石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

16歳トランス高校生自死 追悼集会が開かれる チリ・アタカマ州

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注:自死に関する話題を含みます。フラッシュバック注意。

2019年5月23日、チリ共和国アタカマ州の州都コピアポで、トランスジェンダーの男子高校生ホセ・マティアスさんが自死しました。16歳でした。彼の母親と友人は、彼が学校の教職員や女子生徒からのいじめに遭っていたと話しています。

詳細は以下。

www.movilh.cl

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亡くなったホセ・マティアス・デ・ラ・フエンテ・ゲバラ(José Matías De la Fuente Guevara)さんはコピアポにあるサグラド・コラソン高校(Liceo Sagrado Corazón)の生徒でした。遺書には以下のような記述があったそうです。

「クソ学校、あの学校の環境全部と、女子らと、みんながぼくを打ちのめした。(略)ぼくはオカマのバカ野郎なんだ、【女子生徒の名前】が言っていたように」

“Liceo de mierda, todo su entorno , las niñas y la gente en general ahí me colapsó (..) Yo soy solo un maricón culiao, como diría… (nombre de compañera)”

母親のマルセラ(Marcela)さんによると、ホセ・マティアスさんの「自己イメージがはっきり」してより男性っぽい服装をし始めたのは13歳のときで、家族はそんな彼を愛して支えてきたのだそうです。性別移行手術の話もしていたとのこと。お母さんと最後に話したとき、ホセ・マティアスさんは「別の学校に行かせて("cámbiame de colegio")」と言っていて、マルセラさんはその時点では息子が今の学校でそこまで苦しめられているとは気づいていなかったとのこと。事件後、クラスメイトの話を聞いて、彼が教員や他の生徒からひどいハラスメントを受けていたということがわかったのだそうです。

ホセ・マティアスさんの友達だったカタリナ(Catalina)さんは、「ディアリオ・デ・アタカマ(Diario de Atacama )」紙に対し、以下のように話しています。

「何人かの女性教師が、トランスだということを理由に彼にいやがらせをしていました。彼がトランスだなんてありえないとして、心理学者のところに行かせたりして。木曜日に彼はわたしに『カタ、ぼくは旅に出るよ』と言いました。別れを告げていたんです。『きみに会えなくてさみしくなるよ』と言われて、その日の夜に事件のことを知りました。(略)黙っているつもりはありません。彼にいやがらせをした女の子たちのせいで、彼は自死するところまで追いつめられたんです」

“varias profesoras lo molestaban por ser trans, lo mandaba al psicólogo que él no podía ser trans. El jueves me dijo “Cata, me voy de viaje”. Se despidió. Me dijo “te voy a extrañar” y en la noche me contaron lo que había pasado (…) No me voy a quedar callada. Por la culpa de las niñas que lo molestaban llegó al punto del suicidio”

下院ではマティアスさんのために黙祷がおこなわれ、サグラド・コラソン高校の前では、追悼の集まりとマーチが開催されました。


チリで性的指向、ジェンダー・アイデンティティおよびジェンダー表現による差別から若者を守る活動をしている団体 "Todo Mejora"が2017年に発表した調査によれば、同国ではLGBTIの若者はそうでない若者の4倍自死しやすいとのこと。この調査では、チリのLGBTIの若者で、過去1年間に学校で性的指向が理由で危険を感じたことがある人は70.3%、身体的な暴力を受けた人は31.4%、セクハラをされた人は31.4%、ことばの暴力に遭った人は62.9%、サイバーいじめの被害を受けた人は31.1%だという結果が出ているそうです。議会は黙祷してるだけじゃなく、子供たちを守るためのプログラムを早急に教育の場に普及させるべきなのでは。