石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

2008-01-01から1年間の記事一覧

『GIRL FRIENDS(1〜2)』(森永みるく、双葉社)感想

女子高生同士の甘酸っぱい初恋物語。爪磨きやリップグロス等のモチーフ使いがたいへん巧みで、女のコの日常漫画としてリアル感満点。恋愛方面も、「異性愛規範によるとまどい」より「初々しい初恋のとまどい」の方に力点が置かれていて、とてもよかったです。

『まなつラビリンス(1)』(桂よしひろ、幻冬舎コミックス)感想

閉ざされた学園からの脱出をめざすSFもの。画力が高くキャラの配置も巧み。伏線もうまくて、漫画としては十分面白いです。しかし、異性愛規範へのすり寄りが鼻につくため、百合ものとしては今ひとつ。女のコ同士のいろいろにはあまり期待せずに読むのが吉。

『える・えるシスター(1)』(邪武丸、一迅社)感想

行き過ぎた姉妹愛を描く百合コメディ。同性愛を「おかしな道」と呼ぶ作品だけのことはあり、一菜の暴走するシスコンっぷりもあくまで「滑稽なこと」としてのみ扱われている印象。恋愛面にはあまり期待せず、軽いコメディと割り切って読んでおくのが無難かと。

『回転する熱帯』(望月飛鳥、ランダムハウス講談社)感想

回転する熱帯作者: 望月飛鳥出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2007/11/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見るベトナムを舞台にしたバイセクシュアル小説日本人女性「ヒロ」とベトナム人女性「ユン」とのつきあいの顛末を描く小説…

『にくらしいあなたへ』(森永みるく、ワニマガジン社)感想

表題作と、読み切りの「時が許す夢の罪」が百合ありです。どちらもモノガミーとポリアモリー、異性愛と同性愛(または両性愛)の境界のゆらぎをうまくとらえて女のコ同士の関係を描く快作。絵柄も可愛いし、キスやセックスの描写も熱くて良いです。

『鶏肉倶楽部』(中村明日美子、太田出版)感想

収録作「コーヒー砂糖いり恋する窓辺」が百合。レズビアンの未亡人が気に入った女学生を篭絡するエロエロ話と見せかけて、実はかわいらしい初恋譚だったりするという二重構造が面白かったです。質感にあふれた美しい絵柄と、独特の雰囲気もとてもよかった。

『どろぼうの名人』(中里十、小学館)感想

どろぼうの名人 (ガガガ文庫 な 4-1)作者: 中里十,しめ子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/10/18メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 152回この商品を含むブログ (64件) を見る土くさく生々しくいとおしい、“百合フォークテイル”すばらしく面白かったで…

『ファミリーレストラン』(雁須磨子、太田出版)感想

ファミリーレストランのウエイトレス「羽柴さん」を主人公とする連作集。第3話「シャンプー台の香り」にレズビアンが登場します。セックスまでのプロセスがリアルで色っぽく、かつ、後半の悲しみが痛気持ち良い、素敵な短編でした。

『まん研(1)』(うおなてれぴん、芳文社)感想

オタク美少女3人が主役の4コマ。百合ネタも少しだけ出てきますが、これは単にコスプレや全身タイツ、ネコ耳、男装、スク水、BLなどの要素と同列に扱われる一種の「萌え対象」に過ぎず、ガチ恋愛の要素はほとんど無いです。

『マギーペール(4)』(高木信孝、ワニブックス)感想

魔法学校を舞台も百合漫画、最終巻。伏線をひとつひとつ回収して、お話がきれいに収束していきます。百合方面もなかなかにラブくて良かったのですが、いちいちキスに「言い訳」が用意されているという点はどうかと。これさえなければもっとよかったのに。

『わさびアラモードっ!! (3)』(もみじ真魚、芳文社)感想

日本旅館が舞台のドタバタコメディ、最終巻。ネタ切れなのか、「オカズでござい」風の安っぽいエロにまみれています。茜とアオイは薄っぺらい萌え記号として消費されるのみで、最後の2話以外は百合っぽさも希薄。1〜2巻が面白かっただけに、残念です。

『さくらの境(4)』(竹本泉、メディアファクトリー)感想

ぼーっとした大団円。相変わらず百合キス多数。最後まで恋愛色は薄いのですが、とりあえず1巻や3巻にあったような、「女の子同士は数のうちに入らない」的な異性愛中心主義が見られないだけでもひと安心。

『ミカるんX(2)』(高遠るい、秋田書店)感想

怖さを増しつつ突っ走る特撮系バイオレンス百合漫画。ミカとるんなの非常にきわどい性的シークエンスなども盛り込まれ、百合漫画としてもパワーアップしている感じ。全体的に1巻よりなお疾走感を増した、ダイナミックな1冊でした。

『クローバー』(乙ひより、一迅社)感想

ほのぼの仲良しからガチ恋愛まで、四姉妹の百合的青春を綴る物語。ガチな美鳥(みどり)の恋を描く第2話「bitter girl」と、その後日譚「Happy Days」が白眉。女のコ同士の恋愛を、ほろ苦い部分も含めて丁寧に描いた傑作だと思います。

『極上ドロップス(1)』(三国ハヂメ、一迅社)感想

主人公と複数キャラの間でエロくて甘いキスシーンが多発する百合ラブストーリー。決してただの無節操なハーレム漫画というわけではなく、全体的には小毬と雪緒の物語として一本背骨が通った構成になっているところも、とてもよかったです。

