石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年6月24日)

Antoni in the Kitchen (English Edition)

Netflix、『クィア・アイ』オーストラリア特別編をYouTubeで公開

Netflixが、先日シーズン2の配信が始まった『クィア・アイ』の、オーストラリアで収録した特別編をYouTubeで公開しました。場所がニューサウスウェールズのYassという町だというところが、さすが"Yas, queen!"(すばらしいものを称賛するときに使われる若者言葉。起源はアンダーグラウンドのドラァグ文化)が合言葉の『クィア・アイ』。

今回の依頼人は、同地で牧畜業をいとなむジョージさん。ジョナサンは相変わらずぐっとくること(『あなたは子供の世話をし、牛の世話をしてるんだから、今度は自分で自分のケアをする番よ。あなたにはケアされる価値があるの』)を言っているし、アントニのつくるタパス(バターを塗ったブリオシュにベジマイトとクリームチーズを載せ、薄切り椎茸のソテーを載せたもの)もおいしそうです。オーストラリアだけじゃなく、世界中でこういう単発特番を作ってくれればいいのに。

『クィア・アイ』グルメ担当のアントニ、NYCでレストラン開業へ

Not a Drill: 'Queer Eye' Star Antoni Porowski to Open Restaurant in NYC | Food & Wine

『クィア・アイ』グルメ担当のアントニが、2018年6月19日に92nd Street Yでおこなわれたライブ放送でのトークで、ニューヨーク・シティーでレストランを開く計画があると話したんだそうです。業態としてはファストカジュアルで、それ以上は話せないとの由。

ちなみに2019年の夏には彼のレシピ本も出版される予定です。Kindle版もあり。ニューヨークには行けなくても、これなら買えそう。

Antoni in the Kitchen (English Edition)

Antoni in the Kitchen (English Edition)

米TV番組"What Would You Do"(あなたならどうする)、アンチゲイなケーキ屋への客のリアクションを収録

役者の仕込みでいじめや差別などのコントロバーシャルな状況を演じ、通りすがりの人の反応を収録する米ABCのテレビ番組"What Would You Do"(あなたならどうする)が、「ケーキ屋の従業員がレズビアンカップルのウエディングケーキの注文を断る」の回を公開しました。

今回TV局が用意したシチュエーションは、「ケーキ屋のカウンターに女性同士のケーキトッパーを持ってきて『これを載せたケーキを作ってほしい』と頼んだレズビアンたちが、従業員からすげなく断られる」というもの。番組によれば、このやり取りを見た人のほとんどがすぐにこのカップルを擁護しようとしたのだそうです。以下、動画内でこのレズビアンカップルを守ろうとしている人たちの発言をいくつかざっくり訳してみます。

  • 「(従業員に向かって)それは間違ってる。間違ってる。言っとくけど、わたしはもうこの店には来ませんから」
  • 「(従業員に)あなたの個人的な意見を客におしつけないで。(カップルに)あんな風に扱われて気の毒に。どんな人だって、誰を愛するかを理由にああいう思いをさせられるべきじゃないし、世の中あんな人ばかりじゃないからね」
  • 「(従業員に)神様を信じてる? もしも神様があの人たちにああいう風(同性愛者)であってほしくないなら、最初から彼女たちをそのようにはお創りにならなかったはずでしょう」
  • 「(従業員に)神は人をセクシュアリティで判断したりしません。その人がどんな人であるかで判断するんです」
  • 「(カップルに)お気の毒に。泣きたくなります。本当にお気の毒に。あんなの、間違ってます。(従業員に)あなたのしたことにはぞっとさせられます。あの人たちはわたしたちみんなと同じ人間なんですよ」

同性婚には不賛成だという黒人男性が、それでもレズビアンたちに味方してこう言っているところが印象的でした。

  • 「あの人たちには愛したい人を愛する権利がある……誰にもさばかれず、こうありたいという自分でいる権利があるんだ。昔はわたしが黒人だというだけの理由で、店の中に入ってきてこのテーブルにつくことさえ許されなかった。それは、わたしが黒人だから客扱いしなくていいという、誰かの個人的な信念だったんだ」

