」というクソみたいな(そして、おそらくは無意識的な)お約束に向かってノーを言ってるだけなのよ。