石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

フィリピンのゲイ・クラブ、バチェラレット・パーティー主催者の失礼な問い合わせを公開し話題に

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マニラのゲイ・ナイトクラブ「ネクター・ナイトクラブ」(Nectar Nightclub)が、バチェラレット・パーティーの主催者からFB経由で来た失礼な質問のスクリーンショットを公開し、話題を呼んでいます。

詳細は以下。

Gay Nightclub Blasts Bachelorette Party Organizer For Fretting She Would Get HIV from its Clientele - Towleroad Gay News

バチェラレット・パーティーというのは、結婚を控えた女性が同性の親友らと一晩どんちゃん騒ぎをする「独身さよならパーティー」のこと。フィリピンでは現在同性同士は結婚できないので、基本的に異性愛者が開くパーティーということになります。「ネクター」によれば、ある日そのバチェラレット・パーティーの開催を考えている人からお店のFacebookに偏見たっぷりの問い合わせがきて、以下のスクリーンショットのようなやりとりになったのだそうです。

画像内のやりとりを訳すとこんな感じ。

客「この店は安全? 友達がバチェラレット・パーティーを祝うんだけど」

店「安全とはどういう意味ですか?」

客「わたしLGBTコミュニティのことは本当に尊重しているんだけど、HIV感染が心配なんです。今はたくさんのゲイがHIVにかかりやすいでしょう。店に来るゲイの多くがHIVを持ってるんじゃないかと心配なんです。けなすつもりはないんです、すみません」

店「うちの店にあなたのバカさを感染させる前に、もうちょっとHIVについて読むことをおすすめします。あなたのバカさの方が、HIVより伝染性が強いです。そのバチェラレット・パーティーは異性愛者のクラブに持って行ってください。ネクターではあなたがたの用件は歓迎されません」

"is it safe here?Because my friend celebrate her-bachelorette party"

"What do you mean safe?"

"I do respect lgbt community. But I'm worried about hiv infection. Because a lot of gay now a days are vulnerable to hiv. I'm just worried that a lot o gays coming there has hiv. No disrespact and I'm sorry"

"We advise you to read a little more about hiv before you infect our club with your stupidy. That's more contagious. Take your bachelorette party to a straight club. Your business is not welcome at Nectar."

この問い合わせ主って、30年前からのタイムトラベラーか何かなんでしょうかね。まさか2018年にもなって、HIVは感染力が弱く、性行為以外の日常生活ではまずうつらないことも、そしてたとえ感染してもきちんと治療を受ければこれまで通りの日常生活が送れる(もはや『HIV感染/エイズ=死』ではない)ってことも知らないなんて。もっとも日本でも、同性愛者を支援する条例を作ると市がHIV感染の中心になるなどと言い出す議員がいたり、漫画の中では特に説明されていないゲイの登場人物の死因をエイズだと思い込む人がいたりするようですから、どこにでもまだこういう20世紀の亡霊はさまよっているのかもしれませんが。

さて、同ナイトクラブは2018年7月10日、上記のスクリーンショットをFacebookに載せ、「親愛なる異性愛者の偏見持ち様」で始まる痛快な文章を添えています。論旨を箇条書きでまとめると、こんな感じ。

  • この問い合わせを見れば、異性愛者には分厚く積み重なった特権があるということがよくわかる
    • HIVに関する無知がすさまじい
    • フィリピンでは同性婚の権利はないのに、ずうずうしくもLGBTQ+のクラブで「異性愛者の」結婚を祝うパーティーを開こうとするのは侮辱的
    • 「ネクター」は2年前に開業して以来、店内での深刻な暴力事件は一件だけ
      • しかもそれは、バチェラレット・パーティーに来ていた異性愛者女性にラップダンスを提供していたゴーゴーボーイが、その女性の彼氏にボコボコにされたというものだった(ゴーゴーボーイは重度の脳震盪で病院に搬送された)
        • それなのに、バチェラレット・パーティーを開く異性愛者の側が、「自分たちの」安全を気にするって? 
  • そうは言っても、当店はうちのトランスの仲間たちを追い返す異性愛者の店とは違い、差別はしない
    • あなたがた(異性愛者の偏見持ち)の来店は歓迎する
      • しかし行儀は守れ

これ以上なくもっともな意見だと思います。しかしながら今回の件について、ネクター・ナイトクラブはHIVについて無知なバチェラレットたちへの「教育」の機会を逃したと文句を言う人もいたのだそうです。……こういう人、つまり「マイノリティは自ら学ぶ気がないマジョリティ様のため、たとえ失礼なことを言われても怒らずいろいろ教えてあげるべきである」みたいなことを言いたがる人ってのも、やっぱりどこにでもいるよねー……。それだと偏見持ちが百人いたら百回、一万人いたら一万回同じことを説明し続けなければならず、時間と労力がめちゃくちゃにかかるってことがわからないんでしょうね。マイノリティであるというだけで、なんでそんな租庸調の庸(つまり労役)みたいなものを勝手に課せられねばならんのだ。

同ナイトクラブも同様にお考えのようで、この「教育」云々という意見をもらったことについて翌日のFacebookポストで軽く触れ、こんな情報をつけくわえています。

さらなる支援や情報が必要な方は、LoveYourself IncThe Red Whistleに連絡してください。モデルのピア・ウォルツバックが出ているHIV基礎知識の動画を見るには、以下をクリックしてください。https://www.facebook.com/loveyourself.ph/videos/2021864287853971

For those who seek additional information or support, please contactLoveYourself Inc and The Red Whistle. To watch a clip “HIV 101” with Pia Wurtzbach Official, click here https://www.facebook.com/loveyourself.ph/videos/2021864287853971

なんてスマートな返し方。見習いたい。