米国の巡回区控訴裁判所が、ミズーリ州の老人ホームが既婚レズビアンカップルの入居を拒否したのは違法ではないとする判断を下しました。理由は、同州では性的指向による差別は法的に禁じられていないから。
詳細は以下。
The judge found “sexual orientation rather than sex lies at the heart of Plaintiffs’ claims," and rejected them because of a 1989 Eighth Circuit precedent saying the Civil Rights Act does not ban anti-gay discrimination.https://t.co/tA9P3uclsy via @tfitzsimons
— NBC Out (@NBCOUT) January 19, 2019
このカップル、ベヴ・ナンス(Bev Nance, 68)さんとメアリー・ウォルシュ(Mary Walsh, 72)さんは約40年前からの交際で、10年前にマサチューセッツ州で結婚しているとのこと。このふたりは2009年、ミズーリ州の老人ホーム「フレンドシップ・ヴィレッジ(Friendship Village)」に入居申し込みをしたのですが、入居できる既婚カップルは「ひとりの男性とひとりの女性」の組み合わせだけだとして断られてしまいました。ふたりは訴訟を起こし、もし片方が男性なら入居できたのに、女性同士だと断られるのは性差別だと主張。しかしながらジーン・C・ハミルトン(Jean C. Hamilton)判事は、これは性別というよりむしろ性的指向に基づく差別であるとしてこれを退けました。
同判事によれば、ミズーリ州などをカバーしている第8巡回区控訴裁判所が、1989年のウィリアムソン対A.G.エドワーズ&サン(Williamson v. A.G. Edwards & Sons)裁判で、市民的権利に関する法律第7編(Title VII)は「ホモセクシュアルに対する差別を禁じてはいない」とする判決を下しているため、老人ホームがしたことは違法ではないのだそうです。ナンスさんとウォルシュさんの弁護士は、「わたしたちは裁判所の判断に同意しておらず、次のステップを考慮しているところです」と述べています。
あたしは狸のように執念深いのでしつこく覚えてるんですが、2010年にこんなことがありましたよね。
- 米カリフォルニア州ソノマ郡、老ゲイカップルを引き離し、財産をすべて売却 - みやきち日記
- カリフォルニア州のゲイ男性、同性パートナーの死に目に合わせなかった郡を訴え、60万ドルの和解金を勝ち取る - みやきち日記
あれから同性婚が全米に認められて、高齢同性カップルが少しは安心して暮らせるようになったかと思いきや、今なお映画『ウーマンラブウーマン』第2話や『クラウドバースト』の世界のままじゃないですか。ナンスさんとウォルシュさんが上訴して、勝利をもぎとってくれるといいんだけど。いや、そもそも差別禁止法すらない日本からそんなこと言われても困るだろうとも思うけど。