オープンリー・ゲイのブラジル連邦下院議員、ジャン・ウィリス(Jean Wyllys)氏が、2019年1月24日、議員の職を辞してブラジルを去ると発表しました。原因は、性的指向を理由に死の脅迫を受け続けているから。
詳細は以下。
Openly gay Brazilian congressman, Jean Wyllys, has resigned and left Brazil due to death threats https://t.co/J6y9SszPnI pic.twitter.com/qSBeBS6Yqd
— TicToc by Bloomberg (@tictoc) 2019年1月27日
ウィリス氏は同国で二人目のオープンリー・ゲイの議員で、2018年10月に再選されたばかり。ブラジルでは2018年3月、レズビアンの政治家でウィリス氏の友人だったマリエレ・フランコ(Marielle Franco)氏が暗殺されています。ウィリス氏もまた、彼や家族を殺すという趣旨の脅迫を受け続けており、ずっと警察の警護を受けてきたそうです。
ちなみにマリエレ・フランコ氏殺害事件の容疑者のひとりは、同国のきわめてホモフォビックな大統領、ジャイロ・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)氏のファミリーとつながりがあると報じられています。このMagalhães da Nóbrega容疑者の母親と妻が、大統領の息子で上院議員に選出されているフラヴィオ・ボルソナロ氏の事務所で2018年まで働いており、 Nóbrega容疑者自身もフラヴィオ氏から勲章を授けられたりしているんです。このことについて、ジャン・ウィリス氏は、「大統領の息子が、自分の事務所で暗殺者の母と妻を雇っていたと知って恐れおののいた」、「あの大統領はいつもホモフォビアを利用してわたしに敵対していた。この環境はわたしにとって安全なものではない」などと話しているとのこと。
ウルグアイのムヒカ元大統領からも「気を付けなさい、殉教者はヒーローではないよ」と言われたというウィリス氏は、2019年1月24日(現地時間)、Folha de S. Paulo紙で辞意を表明するとともに、Twitterで「脅かされている命を守ることもまた、より良い日々を求める戦いのためのひとつの戦略である」とするコメントを発表。ツイートに添えられた画像には、「ありがとう、また新たな日まで」と書かれています。
Preservar a vida ameaçada é também uma estratégia da luta por dias melhores. Fizemos muito pelo bem comum. E faremos muito mais quando chegar o novo tempo, não importa que façamos por outros meios! Obrigado a todas e todos vocês, de todo coração. Axé! ✊ https://t.co/Xy6SyDNXDy pic.twitter.com/Tf6SGmZFHq
— Jean Wyllys (@jeanwyllys_real) 2019年1月24日
なおEL PAÍSによると、ウィリス氏の所属するブラジル社会主義自由党(PSOL)は同氏の判断を支持し、「彼は今後も党員であり続け、わたしたちは彼の戦いを続ける」と表明しているとのこと。なお、ウィリス氏は現在ヨーロッパにいて、博士号取得のための研究をする場所を探しているところなんだそうです。
命あっての物種だからねえ。ちなみに現在"Jean Wyllys"をキーワードにしてソーシャルメディアを検索するとものすごい勢いで彼に対するヘイトスピーチ(『脅迫なんて嘘だ、フェイクニュースだ』とか『臆病者』とかなんとか。ポルトガル語はわからないので、スペイン語に機械翻訳して読んだ範囲でですけど)が出てくるんですが、O Globoによれば、ブラジル法務省は既に、ウィリス氏を脅迫していた犯人のひとりの身元を特定しているそうです。「あなたは守ってもらえても、家族はそうじゃない。強姦されて頭を失った家族の姿を見ることを考えたことがあるか?」というメールを送り付けていたんですってよ、この犯人。避難して当然だろ、そんなん。