石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年9月30日)

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トランス女性がファストフード屋台でHIV陽性の子供ら支援 インド

Transgender activist in India opens fast food joint to raise money for HIV

インド南西部の都市、ウドゥピで、Sanjeeva VandseさんというHIV陽性のトランスジェンダー女性が、ファストフードの屋台を始めました。Vandseさんは長年インドのHIV陽性の人々のために戦ってきたアクティヴィストで、この屋台の収益からHIV陽性の子供たちの食費や教育費を支援する予定だとのこと。出店の許可を得るのは本当に大変で、長いことかかってようやく、街の静かな場所に屋台をひとつ出すのならよいと認められたのだそうです。

現在このお店"Asare Fast Food"ではイドゥリ(一種の蒸しパン)やワダ(豆などから作ったペーストをドーナツ形にして揚げたもの)、ピラフ、ギー・ライス(ギーと香辛料で調味した米料理)、ケバブ、パコラ(ひよこ豆の粉で衣をつくった天ぷらのようなもの)などが売られているとのこと。Vandseさんとしては、電気を引く許可が下りたら冷たい飲み物や麺類も出したいと考えているそうです。

こんなお店が近くにあったら、毎日昼ごはん買いにいくのにー。

大学トイレにトランスフォビックなステッカー カナダ

University to investigate transphobic stickers put in gender neutral bathrooms

カナダのニューファンドランドメモリアル大学(Memorial University of Newfoundland))のセント・ジョンズキャンパスで、ジェンダーニュートラルなトイレにトランスフォビックなステッカーが貼られているのが発見されました。そのステッカーにはトランス・プライドの旗の色、つまり水色とピンクと白があしらわれ、「女にはペニスはない」、「性別移行は違和を悪化させる」などと書かれていたとのこと。

これについて同大学のギャリー・カカノスキー(Gary Kachanoski)学長は、「メモリアル大はキャンパスのすべての人々にとって安全で敬意ある環境を提供することを約束しており、このようなメッセージはわれわれの価値観に合致するものではない」、「われわれのコミュニティのメンバーにむけた憎しみのメッセージを強く非難する。容認しない」とする声明を発表学生ユニオンは、キャンパスでのトランスフォビアと戦う方法について話し合うための公開議論を計画しています。また、一部の学生はトランスフォビックなステッカーを破り取って、以下のようなポジティブなステッカーに貼り換えたりしているとのこと。

トイレをめぐってあからさまなトランスフォビアが露呈されるところまではどこにでもあることだけれど、組織のいちばん上からすぐにそれを容認しないという公式声明が出されたり、学生たちがすかさずトランス嫌悪と戦うための活動を始めたりするあたりはさすがカナダだなと。そうそう、この大学のジェンダー・スタディーズ科のジェニファー・ダイアー(Jennifer Dyer)暫定科長が、トランス女性は女性ではないとする差別を支持しているのはTERFs(trans-exclusionary radical feminists、『トランスを排除するラディカル・フェミニスト』)と呼ばれるグループだと説明し、明確にTERFs批判をしているところもよかった。

「トランス女性には平等な権利があって当然」 世界5都市の女性8割が支持

Transgender women should have same rights as other women - ...

トムソン・ロイター財団(Thomson Reuters Foundation)が、カイロ、ロンドン、メキシコシティー、ニューヨーク、東京に住む女性計1000人に「トランスジェンダー女性は他の女性と同じ権利を持ってしかるべきか」と尋ねる世論調査を実施。結果として、798人がイエス、37人がノーと答え、165人が回答を拒否したとのこと。つまり、回答者の約80%がトランス女性の平等な権利に賛成したわけですね。

ちなみにこのアンケートが実施されたのは2018年8月13~24日で、イエスの率がいちばん高かったのはメキシコシティー(89%)。東京はケツから二番目(75%)だったそうです。

南アでソウェト・プライド開催 過去最大規模

This year's Soweto Pride is the biggest one yet as hundreds celebrate

2018年9月29日から、南アフリカのヨハネスブルグで性的少数者のイベント「ソウェト・プライド」が開催されています。今年の同イベントは過去最大規模で、3日間かけてパレードとキャンプとアフターパーティーが実施されるとのこと。

今年のパレードのようすはこちら。

ソウェト・プライドは2004年に始まり、2016年には一旦当局により安全上の懸念を理由として中止させられています。しかし2017年に復活し、今年はさらに大きなイベントへと変化を遂げたとのこと。

