米国ラスベガスで男らがゲイカップルの後をつけ、割れたガラスで刺すなどの暴力をふるってけがをさせた事件で、ラスベガス警察は男性容疑者ふたりを2018年12月2日に逮捕したと発表しました。
詳細は以下。
逮捕されたのは、キーラン・エイブラハム(Kealan Abraham, 34)容疑者とアンドレ・ダンカン(Andre Duncan, 39)容疑者のふたり。両容疑者は11月29日、ゲイ男性のチャールズ・クレメンツ(Charles Clements)さんと、チャールズさんのボーイフレンドのヴィンセント(Vincent)さんが乗っていた車のあとをつけ、ふたりが帰宅して車から降りるのを待って殴る蹴るの暴力をふるったと言われています。チャールズさんらは玄関先にあったガラステーブルに叩きつけられ、犯人のひとりは割れたガラスの破片を拾ってヴィンセントさんの背中を刺しました。
近所の人たちは皆ただ見ていただけで誰も警察を呼ぼうとはせず、チャールズさんたちは血だらけの姿でアパートメントに逃げ込んで自力で通報したんだそうです。チャールズさんはガラスで頭をけがしており、ヴィンセントさんは肋骨を二本折られた上に肺が破裂してしまっていて、ふたりとも病院に運ばれました。チャールズさんは翌日の朝、そしてヴィンセントさんは翌日の夜に退院となりましたが、ヴィンセントさんは今もひどい痛みに苦しんでいるそうです。
事件について説明するチャールズさんの様子はこちら。(一緒に映っている男性はヴィンセントさんではなく、チャールズさんのおじのアンソニーさんです)
チャールズさんは、犯人らは暴力をふるう間、ヴィンセントさんのことを「カマ野郎("faggot")」、「忌むべきもの("an abomination"、聖書に出てくる語です)」などと呼んでいたと話しています。またヴィンセントさんによれば、犯人のひとりはヴィンセントさんの職場の同僚で、ヴィンセントさんとチャールズさんの関係を知っていたとのこと。
警察は事件現場でダンカン容疑者の運転免許証を発見し、12月2日に同容疑者の車がエイブラハム容疑者の家に泊まっているのを見つけて、そこで彼を逮捕したのだそうです。エイブラハム容疑者は自宅にいるところを逮捕されました。ふたりとも、このカップルと「けんかをした」(ダンカン容疑者による説明)ことは認めつつも、自分たちのしたことはヘイトクライムではないと主張しているそうです。ゲイカップルの後をわざわざつけていって"faggot"だの"abomination"だのと口走りながら肺が破れるほどの暴力をふるうのがヘイトクライムでないのなら、いったい何がヘイトクライムなんだと思いますけど。
チャールズさんとヴィンセントさんは現在、医療費と、セキュリティつきの住居に引っ越すための費用をクラウドファンディングで募っているところです。
この事件、犯人たちのしたことももちろん怖いけど、近所の人がただ見ていただけで誰も通報しなかったっていうのも背筋が凍るよねえ。今年の夏、レバノンでトランス女性が昼日中の路上でボコボコにされたのに誰一人助けなかった事件とか連想したわ。一刻も早く引っ越すのが正解だと思うわ。