動画の中にはホモフォビックな発言で従業員を擁護する客(顔にはぼかしがかけられています)もふたりほど出てきますが、全部が全部こんな反応ではなかったということに、かえってほっとさせられました。

ちなみに2017年に米国の非営利調査教育機関「公共宗教研究所」(Public Religion Research Institute、PRRI)が実施した調査によると、米国人の約6割が、小企業のオーナーが宗教的信念を理由に同性愛者の客への商品・サービスの提供を断ることに反対しているとのこと。でも、いくら数字でそう見せられても、『マスターピース・ケーキショップ』のがらみのネガティブな意見がよく目に入る昨今、ちょっとへこんでいたところなので、こういう映像が見られて嬉しく思いました。あ、動画のオチの部分は訳してないので、よければぜひ各自ご自分の目でお確かめになってくださいね。ステキな姪御さんを持って、おばさんもさぞ鼻が高いことだろうとあたしゃ思ったわ。

バイセクシュアルへの決めつけに一矢報いるFacebookポストが話題に

This viral post makes an excellent point about bisexual people · PinkNews

「両性愛者は異性とつきあっていれば異性愛者だと思われ、かといって同性とつきあえば同性愛者だと決めつけられる」という状況に、17歳のLauren Gundrumさんがみごとに一矢報いたというニュース。彼女はFacebookでこう書いたんです。

「バイセクシュアルなの? なのに????? 男とつきあってる????」あのさあ、わたしがサラダ食べてるからって、即わたしはベジタリアンだってことになるわけ? せいぜい頑張っとけよヤリチン野郎、こっちはおまえの彼女と寝てやんよ。

"You're bisexual? But????? You're dating a guy????" OH LOOK I EAT SALAD THAT MUST MEAN I'M A VEGETARIAN RIGHT??? Keep it up chad and I'll fuck your girlfriend.

香港が公立図書館からLGBT+の児童書10種を撤去 原因はヘイト団体の圧力

Hong Kong’s public libraries remove ten LGBT+ kids books from shelves after ‘hate group’ pressure · PinkNews

香港の民生事務局(Home Affairs Bureau)が、反同性愛団体「Sexual Orientation Ordinance Concern Group」からの「同性愛を宣伝している」という苦情申し立てを受け、公立図書館からLGBT+の児童書10種を開架から外してしまったそうです。

PinkNewsによると、外された10冊には以下の作品が含まれるとのこと。

  • Molly’s Family
  • Introducing Teddy(邦題『くまのトーマスはおんなのこ ジェンダーとゆうじょうについてのやさしいおはなし』)
  • Daddy and Papa and Me
  • Mommy, Mama and Me
  • The Family Book
  • The Boy in the Dress
  • Milly, Molly and Different Dads

見たところIntroducing TeddyThe Boy in the Dressはトランスジェンダーがテーマの本で、The Family Bookは世の中にはいろいろな家族(大人数の家族、少人数の家族、全員同じ人種の家族、違う人種の家族、血がつながらない家族、ひとり親の家族、同性カップルが子育てしている家族等々)がいると伝える内容のもの。あとはふたりのママ/パパがいる家族を主人公とするお話っぽいんですが……どうしてこれが「同性愛を宣伝している」ことになるわけ? これを読んだシスヘテロの子供が、「そうかあ、世の中にはトランスジェンダーの子がいる/パパやママがふたりいるおうちもあるんだ。だからぼくはゲイになろう」と決意するとでも? 筋が通らないにもほどがあるし、そんな苦情のもとに本を撤去した民生事務局も民生事務局だと思いました。これらの本は閉架に移されただけで、請求すれば閲覧できるとのことですが、子供の目につくところに置かなきゃ意味がないと思います。