ゲイの保育士が不当解雇主張 中国

Gay teacher in China files case for unfair dismissal

児童の保護者からの苦情を理由に勤務先の保育園から不当に解雇されたとして、2018年9月27日、中国のMing Yueさんという保育士が、中国・青島市の労働仲裁委員会に訴えを起こしました。上に貼ったGay Star Newsのツイートに添付された写真の中で、Mingさんは、こんなことを書いた紙を持って立っています。

「わたしは子供たちに正直であれと教えていますから、自分が嘘をつくことはできません。わたしはゲイです」

Mingさんと彼の弁護士は、保育園がMingさんを解雇したのは中国の「公民は、労働の権利及びを有する」とする法に反しているとし、復職と損害賠償を求めているとのこと。

日本にはカミングアウトということを何か誤解して「人間ならパンツは穿いておけよ」とかなんとか「苦り切って呟」いている人がいるようです。どんなエロ妄想が脳内を渦巻けばそんな見当違いの発想にたどりつくのか皆目わかりませんが、現実世界のカミングアウトというのは、パンツの中身とは関係ありません。それは単に、「ヘテロセントリックな人たちの認知の歪みのお守りをしてあげるためにいちいち嘘をついてまでヘテロのふりをしてあげるのをやめること」でしかありません。

めんどくさいのよ、恋愛だの結婚だのの話を無邪気に振られたときに、いちいち自分の恋人やパートナーを「異性の」恋人やパートナーだということにして置き換えて話を合わせてあげるのって。そうそう、同性愛者を「面白おかしいネタ」扱いする「ジョーク」に一緒になって笑ってあげたりするのも、すっげー疲れるんすよ。それに人間、嘘をつくとコルチゾールの分泌が増えるし、血圧や心拍数も上がって健康に悪いんすよ。わたしら俳優でもなんでもないのに、なんでここまで負担背負って、一円のギャラも出ないヘテロ役を24時間営業で演じてあげなきゃいけないんすか。ましてやMingさんの場合、嘘をついてヘテロのふりをしなかったという理由で生活の糧を奪われるだなんて、理不尽にもほどがあるわ。無事復職して、損害賠償もむしり取って、再発防止のためのよき前例になってほしいわ。

レズビアンをターゲットにした連続強姦魔に懲役20年 英国

'Predatory rapist' who targeted gay women in Manchester gets 20 years

英国マンチェスターの刑事法院が、同市のゲイタウンで同性愛者女性を狙って性的暴行を加えていたとして3件の強姦の罪に問われたアシュファク・カーン(Ashfaq Khan, 60)に対し、懲役20年の刑を言い渡しました。

カーンはマンチェスターのLGBTエリアでタクシードライバーを装ってレズビアンに近づいては、家まで乗せてやるとだまして車に乗せ、しかるのちに暴行を加えていたとのこと。カーンの手口は、車のタイヤがパンクしたふりをして停車し、その場で暴行したり、強い酒を無理やり飲ませて自宅に連れ込んだりするというものだったそうです。たいへん胸糞が悪いことに、この男、自分がレイプした被害者が気分が悪くなって嘔吐しても、吐いている最中にまたレイプしたりしていたとのこと。

カーンは無実を主張していましたが、ティモシー・スミス(Timothy Smith)判事は、カーンは「利己的で人を巧みに操る強姦魔("predatory and manipulative rapist")」で、「ひとりでいて、酔っていて、攻撃を受けやすい状態にあった女性を("lone drunk vulnerable women")」狙って犯行を起こしたと断じたそうです。

……これ、日本だったら、「知らない男の車に乗る方が悪い」とか「酒を飲んだ方が悪い」とかなんとかいう被害者バッシングの嵐だろうなー。法廷もカーンを無罪とするかもしれん。

バーニーとアートがゲイかどうか、子供はホントに気にしてるのか?(動画)

Do Kids Really Care About Bert & Ernie Being Gay?

米国の子供向け番組『セサミストリート』のキャラ、バートとアーニーはクロゼットなゲイカップルだという説が以前からあります。果たして2018年9月中旬、セサミストリートの元脚本家マーク・ソルツマン(Mark Saltzman)が、同番組のキャラ、アーニーとバートは恋人同士として描いたと発言。直後に人形操演者のフランク・オズ(Frank Oz)が、サルツマンがそのように感じるのはいいがふたりはゲイではないと発言し、番組を制作している「セサミ・ワークショップ」も、「人形だから性的指向はない」として彼らは親友だと述べました

