石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

米宗教保守、トランス女性を女性用シェルターから締め出す権利求め訴訟

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米国の保守派キリスト教グループが、宗教ベースの女性用シェルターがトランス女性を追い出すことができないのは宗教の自由などに対する侵害だとしてアラスカ州アンカレッジ市を訴えました。

詳細は以下。

Conservative group sues to block trans women from using faith-based shelter

訴えを起こしたAlliance Defending Freedom (ADF) という団体は、南部貧困法律センター(Southern Poverty Law Center)によってヘイトグループに分類されているところ。同性愛の違法化に賛成しており、同性愛者をペドファイル扱いしたり、アイダホ州やコロラド州やサウスカロライナ州の同性婚禁止法案の草案を執筆したり、アンチLGBTないじめに反対するイベント「Day of Silence」を「ホモセクシュアルのアジェンダ」と呼んでカウンターイベント「Day of Truth」を実施したりしているところです。

アンカレッジでは2018年、トランス女性が女性用シェルター「ホープ・センター(Hope Center)」の利用を拒否されたと訴え、平等権委員会が調査を開始しています。宗教系のこのシェルターは、トランス女性へのサービス提供を拒否する権利を求め、8月に市とその平等権委員会に対して連邦訴訟を起こしました。なお、シェルター側が非協力的なため、平等委員会による調査は進んでいないそうです。

ADFは同市に対し、市がホープ・センターにジェンダー・アイデンティティー法を適用しないよう求める訴訟を起こしました。同団体の弁護士、ライアン・タッカー(Ryan Tucker)氏は、同シェルターを利用している女性には虐待や暴力のサバイバーが多く、生物学的男性の滞在を許せば、氷点下の気温の中「森の中で寝た方がまし」と思う女性も出てくると主張しています。氏の考えでは、市内には生物学的男性が使えるほかのシェルターがあるから、トランス女性はそちらを使えということらしいです。

しかしながら米ハフィントンポストに2018年に掲載された、法医学精神科医のBrian Barnett氏が医学研究データベースや法的データベースを調べた結果によれば、2004年以降の米国で、トランスジェンダーの加害者が更衣室で性犯罪を犯したとされる事件は1件だけだったそうです。一方、全米のトランスジェンダー人口は約140万人。この状況で、シェルターがトランス女性を受け入れるなら「森の中で寝た方がまし」と考える女性が実在したとして、それは単に、その女性が極端にトランスフォビックだというだけの話じゃないの? このシェルターがすべきことはトランス女性の排除ではなく、職員と入居者全員に対する偏見低減プログラムの実施なんじゃないの?

こういう話をすると得々としてカレン・ホワイトの事件(英国で女性刑務所に入っていたトランス女性の受刑者カレン・ホワイト/Karen Whiteが他の女性受刑者をレイプした事件)を持ち出してトランスフォビアを正当化しようとする人が出てきそうですが、なら先日書いた以下のニュースもぜひ読んでいただきたいものだと思います。

このトランス女性のディオン・”ストロベリー”・ハンプトン”(Deon ‘Strawberry’ Hampton)受刑者が男性用刑務所で4年間レイプされ続けた事件や、アシュリー・ダイヤモンド(Ashley Diamond)メアリー(Mary)(仮名)やエリカ・キング (Eyricka King)ヴィッキー・トンプソン(Vicky Thompson )が受け続けた虐待と暴力にはだんまりを決め込んで、たった1件のホワイトの事件のことばかり強調するというのはよくて無知、悪くて不正義だよ。