小説「コンクパール」(宮木あや子、集英社「小説すばる」2008年11月号掲載)感想

小説すばる 2008年 11月号 [雑誌]出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/10/17メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る『花宵道中』や『雨の塔』などではかなくも美しい百合ワールドを展開してみせた宮木あや子さんの、本っっ気のレズエロ小説です。…

『半熟女子(1)』(森島明子、一迅社)感想

自分の女のコらしさがコンプレックスな「八重」と、男らしさ・女らしさをまるで気にしない「ちとせ」の、めちゃくちゃキュートなラブストーリー。雄弁な絵と丁寧な演出で、女のコ同士の恋の喜びをこれでもかとばかりに表現した快作だと思います。

『ヒャッコ(4)』(カトウハルアキ、ソフトバンククリエイティブ)感想

女のコだらけの群像劇、第4巻。濃厚な夏の気配が楽しい1冊でした。百合方面に関しても大きな変化はなく、ところどころにごくかすかな「百合っぽさ」が漂う程度かと。ちなみに「バイ」を自称するキャラ・子々のセクハラは今回少なめです。

『狂詩曲』(結城稜、東京三世社)感想

18禁エロ漫画。「2人の関係」「美しき女の世界」の2編が女同士のお話です。前者はキスどまりの話ですが、あっけらかんとした明るさも、微笑ましいオチもナイス。後者は女同士のSMや複数プレイが登場します。

『Sweet & Bitter』(咲香里、笠倉出版社)感想

18禁エロ漫画。女子高を舞台とするレズビアン物の「上級生」がよかったです。女のコから女のコへの欲望をきちんと描いているところがまずいいし、タチネコを「男と女ごっこ」路線で固定せず、リバな関係を丁寧に追っていくところがすばらしい。

『天槍の下のバシレイス(1〜2)』(伊都工平、メディアワークス)感想

天槍の下のバシレイス〈1〉まれびとの棺(上) (電撃文庫)作者: 伊都工平,瑚澄遊智出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2004/10メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (35件) を見る天槍の下のバシレイス〈2〉まれびとの棺(下) (電撃文庫)作…

『幼艶百物語』(ひねもすのたり、蒼竜社)感想

18禁エロ漫画。全10編のうち3編がふたなり、1編がレズエロで、あとは姉弟・女装少年・ロリ・調教・露出等々。ちなみにショートカット美少女多め。レズビアン短編「純情の貝児(じゅんじょうのかいちご)」の意外なクィアっぽさがとてもよかったです。

『制服偏愛』(ひねもすのたり、富士美出版)感想

制服少女多めの18禁エロ短編集。11編中2編がふたなり、1編がレズエロ。他に、女同士の行為に途中から男が加わって3Pになるのが1編。残りは姉弟・同級生・ナースと患者などの男女物で、全体的に着衣エロとショートカット美少女が多いのが特徴。

小説『ブロークン・フィスト(1〜3)』(深見真、富士見書房)感想

戦う少女と残酷な少年―ブロークン・フィスト (富士見ミステリー文庫)作者: 深見真,桐嶋たける出版社/メーカー: 富士見書房発売日: 2002/01メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (20件) を見る傷だらけの遠い明日―ブロークン・フィスト〈2〉 (富…

『ウィッチマズルカ(1〜2)』(水口敬文、角川書店)感想

ウィッチマズルカ (1).魔法、使えますか? (角川スニーカー文庫)作者: 水口敬文,すまき俊吾出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/07/01メディア: 文庫 クリック: 27回この商品を含むブログ (35件) を見るウィッチマズルカ (2). つながる思い (角川スニーカ…

『ごめんね、マリア様』(玉越博幸、白泉社)感想

シスターが女生徒の懺悔を聞いて悶々としまくるエロ漫画(百合あり)。なぜこれが18禁じゃないのか不思議なほどのドエロな描写と、パターン化されたコミカルなオチとのギャップが楽しい作品でした。

『あぶない! 図書委員長!』(西川魯介、白泉社)感想

メガネ・巨乳・委員長・メイド・百合・やおい・女装少年など、さまざまな属性萌えを万華鏡のように散りばめたギャグ漫画。ガチ百合恋愛も登場します。ややクセのある絵柄は多少読む人を選ぶかもしれませんが、おすすめです。

割れ目ばっかり映すレズビアンポルノが退屈なわけ - 『スージー・ブライトのレズビアン作法』(スージー・ブライト、第三書館)感想

映画『バウンド』の女性同士のセックスシーンの監修をしたレズビアン、スージー・ブライトの著書。訳は多少読みにくいんですが、内容はとても面白かったです。

『すとぽに』(広輪凪、一迅社)感想

徹頭徹尾「乳」に徹したギャグ4コマでありながら、最終的には百合カプに身体の関係までできてしまうという異色作。強烈な乳描写は人を選びそうですし、異性愛規範寄りの残念台詞もありますが、それでもメインカップルのラブラブ状態はやはり良かったです。

『エスカレーション〜塀の中の少女たち』(芹沢由紀子、講談社)感想

「エスカレーション」で「塀の中」ということでタイトル買いしてみたんですが、百合というにはちょっと違うかも。「イジメ問題を扱ったヘテロ漫画に、女同士の偶発的なキスシーンが1回出てくる」ぐらいにとらえておいた方が正確なんじゃないかと思います。