石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

台湾、国民投票で同性婚の民法改正に「ノー」

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台湾で2018年11月24日、同性婚やLGBT教育に関する国民投票が実施されました。民法改正で同性婚できるようにする案は否決され、義務教育でのLGBT教育に関しても、反対派が多数という結果に終わりました。

詳細は以下。

台湾の同性婚をめぐる国民投票、反対派が多数に。これまでの経緯と今後の影響を解説。 | ハフポスト

上記のハフポストの日本語記事を読めば、だいたいのところはわかると思います。ポイントは以下の3点でしょうか。

  1. 今回否決されたのはあくまで民法改正であって、司法院大法官会議が2017年5月に下した、同性カップルの結婚を認めないのは憲法違反という判断が覆るわけではない
  2. したがって、民法改正以外の方法(新法を作る、あるいは新法なしでも憲法解釈によって暫定的に同性婚を可能とするなど)により、2019年5月までに同性婚は可能となる
  3. しかし新法によって同性婚を認める場合、同性婚が異性婚と同等のものと位置づけられなくなってしまう可能性がある

つまり台湾の多数派は、「分離すれども平等」("separate but equal")という偽善を支持したのだな、と思いました。ほら、「黒人が白人と同じものを使うことは許さない。黒人専用のトイレや水飲み場があるんだから差別じゃない」という例のアレね。こんなの差別の温床まっしぐらなんでは。

ちなみにGay Star Newsによると、台湾の同性婚反対派は、USドルで300万ドル以上のお金をアンチ同性婚・アンチLGBTI教育キャンペーンにつぎこんでいたとのこと。具体的には、新聞広告、看板、チラシ、フェイクニュース記事、ネット公告などを駆使して、同性婚やLGBTI教育を認めれば家族が崩壊するとか、人口が減少するとか、台湾がHIV天国になるとかいうデマを台湾じゅうに流しまくったんだそうです。オーストラリアやアイルランドで起こったことと同じですね。

また、同じくGay Star Newsによると、この国民投票の結果が出た後、性的少数者のための電話相談サービス「同志諮詢熱線協會(The Taiwan Tongzhi Hotline)」への電話が40%も増加したとのこと。同サービスのSih-Cheng (Sean) Duさんによれば、 LGBTQ+当事者からの相談も、LGBTQ+の子を持つ親からの相談も両方増え、電話10本のうち4本が国民投票に関するものだったそうです。

「LGBTQ+とストレート・アライの多くが、国民投票の結果に失望しています」とSeanは言った。

「LGBTQ+の人には、強い憂鬱や不安を感じている人もいます。絶望したり、社会から切り離されてしまったと感じている人さえいます」

‘Many LGBTQ+ and straight allies are disappointed at the result of the referendum,’ Sean said. ‘Some LGBTQ+ people feel strongly depressed or anxious. Some even feel hopeless or isolated by the society.’

ちなみにこのような国民投票を、多数派が投票によって少数派の権利を制限することは違憲だとして許さなかった国があります。コスタリカです。このとき議論の的になっていたのは同性婚ではなくシビルユニオンでしたが、反対派の要求で2010年12月に実行されることになっていた国民投票を、同年8月、最高裁が以下のような判断で差し止めたんです。(以下、Costa Rica dice no a referendo sobre uniones gay - BBC News Mundoから引用して拙訳)

「反多数派の求めにより立ち現れた少数派の権利を、多数派が強制する国民投票のプロセスにゆだねてはならない」と裁判所の判決は述べている。この判決は、最高裁の判事7人のうち5人によって支持されたものである。

「同性との交際関係にある人々は不利な立場に置かれている集団で、差別の対象となっており、当局が彼らの権利の承認を支援することが不可欠である」と、判決文は弁明した。

"Los derechos de las minorías que surgen de reivindicaciones contramayoritarias no pueden ser sometidos a un proceso de referéndum donde e imponen las mayorías", dice el fallo de la corte, aprobado con el voto de cinco de los siete miembros de la Sala.

"Las personas que tienen relaciones con una del mismo sexo son un grupo en desventaja y objeto de discriminación que precisa del apoyo de los poderes públicos para el reconocimiento de sus derechos", justificó.

こういう判断ができる国が少なすぎる。