石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

大学マーチングバンド、ハーフタイムショーで反LGBTQなライバル校批判 米テキサス州

Rice University Owls垂直フラグ28?x 40インチ1両面印刷、テキストロゴ

米国の大学フットボールのハーフタイムショーで、ライス大のマーチングバンドが、プライド・フラッグを使ったパフォーマンスを披露しました。曲はYMCA。対戦相手のベイラー大のアンチLGBTQな方針に反対するため、この演目を採用したのだそうです。

詳細は以下。

www.houstonchronicle.com

パフォーマンスの様子はこちら。

このパフォーマンスが披露されたのは2019年9月21日のことだそうです。この日ライス大が対戦したベイラー大はバプテスト派の私立大学で、2011年に学生たちが設立したLGBTQのグループ「ガンマ・アルファ・ユプシロン(Gamma Alpha Upsilon、ギリシャ文字だと頭文字がゲイ"ΓΑΥ"になります)」をいまだに公認せずにいるところ。大学の公認が取れないグループは、活動場所の予約や予算の調達などでいろいろと不利を強いられるのですが、同大学では「学生は、聖書の教えに反するセクシュアリティの理解を促進する権利擁護団体に参加しないことが期待される」というポリシーのもと、ヘテロカップルの婚外セックスすら「聖書の教えに反する」とみなされるのだそうです。いわんやLGBTQグループをや、というわけ。

ライス大学のマーチングバンドはこのポリシーを「ばかばかしい」と考え、ハーフタイムショーのパフォーマンスでベイラー大を批判しようと決意。それで、それまで準備していた「スター・ウォーズ」の演目をやめ、ライトセイバーをプライド・フラッグに持ち替えて、ヴィレッジ・ピープルの曲でPRIDEの文字を作ることになったんだそうです。ちなみにこのルーティーンに使われた旗は、ライス大の学生や卒業生たちの寄付でまかなわれたとのこと。

これ、旗が6色の虹色のものだけじゃなくて、トランス・プライドやAセクシュアリティー・プライド、レズビアン・プライドなど、いろんなものが入り混じっているところがさらにいいと思いました。こういうパフォーマンス、そこらじゅうでどんどんやってほしいわ。

ちなみにベイラー大学というのはオープンリー・レズビアンのバスケットボール選手、ブリトニー・グライナー(Brittney Griner)の母校です。グライナーの自伝『In My Skin: My Life On and Off the Basketball Court』感想)によれば、同大学は彼女がレズビアンだということを「問題ない」として入学させておきながら、入学後は同性愛者であることを隠すよう強要していたとのこと。ガールフレンドとデートしただけで呼び出されてお説教され、TwitterにちょっとLGBTフレンドリーなことを書けば「消せ」と言われる大学生活を強いられたグライナーは、自分の経験を以下のように振り返っています。(以下、同書p. 115から拙訳)

ベイラー大でバスケットボール選手としてどれほど支援を受けていようと、あそこで受けた苦痛は消せるものではない。このことについて考えれば考えるほど、ベイラー大の経営陣は、相反するものをどちらも手に入れたがっているように感じる。彼らはクリスチャンの大学としての売りを失わないよう、方針を変えないままでいたいのに、大学に在籍する同性愛者の運動選手の成功から利益を得ることには大喜びなのだ。それはつまり、同性愛者の運動選手たちがゲイであることを話さない限りは大喜び、ということである。

こんな偽善的なポリシーの大学、批判されて当然でしょ。グッジョブ、ライス大のみなさん。