石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

トランス女性への暴行容疑で男を逮捕 米オレゴン州

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米国オレゴン州ポートランドの警察が、2018年7月25日、トランスジェンダー女性への暴行の疑いで38歳のティモシー・エメット・ウォルシュ(Timothy Emmett Walsh)を逮捕しました。

Police: Woman assaulted in suspected bias crime in Old Town, sus - KPTV - FOX 12

ウォルシュ容疑者は友達と話しながら道を歩いていた25歳のキアラ・モスビー(Keara Mosby)さんに自転車で近付き、「女の服を着た男」についてひどいことを言って暴力をふるったのだそうです。モスビーさんはモンタナ州出身で、トランスジェンダーとしてカミングアウトしてから仕事を解雇され、アパートメントを追い出され、平和な暮らしを求めてポートランドに来ていた人。しかし、ウォルシュ容疑者はそんな彼女の性的指向に言及し、顔面を何度も殴りつけたとのこと。

モスビーさんは容疑者の姿を写真におさめており、警察は間もなく彼を逮捕。現在ウォルシュ容疑者には第4度の暴行および第2度の脅迫の容疑がかけられているとのことです。

以下のモスビーさんのことばが重いです。

「世間の人は、もう結婚の平等が法的に認められたのだからという理由で、わたしたちが現在レインボーカラーに彩られた解放状態にあるとみなしたがります」と彼女は言った。「依然として攻撃されている人たちがいるんです。殺されている人たちがいるんです」

"People like to assume that since marriage equality is legal now that we're in this rainbow liberated state and we’re not," she said. "There's still people being attacked, there's still people being murdered.”

これは米国だけでなくどこの国でもそうですよね。フランスで同性婚が実現した2013年には、アンチゲイな暴力が前年より78%増えました。地元LGBT団体のスポークスマンは、こうした暴力は同性婚への反対と関連があると話しています。英国(ブリテン)で同性同士の結婚を認める法案が可決されたのは2013年でしたが、2016年のBrexitの投票後、ホモフォビックな暴力は3か月で147%も増加。2008年に結婚の平等を実現させたノルウェーでは、それから10年経った今でもホモフォビックなヘイトクライムが起こっていて、2014年以降はむしろ増えていると報告されています。要するに、同性カップルが結婚できるようになったからといって、それでいきなり差別がなくなったりはしないんです。

何より深刻なのは、結婚の平等にしか関心がなかったLGBの人々が、同性婚ができるようになったとたんに「もう運動の目的は達成された」としてLGBTムーブメントから手を退いてしまい、そのせいでトランスジェンダーの人々の権利回復運動がより困難になりつつあるということ。モスビーさんが直面したようなトランス差別を放ったらかしにしといて「目的達成」って、それ何の冗談よ。同性婚法制化はLGBTピープルの抱える困難をすべて解消する魔法の杖なんかじゃ全然ないし、結婚制度だけに注目して「もう平等」とかなんとか思い込むのは絶対に間違ってます。我が国でも、すごい人になると「渋谷にパートナーシップ制度ができたから/同性同士で結婚式が挙げられるから『日本のLGBTは』もう平等」とかなんとかいうK点越えの大飛躍までしてるみたいだけど、それ、めちゃくちゃ間違ってますから。2年前に英ガーディアンに掲載された以下の記事を、わしらは真剣に噛みしめるべきでは。