ミュージカル『ビリー・エリオット』ハンガリー公演が中止に 原因は右派メディアのネガティブキャンペーン

Flash - Billy Elliot musical scraps Budapest dates after homophobic campaign - France 24

ハンガリー国立歌劇場で15公演が予定されていたミュージカル『ビリー・エリオット』が、ホモフォビックなメディアからの反対キャンペーンを受けて中止になったそうです。

このミュージカルは英映画『リトル・ダンサー』(原題はミュージカルと同じくBilly Elliot)の舞台版で、英国の炭鉱町に生まれた少年ビリーがバレエダンサーになるまでを描くもの。ゲイのキャラクタは出てきますが、ビリー本人がゲイだという描写はありません。にもかかわらず、ハンガリーのMagyar Idok紙は、「我が国が侵略の危機にさらされ、人口減少と少子化が進みつつあるときに、同性愛の宣伝を国のゴールにしてはならない」として同作品に反対する記事を掲載したのだそうです。うっわー、日本でも好まれそうな論調。同紙はまた、ホモフォビックな罵倒語を用いて、このミュージカルは若い観客を同性愛者にしようとしているとほのめかしたりもしたとのこと。

「中国古代に杞という国がありましてね……」と、まずそこから説明してあげなきゃダメなんでしょうか。

ビリー・エリオット ミュージカルライブ ~リトル・ダンサー [DVD]

ビリー・エリオット ミュージカルライブ ~リトル・ダンサー [DVD]

H&M店員がトランス客差別 抗議され謝罪

H&M apologises after staff stop transgender woman from trying on swimsuit · PinkNews

トランス女性のPaulo Adrian Batallerさんが、フィリピン・マニラのH&M店員に水着の試着を断られ、しかも男と呼ばれたとFacebookに投稿。Batallerさんによれば、試着室に向かおうとするBatallerさんをゲイの店員が止め、Batallerさんに自分はトランス女性だと説明されてもなお、「男性が試着したらその水着がだめになってしまう可能性がある」と主張したのだそうです。Batallerさんは「ゲイならもっと理解があるのではないかと思ったのに、彼は声を大きくしてわたしのことを男性だと強調しただけだった」と述べています。

H&Mのスポークスパーソンは一連の出来事について「大変申し訳なく思う」「このようなことが二度と起こらないようにするため、ただちに是正処置をとる」などとする声明文を発表しています。「もしご不快に思われたのなら~」とか「真意が誤解されて~」云々みたいな謝ってない謝罪スタイルではないところは一応評価できますが、麗々しくプライドコレクションを発売する前にもっとやることがあるだろうという思いはぬぐえません。

英国人(のシスヘテロ)にはLGBTの権利より動物の権利の方が大事(英調査)

People care more about animal rights than LGBT equality, survey shows · PinkNews

英世論調査会社YouGovと、Pride in Londonのコミュニティ利益会社(CIC)が協力しておこなった調査で、英国ではLGBTの人々の権利を気に掛ける人より動物の権利を気に掛ける人の方が多いという結果が出たんだそうです。

この調査では、「以下のうち、あなたがこれからのことでもっとも関心がある(心配に思う)こと3つはどれですか」という質問のもと、国民保険サービス(NHS)、英国のEU離脱、テロリズムなど複数の項目が示されたのですが、シスジェンダーの異性愛者の回答者で「動物の権利」を選んだ人は7%だったのに対し、「さまざまなセクシュアリティーや性自認の人に対する寛容」を選んだ人は3%しかいなかったとのこと。ちなみにLGBT+の回答者で「さまざまなセクシュアリティーや性自認(略)」を選んだ人は44%と、シスヘテロの約15倍。

なお、調査方法やこれ以外の結果については、Campaign - #PrideMatters — Pride in LondonでダウンロードできるPDFをごらんになってください。人種差別や環境問題、移民などの項目でも、シスヘテロとLGBT+の間にずいぶん差があって興味深いですよ。