石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ドラァグクイーンが両親から拒絶される。さて周囲の反応は?

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米ABCのTV番組"What Would You Do"(あなたならどうする)が、「ドラァグクイーンの息子が両親に拒絶される」という状況を目撃した人がどんな反応を見せるかをカメラに収めました。

動画はこちら。

"What Would You Do"は、街中で役者の仕込みでコントロヴァーシャルな状況を演じ、何も知らない周囲の人がどんな反応を見せるかを隠しカメラで収録するという趣旨の番組。今回同番組が用意したシナリオは、「保守的な両親とのランチの待ち合わせに、『この後ショウがあるから』とドラァグクイーン姿で現れた息子。両親は顔をしかめ、『そんな恰好をしているのはうちの息子じゃない』『まるで道化だ』『恥ずかしい』などと非難する」というもの。

レストランでこの光景を見た人たちの反応は、大きく分けて2つに分かれます。まず、「ドラァグ」に同情し、励ましたり慰めたりする人たち。次に、親の立場で「両親」に話しかける人たち。特におもしろかったのが後者でした。

以下、5:28あたりから登場する、眼鏡をかけた白髪頭の女性の発言をちょっと訳してみます。

(『ドラァグ』が席を立った後、『両親』に向かって)「お気の毒に。誰にだって事情はあるけど、時と場所ってものがあるわよね」

「もしも自分の息子が(あんな恰好で)ここに来たら、立ち上がってここを去るわ。我慢できないと思う」

「親としては受け入れるべきなんだけど、できない。息子のことは死ぬほど愛しているけれど、ああ、無理だわ」

別室のモニタでこの発言を見ていたゲストのドラァグクイーン、Monét X Changeも指摘している通り、これって本当にリアルな反応だと思います。眼鏡の女性が続けてこう言うあたりが、さらにリアル。

「あなたがたがお気の毒だけれど、息子さんのことをかわいそうに思う気持ちもあるの。彼は受け入れてほしがってるんですからね」

こういうアンビヴァレントな拒絶、めちゃめちゃ既視感あるわ。ホモフォビアの発露って、「通りで見知らぬゲイに因縁をつけてボコボコに殴る」みたいなわかりやすい形よりも、こういう愛情や同情とないまぜになったかたちの、喉にひっかかる魚の小骨のようなアグレッションの形をとる方が多いんじゃないかと思います。

この後7:05あたりに出てくる、ブロンドのショートヘアの中年女性の発言のインパクトは別の意味ですごいです。

(『母親』からあなただったら恥ずかしいと思わないかと訊かれて)「いいえ、彼が自分の息子ならうれしいと思うでしょうよ。わたしは今お墓からここに来たところで、わたしの息子はそこに眠っています」

死んじゃったら文句すら言えないもんね。さらに圧巻なのは、この後「両親」の隣のテーブルから声をかけた中年男性のこんな発言。

「うちの子もゲイだ。16歳のときカミングアウトした。……それで、わたしはそのことを受け入れなきゃならなかった。大変だったが、そういうものなんだ」

「乗り越えるにはとても長い時間がかかったよ。数年かかった。わたしのいたところでは……そのことをしばらく無視しなきゃならなかった。あなたがたがこのことを乗り越えるのに、あんなに長くかからなければいいと思いますよ。(長くかかれば)その間に、息子と絶縁することになってしまう」

「わたしはセラピーに行ったんだよ、カトリックの……息子を洗脳しようとした。でも息子には何の非もない、生まれつきのことなんだから。どのみち、わかるときにはわかるんだ。わたしの選択肢は、息子を失うか、受け入れるかということ。わたしは息子を失いたくない、それだけだ」

この番組には同性愛ネタの回がたくさんあり、いろいろな人の視点が出てきて、基本的に同性愛者の立場しかこういう状況を見ることができない自分にとっては非常に面白いです。代表的なものをいくつか下に貼っておきますので、ご興味がおありの方は合わせてどうぞ。