石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『トイ・ストーリー4』にふたりママ家庭の描写 アンチゲイ団体が(またしても)ボイコット開始

Toy Story 4

全然知らなかったんだけど、現在公開中の映画『トイ・ストーリー4』に、「小さな女の子と、そのふたりのママ」という構成の家族が出てくるんだそうです。で、例によってアンチゲイ団体「ワン・ミリオン・マムズ」がそれに食いついて怒っているとのこと。

詳細は以下。

elclosetlgbt.com

この映画が日本で公開されてずいぶんたつのに、レズビアンカップルが出ていたなんて話は上記のニュースを読むまで全然知りませんでした。いったいどこにそのような描写があったのかというと、どうも下記のツイートの添付画像の、丸で囲んだ部分のふたりが女性同士のカップルらしいということのようです。

これはウッディの新しい持ち主となった女の子、ボニーが通う幼稚園での一場面です。問題の女性ふたりは要するにモブキャラで、幼稚園に子供を送ってきたり、夕方子供を迎えに来てハグしていたりするところが描かれているとのこと。

アンチゲイなヘイト団体「ワン・ミリオン・マムズ」は、たったこれだけの描写を「非常に危険」と呼び、いつものようにボイコットの署名運動に邁進しています。彼女たちの考えでは、上記の場面は「極端なまでに不必要」であり、ディズニーは「できるだけ多くの子供たちを曝露させようとして」わざとこのシーンについて事前にアナウンスせずにいたんだそうです。

しかしね、ウィリアムズ・インスティテュートによれば、米国には子育て中の同性カップルが推定11万4千組もいる(2016年時点で)んだそうですよ。またGates(2015)*1によれば、米国で同性カップルに育てられている子供の数は約20万人だそうです。これだけの家族たちが、これまで数多くのフィクションの中では「なかったこと」にされていたことの方が変。そして、こうした家族を子供の目に触れさせてはいけない「危険」なもの扱いする言説を吹聴するのは、変を通り越してはっきり有害。こういう、「ゲイは『危険』で、排除されて当然」という考え方は人を殺すので、彼女らの主張がいかにばかばかしくても根気よく抗議していかなければならないと思います。

*1:Gates, G. J. (2015). Marriage and Family: LGBT Individuals and Same-Sex Couples. Future of Children, v25 n2 p67-87 Fall 2015.