石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

ゲイへのサービス提供拒否したクリスチャンが敗訴 米アリゾナ州

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2018年6月10日、米アリゾナ州控訴裁判所が、結婚式の招待状などのカスタムアートワークを制作する会社のオーナーに対し、ゲイカップルにもサービスを提供するよう求める判決を下しました。

詳細は以下。

Arizona Court Rules That Phoenix Evangelical Christian Wedding Invitation Studio Must Serve Gay Couples - Towleroad

同州フェニックスにあるこの会社、「ブラッシュ・アンド・ニブ・ストゥーディオ」(Brush & Nib Studio)は、手書きのイラストとカリグラフィーで結婚式の招待状などを受注制作する事業をおこなっています。オーナーのジョアンナ・ドゥーカ(Joanna Duka)氏とブリアナ・コウスキー(Breanna Koski)氏は、これまでゲイカップルから依頼を受けたことがあるわけではないものの、今後依頼が来ても受けない権利があると主張していました。

フェニックス市には性的指向に基づく差別を禁じる条例があるのですが、ドゥーカ氏らは2016年、市が彼女らに同性カップルのためのアートワークを作るよう求めることは、米憲法修正第1条で保障された権利(表現や宗教の自由)に対する侵害であるとして市を提訴。Phoenix New Timesによれば2017年10月24日、上位裁判所は以下のような判断を示したとのこと。

  • 市の差別禁止条例は、同社の表現や宗教の自由を侵害するものではない
  • 同社がカスタムメイドの製品を同性カップルに販売しないのは違法
  • 同社は自社のウェブサイトに同性カップルは歓迎されないと書いてはならない
  • しかし、オーナーらが神は結婚をひとりの男性とひとりの女性の結合として創造したと信じているということをウェブサイトに書くことはできる

ドゥーカ氏らは控訴していましたが、果たして2018年6月10日、控訴裁判所もまた市を勝訴とし、以下のように述べたとのこと。

  • フェニックス市は今後も、ゲイの個人またはカップルを保護することを目的とした市条例を使うことができる
  • 同性婚に対する宗教的な反対は保護されるが、反対だからという理由で事業主が特定の人々に対する商品やサービス提供を拒むことは認められない

非常に興味深いのが、アリゾナ州控訴裁判所は先日のあの連邦最高裁による「マスターピース・ケーキショップ」の判決文(参考:米連邦最高裁が『マスターピース・ケーキショップ』支持 - 石壁に百合の花咲く)を引用した上で今回の判決を言い渡しているということ。引用されているのは、ケーガン判事の意見の、以下の部分です。(引用元:16-111 Masterpiece Cakeshop, Ltd. v. Colorado Civil Rights Comm'n (06/04/2018)

当法廷が長らく審理を続けて本日再確認したように、販売業者は、自分の信じる宗教が顧客の中のとあるグループへの商品販売に不賛成だからという理由で、公共施設法から逃れることはできない。このことは、そのグループが性的指向や、人種や、性別や、その他保護の対象となっている特色によって定義されるものであるかどうかによって変わるものではない。

As this Court has long held, and reaffirms today, a vendor
cannot escape a public accommodations law because his religion disapproves
selling a product to a group of customers, whether defined by
sexual orientation, race, sex, or other protected trait.

販売業者は、自分が売る製品を選ぶことはできるが、いかなる理由があれど、どの顧客に売るかを選ぶことはできない。

A vendor can choose the products he sells, but not the customers he serves—no matter the reason.

そんなわけでやっぱり、ゲイにケーキを売らなかった「マスターピース・ケーキショップ」が連邦最高裁で勝ったからといって、全米のクリスチャンに「差別のライセンス」が与えられたわけではないという見方は正しかったようですね。この手の裁判は当分あちこちで続くだろうし、個々の判決とその根拠を丁寧に見ていかねばと思います。