石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ハゲワシのゲイカップルが育てた「養子」が無事巣立つ

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オランダのアムステルダムのアルティス動物園(Artis Royal Zoo)でシロエリハゲワシのゲイカップルが卵から育てたひなが無事成長し、保護プログラムの一環として野生に返されました。

詳細は以下。

Gay vultures' chick from Amsterdam Royal Zoo released - BBC News

このひなは、異性同士のつがいが育児放棄した卵を、動物園の職員らがオス同士の「とても仲がよいカップル」に託して生まれたもの。2017年6月時点の映像がこちらです。あくびをしているひながかわいいったら。

飼育員のJob van Tol氏によると、このシロエリハゲワシのゲイカップルは「いつも一緒に巣を作り、きずなを深めて(bonding)つがっている」とのこと。彼らが育てた子ハゲワシは、Life Under Griffon Wingsという保護プログラムのもと、もう一羽のハゲワシ(こちらはオスとメスのつがいが育てた個体)と一緒にサルデーニャで放鳥されました。ちなみにヨーロッパでは1970年代からハゲワシが減り続けており、保護のための取り組みがおこなわれているのだそうです。

以前紹介したBiological Exuberanceという本(p. 633)によると、シロエリハゲワシの同性カップルはたいていオスで、以下のような行動をとるんだそうですよ(以下、訳はみやきちによります)。

同性愛のつがいを形成しているオスのシロエリハゲワシもまた、12月(交配期の始め)から繰り返し交尾する。このようなつがいは、数年間関係を継続することがある。二羽のオスが毎年一緒に巣を作るということも時々ある――概して、険しい岩山の上に小枝を組み合わせて作った、幅2、3フィートの平たい巣である。チョウゲンボウ同様、シロエリハゲワシのつがいは、「タンデム飛行」と呼ばれるつがいのきずなの華やかな空中ディスプレイをおこなう。二羽が上昇気流に乗ってはるかな高みまでらせん状に上昇し、互いに極端に近づくような軌道を描いて下へと滑空し、一羽がもう一羽の上に数秒間「乗り」、それからまた離れるのだ。

Male Griffon Vultures in homosexual pairs also mate with each other repeatedly beginning in December (the onset of the mating season), and such pairs may remain together for years. The two males sometimes build a nest together each year--typically a flat assemblage of sticks on a crag, two to three feet across. Like Kestrels, pairs of Griffon Vultures perform a spectacular aerial pair-bonding display called TANDEM FLYING. The two birds spriral upward to a great height on a thermal, then glide downward in a path that will bring them extremely close to each other, "riding" for a few seconds one above the other, until they separate again.

同書によると、野生のシロエリハゲワシのディスプレイフライトのうち、約20パーセントが同性同士のペアによるタンデム飛行なのだそうです。ホモ・サピエンスの一部に「同性愛は『生物学的に』間違っている」だの、「同性カップルは繁殖に役立たない」だのという鳴き声を発し続ける個体がみられる一方、シロエリハゲワシは同性同士で悠々と空を飛んだり、こうやってひなを育てたりしているのかと思うと、愉快な気持ちになりますね。巣立った子ハゲワシが、サルデーニャで元気に暮らしていってくれるといいな。