同性愛テーマのミュージカルThe PromのNetflix版に英俳優・司会・コメディアンのジェイムズ・コーデンが出演することに、批判が起こっています。批判の原因は、昨年コーデンが制作したドラマで、古い歌の反同性愛的な歌詞がそのまま使われていたことにあります。
詳細は以下。
The Promは、米国のハイスクールのレズビアンカップルが、女の子同士でプロムに参加するため奮闘するというあらすじの物語。初演は2016年で、2018年にブロードウェイに進出し、2019年にはNetflixがライアン・マーフィー監督で映画化することが発表されました。
で、そのNetflixが日本時間で2019年1月4日、こんなツイートをしたんです。
THE PROM: Ryan Murphy directs this story of a lesbian teenager who's banned from attending the big dance with her girlfriend. The injustice prompts a cast of Broadway eccentrics to descend on the small Indiana town to fight back. Meryl Streep, James Corden & Nicole Kidman star.
— Netflix Film (@NetflixFilm) 2020年1月3日
訳：
ザ・プロム：ライアン・マーフィー監督の本作は、ガールフレンドと一緒に大きなダンスパーティーに行くことを禁止された10代レズビアンの物語。この不公平からあることを思いついたブロードウェイの変わり者たちが、インディアナの小さな町に押しかけることになる。メリル・ストリープ、ジェイムズ・コーデン、そしてニコール・キッドマンが出演。
THE PROM: Ryan Murphy directs this story of a lesbian teenager who's banned from attending the big dance with her girlfriend. The injustice prompts a cast of Broadway eccentrics to descend on the small Indiana town to fight back. Meryl Streep, James Corden & Nicole Kidman star.
ところが間が悪いことに、ジェイムズ・コーデンはBBCの2019年のクリスマス・スペシャル番組でホモフォビックな歌詞の歌をそのまま使ったとして批判を浴びたばかりなんです。詳しくは以下を。
早い話が、このクリスマス・スペシャルには、The Poguesの"Fairytale of New York"という30年以上前の歌の、"You scumbag, you maggot You cheap lousy f****t"という部分を登場人物がそのまま歌うシーンがあったというわけ。"f****t"って、ゲイ男性や男らしくないとみなされた男性を誹謗するために使われる相当強い罵倒語ですよ、念のため。
これについてソーシャルメディアでは賛否両論が巻き起こり、ルース・ジョーンズがこの番組のキャラたちは「親切で心が広い」から「わざと誰かを傷つけようとしたわけではない」と主張する一方、「"f****t"は何百人ものクィアな人々が殺される直前に聞かされた言葉のひとつ」「BBCはNワードを使った歌は絶対に放送しないのに、どうして"f****t"は消さないのか」などという批判も起こっています。BBCは、この曲は「とても人気がある、クリスマスシーズンを通して広く愛されているクリスマスソングで、歌詞は観客にしっかりと認められています」として番組を擁護。ジェイムズ・コーデンからの公式声明は今のところなし。
で、このタイミングでThe Promにコーデンが出るって発表されたもんだから、こういう意見も出てきてるわけ。
Haven't lesbian teenagers suffered enough? James Corden?
— Pedro Hollanda (@phollanda) 3 de enero de 2020
訳：
レズビアンはもう十分苦しんできたんじゃないのか？ ジェイムズ・コーデンだって？
Haven't lesbian teenagers suffered enough? James Corden?
ジェイムズ・コーデンは以前ゲイ雑誌Attitudeのインタビューでとてもいいことを言っていたし、彼のインタビューや司会っぷりを見てホモフォビアを感じたことは一度たりともないんですが、これはちょっと一言声明を出しておいたほうがいいんじゃないかと思いました。"f****t"って、本当にこの言葉で罵られながら殺されたり大けがをさせられたりした人がたくさんいる語だし、同性愛者やトランスの人々の家や車がヘイトクライムでめちゃめちゃにされるときにペンキで書かれる言葉だし、学校でのLGBTQいじめに多用される単語でもあるので、どうしても今この語を使わなくちゃいけないのならその理由を説明するぐらいはしてもいいのでは。
"Fairytale of New York" がリリースされたのは1987年だけど、それってつまり英国であの悪名高いセクション28（大雑把に言うと、今のロシアの同性愛プロパガンダ禁止法のようなもの）が地方自治法に追加されたのよりさらに1年古いってことで、そんな大昔によしとされていたものが今でも自動的にOKだとは言えないと思うの。The Promは楽しみにしてるし、リリースまでになんかポジティブな動きがあるといいなと思います。