これについて肝心の視聴者たる子供たちはどう思っているのかについて、YouTubeチャンネルFBEKids Reactsシリーズが動画を発表しました。

だいたいどの子も、セサミを見ていたのは小さい頃で、アーニーとバートの関係については「どう思ってたか思い出せない」「知らない」「兄弟か親友だと思っていた」てなことを言っています。まず、ふたりがカップルだと言われていることについては、こんな反応。

  • あー、いいんじゃない。まあ。
  • いいけど、うーん。子供番組だってことを考えた方がいい。そんな風に思うなんて気持ち悪い。小さい子は愛についてまだ知らないと思う。
  • 子供でも人形だってわかってたから、気にならなかった。
  • ちょっとショック。なんか気持ち悪い。
  • いろいろなことに対して心を開くのはとても大切。人々がこのことについてそういう視点が持てていたのだとしたら、とてもいいと思う。
  • ものすごくたくさんの人がそういうことを期待してたってわけじゃないし、これってそういうことを出すにしては大きな番組だよね。子供も見る番組だから、本当に小さい子がそれを見て、知ることになる。
  • 何も問題ないと思う。それってどういう生き方を望むかっていうことで、ふたりが望むような生き方をさせてあげればいい。何も問題ないよ、ふたりはただ単に人間であるだけで、他の人とおなじなんだから。

ソルツマンがふたりはカップルだと発言したことについては、こんな。

  • 子供番組からこんな大騒ぎを作り出すなんて。最近の人間ってやつは。
  • じゃあ本当だったんだ。わー。
  • すごくいい。
  • じゃ、(ふたりがゲイだという説は)正しかったって証明されたんだ。

フランク・オズが、バートたちはゲイではないと述べた上で「それって本当に重要なことなのか?」「人間であるということは、ストレートであるかゲイであるかだけじゃない」などとツイートしたことについては、こうです。

  • いや、そんなに重要じゃない。
  • それ(ゲイなのかストレートなのか)は重要じゃない。フランク・オズがこのことを言ったのはいいことだと思う。

セサミ・ワークショップの「人形には性的指向はない」発言について。

  • うん、ただの人形だもんね。
  • うん、彼らは人形だもん。他に何ができるっての?

その他いろいろ。

  • これっておおごとみたいに見えるけど、本当にちゃんと考えたら、たいしたことじゃないと思う。
  • 人にはいろんな意見がある。だからちょっと落ち着くべきだと思う。そうすればそれぞれ自分の考えに従って暮らして、メディアで大騒ぎを始めたりはしないようになるのでは。
  • 人間は(同性カップルに)慣れる必要がある。世界には男が男と、女が女とデートするより悪いことはいろいろある。本当にあるんだから。
  • ゲイの人が番組を見ていて、ゲイとかそういう人がふつうに番組に出てこなかったら腹が立つと思う。だから両方出すのがフェア。
  • 子供はこういうことを知るべきで、大人になって「気持ち悪い、うえー」みたいなことを言う人になるべきじゃない。子供は「それってOK」って思う方がいいし、そういう風に思うのはすばらしいことだと思う。
  • 「人形なんだから、カーミットとピギーがデートしていたって誰も気にしないよ」とか言う人が、その一方でセサミストリートのふたりがゲイだと大騒ぎするのはおかしい。
  • 人気を得るためにキャラをゲイにする必要はないと思う。それはいいアイディアじゃない。人気取りのためじゃなくて、本当にゲイに関するストーリーが欲しいと思って、それで新しくキャラを出してやるのなら、きっといいアイディアになるんじゃないかな。子供番組だから、子供が見て、小さいうちから理解できるし。
  • 小さい子はこういうことをまだ知らなくていい。9歳とか10歳まで知らなくていい。誰かに片思いをして好きになるのはいいけど、もうちょっと大きくなるまで待つべき。
  • 子供はこういうことを知る必要がある、必要なんだよ。

五輪アイスホッケー金メダルの女子選手同士が結婚

Olympic Ice Hockey Champion Meghan Duggan Marries Rival Gillian Apps

アイスホッケー米国女子代表キャプテンで、2018年の平昌五輪で金メダルを獲ったミーガン・ドゥーガン(Meghan Duggan)選手が2018年9月22日、同競技元カナダ女子代表のジリアン・アップス(Gillian Apps)選手と結婚しました。

写真はこちら。

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Nothing but smiles after this amazing weekend ❤️

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アップス選手もまた2006、2010、2014年の五輪で金に輝いており、ふたり合わせてオリンピックの金メダルが4個、その他の世界大会のタイトルは10個になるのだそうです。ご結婚おめでとうございます、お幸せに!