石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『狂気の愛』(サンドラ・スコペトーネ、安藤由紀子訳、扶桑社)感想

NYを舞台に活躍するレズビアン探偵、ローレン・ローラノシリーズの第1作。本国で出版されたのは1991年で、メインストリームに登場したおそらく初のレズビアンPIシリーズです。同性愛者の日常を時にシニカルに、時にコミカルに描き出す手腕がみごと。

『犬たち』(レベッカ・ブラウン[著]/柴田元幸[訳]、マガジンハウス)感想

ある日突然アパートメントに出現した犬(たち)に支配されていく女の物語。夜見た悪夢を朝になっても忘れずに逐一書き留めたらこうもなろうか、というぐらい幻想的かつ残酷なお話です。ちなみに、主人公はあたりまえのようにレズビアン。

『若かった日々』(レベッカ・ブラウン[著]/柴田元幸[訳]、マガジンハウス)

米国のレズビアン作家レベッカ・ブラウンによる自伝的短篇集。思春期のレズビアンとしての目覚めを描く2作品、「ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ」と「Vision」がふるえるほどよかった。切なくて、正確で、イマジネーション豊かで。

『さくらんぼの性は』(ジャネット・ウィンターソン[著]/岸本佐知子[訳]、白水社)感想

おもにピューリタン革命時代のロンドンを舞台に描かれる、奇想天外なほら話。史実も寓話も等しく噛み砕き、飲みこみ、再構成していく手腕がみごと。アホな異性愛主義に対する皮肉な視線や、ただの同性愛礼賛におわらないレズビアニズム描写も楽しかったです。

『オレンジだけが果物じゃない』(ジャネット・ウィンターソン[著]/岸本佐知子[訳]、白水社)感想

レズビアンの作家ジャネット・ウィンターソンによる、キュートでほろ苦い半自伝的小説。抑圧的な環境で生き抜く武器として鍛え抜かれたイマジネーションと、独特のユーモアが楽しいです。レズビアン少女の性の目覚めを描く思春期小説としてもおすすめ。