石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『さつきばれっ!』(真田一輝、芳文社)感想

『落花流水』の真田一輝さんによる時代劇コメディ。江戸の町を舞台に、元気者の女岡っ引き「銭形皐月」の活躍が描かれます。メインキャラはほぼ全部女性ですが、百合成分はかなり希薄。あくまで「スカッとするコメディ」として読むべき作品でしょう。

『かなめも(1)』(石見翔子、芳文社)感想

新聞専売所で働く女のコたちが主役の物語。ハートウォーミングな4コマの中に、女のコ同士の恋も仲良しも百合萌えも盛り込まれています。単なる甘ったるいだけの話ではなく、ちょっとしたダークさやしたたかさが随所に仕込んであるところもよかった。

『夜、海へ還るバス』(森下裕美、双葉社)感想

結婚を前に「自分は同性愛者かも」と悩む女性が、試しに女性と付き合ってみる物語。設定だけで「なんちゃってレズのお試し同性愛?」と早合点しないでくださいね。誰にでもある痛みとそこからの救いを、静かにかつ力強く描き出してみせた傑作ですよ、これは。

『オクターヴ(1)』(秋山はる、講談社)感想

売れなかったアイドル(♀)と貧乏作曲家(♀)との、セックスから始まるラブストーリー。葛藤はあれどホモフォビアはないし、エロの美しさや感情描写の繊細さも特筆もの。レズビアン的な感覚のリアルさもよく、今後の展開に期待大です。

『とわ缶』(大島永遠、実業之日本社)感想

収録作「Rosehip DIary」が一応女子高生同士のラブストーリーなのですが、百合というより女性同士による「ヘテロカプの共依存ごっこ」にしか見えませんでした。ヘテロノーマティブな関係がお好きな方にしか向かない作品なのでは。

『ねこもころ(全2巻)』(乙佳佐明、ソフトバンククリエイティブ)感想

猫型の獣人・モコロが憧れのお姉さまララッカを追いかけて奮闘する話。百合漫画としてはマイルドですが、モコロの妄想ギャグが楽しいし、根底に「普通と違うのは悪いことか?」というテーマが力強く脈打っているところがよかった。

『危険な二人』(MARO、松文館)感想

18禁エロ漫画。「ナースキャップ」「危険な二人」「Blue Mermaid」の3篇が♀♀ものなのですが、どれも股間描写にばかり執着するスタンスが目立ち、百合とかレズビアンとかいうより単なる野郎のオナニー妄想という印象が強いです。

一迅社『百合作品ファイル』感想

「コミック百合姫」を出している一迅社から出版された、百合作品の紹介本です。とりあげられている作品数は多くはなく、企画記事も予告の段階より減らされています。ただし、自社の出版物ばかり大きく取り上げたりしないという公平な編集方針は好感度大。

『BATH communication』(江川広実、メディアックス)感想

主人公「湧子」が腹違いの義姉「香子」とお風呂で痴態を繰り広げるコミカルなエロ漫画。繊細な絵柄によるキス絵や絡み絵が美しいし、女のコのイキ顔の描写なども綺麗です。男性との絡みも多少あるので、苦手な方はそこだけ注意を。

『ヴァイゼフラウ(全2巻)』(鳥居チカ[画]/爲我井徹[原作]、双葉社)感想

「ヴァイゼフラウ」と呼ばれる魔女たちと聖堂騎士たちの戦いを通じて、主人公・未夜の成長を描く物語。百合漫画として読むには、特に後半が物足りなかったです。男女二項対立の図式は退屈だし、ラストにも消化不良感が残ります。

『くらしのいずみ』(谷川史子、少年画報社)感想

収録作「早春のシグナル」に百合な人が登場。結婚が決まった女性の親友を思い切れない「千聡」というキャラの物語なのですが、決してステレオタイプな「日陰者の悲劇」路線に傾いていかないところがよかった。最後のスピーチの鮮烈さにも拍手。

『パパイヤ軍団★(2)』(青木光恵、太田出版)感想

キャバクラ「パパイヤ」をめぐる群像劇、最終巻。1巻と同じく女女恋愛にも男女恋愛にも独特のゆるさとエロさがあり、そこがとてもよかったです。百合カップルのちえりと美果に関しては、ちえりの爆弾発言に対する美果の完璧な切り返しが光ってました。

『クイーンズブレイド -Hide&Seek- (1)』(南崎いく、角川書店)感想

ビキニアーマー満載のアクションファンタジー。百合方面の演出がいろいろあざとすぎて「女性同士の関係から生まれるエロスから、異性愛至上主義の牙城をおびやかさない部分だけをこずるく横取りしている」ようにも見えてしまい、ちょっと残念。

『がーるず・すきんしっぷ』(へっぽこくん、久保書店)感想

18禁エロ漫画。百合/レズビアンものというより、「ロリな少女同士による男女セックスごっこ」路線の、たいへん異性愛主義的な漫画だと思います。「男女セックス最高」「異性愛規範最高」「セックスとは棒と穴」と信じ込める方向けなんではないでしょうか。

『お熱はかって』(上杉陽子、フランス書院)感想

18禁エロ漫画。「お熱はかって…」「天使のブラ」「アンジェリーク」が、血のつながらない姉妹同士の百合ラブストーリーです。後半での性描写の、ある意味昔の小コミ的な部分には疑問も感じますが、結末そのものは甘くハッピーでよかった。

『千夜伝説』(きみおたまこ、フランス書院)感想

18禁エロ漫画。同作者さんの『眠りつづけるお姫様』にも登場する「桜」と「桃」の姉妹百合が10篇中6篇を占めています。器具使用が多めでちょっとSM入ってるところと、ただの「プレイ」ではなく根底に愛があるところは『眠りつづける(略)』と同じ。

PCゲーム『こなゆき ふるり〜柚子原町カーリング部〜』(ブルームハンドル)レビュー

カーリングを題材にするという珍しい切り口のエロゲ。6人のヒロインのうち、とあるキャラのルートだけが♀♀ルートです。しかしこのルート、だらだらと長いわりにたいしたエピソードの積み重ねもなく、シナリオも微妙に矛盾しています。おまけにエロ描写が「バ…