スペインの文学祭、ホモフォビックな米作家を今年の目玉に　西作家3人が参加辞退

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スペインの文学祭「セルシュース232（Celsius 232）」が、2020年の催しの目玉として米作家オーソン・スコット・カード（Orson Scott Card）を招待。カードのこれまでの多数のアンチゲイ発言を問題視した他の作家らが、同イベントへの参加辞退を発表しています。

詳細は以下。

elpais.com

セルシュース232は、2011年からスペイン・アストゥリアス地方のアビレスという町で夏に開催されているホラー・ファンタジー・SF小説のフェスティバルです。名前の由来はブラッドベリの小説『華氏451度』。ほら、華氏451度って摂氏232度（Celsius 232）ですから。これまでにジョージ・R・R・マーティン（George R. R. Martin）やアーサー・C・クラーク（Arthur C. Clarke）などが登場してきた同イベントは、2019年の時点で241人のゲスト作家を集め、145ものアクティビティをとりおこなうという盛大なものになっています。

そのセルシュース232が2020年のフェスティバルの目玉として招待したのが、米国のSF作家オーソン・スコット・カード。彼は『エンダーのゲーム』でヒューゴー賞とネビュラ賞を取っている有名作家ですが、繰り返しホモフォビックな発言をしてきたことでも有名です。El Paísの記事では、同性婚は「アメリカの民主主義の終わり」だの、同性愛は「精神疾患」だの、同性愛者を「市民として他の人とおなじく平等に扱うべきではない」だのという彼の過去発言が紹介されています。そうそう、あまりにアンチゲイなことを言いすぎて、本屋にボイコットされたこともありますよね、この人。詳しくは以下を。

miyakichi.hatenadiary.jp

El Páisによるとこのカードを同フェスティバルが招待したため、3人の作家つまりハビエル・ルエスカス（Javier Ruescas）、イリア・G・パランテ（Iria G. Parente）、セレネ・M・パスクアル（Selene M. Pascual）が今年の招待を拒否すると表明したとのこと。ルエスカスはオープンリー・ゲイで、これはこの3人で話し合った結果だとし、「わたしたちは、彼のような男に発言の場を与えることは、非常に危険なことへと踏み出す第一歩だと考えている」と説明しています。一方、米国の両性愛者の作家 V・E・シュワブ（V. E. Schwab）は、「わたしのスペースを不寛容に明け渡せば、不寛容が勝ってしまう」として逆に参加を表明。なおセルシュース232のディレクターのひとり、クリスティナ・マシア（Cristina Macía）は、（カードは）「考えによって招待されているのではなく、本によって招待されている」のだとして、自分たちの人選を擁護しているとのこと。

スター・ウォーズのファンたちによるケリー・マリー・トラン（Kelly Marie Tran）叩きやゲイキャラ叩きを見ればわかるように、SFって遠い未来だの宇宙の果てだのを扱っているわりに、ファン層にはトキシックなまでに保守的な人がいっぱいいるジャンルだと思います。そのジャンルが含まれるイベントでよりによってオーソン・スコット・カードをスター扱いで招待したら、自分たちのヘイトにお墨付きが与えられたと信じる人が続出しそうで、かなり危険なんじゃないかと。少なくとも一介の本好きレズビアンとしては「そんな場所、怖くて行けない」と思いますね。心ある作家さんがボイコットで戦うのもありだし、敢えて招待を受けて戦うのもありだと思うけど、とりあえずいち読者としては、今回の件でホモフォビアに反対する声を上げてくれた作家さんたちの本を買って応援しようと思ってます。スペイン語勉強しといてよかったぜ……！